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思考と感覚が錆びないように

"おすすめ"が怖い。

YouTube、Netflix、Spotify、Instagram、各種コンテンツ配信サービスやSNSのリコメンド機能に用いられるアルゴリズムは年々進化している。自力では探し出せないほどのコンテンツに埋もれた現代で、探してもいないのに自分の好みに合う何かを差し出してくれる。精度にも目を見張るものがあり、名前も聞いたことのなかった映画が自分の歴代お気に入りランキングの上位に食い込んでくることすらある。こうして自分が意識して選択する機会を減らしながら自分に最適化されたコンテンツを享受する生活は、非常に快適だ。

一方で、おすすめされるだけの人生は怖いと感じてしまう。

おすすめされたものだけを受容し続けるということは、現在までの自分もしくは自分に似た誰かが作った"ふるい"に、未来のあらゆる事象をかけて通すことである。「"ふるい"が無ければ見えていたかもしれない選択肢」が眼前に落ちてくる間もなく。そうしてどんどんと目が細かくなった"ふるい"で無意識に絞られていく人生は、どこかもったいない気がするのである。

三十路手前の年齢にもなって、まだまだ自分の嗜好にも癖にも解明できていない謎が山程ある。自分が心動かされるものが何なのかは、おすすめされるだけではなく自力で探しに行きたいと思っている。


年末に滑り込みでランニングの習慣をつけ始めた。年始に始める趣味はあまり長続きしないイメージがあるから、いっそのこと年末に始めてしまおうという魂胆だった。

走ると無心になれる。
いや正確には、昨日のあの嫌な出来事も、今日も苦手だったなと感じたあの人も、近々待ち受けている予定のことも色々考えるのだが、そんな有象無象が自分の人生にとっては取るに足りないことのように思えてくるのだ。

そんなことよりももっと、いま自分に見えている景色に意識が集中する。

走り始めてから、近所の橋の名前を5つ覚えた。ランニングだろうとウォーキングだろうと、意識的に出かけていなかったら覚えなかったであろう名前だ。私が根っからの橋マニアでない限りは、その名前を私におすすめしてくれる人はおそらくいないだろう。

橋の名前が自分の人生の大きな助けになるとはあまり思えないが、自らの意思で踏み入れた領域で見つけたものには少なくとも何らかの意味があると思う。


話は今年の抱負に繋がる。だから冒頭の画像は今年初詣で訪れた神社のうさぎにした。

今年は去年よりもnoteの記事をたくさん書きたいと考えている。2022年は月1ペースが関の山だったし、音楽のことしか書けなかったし、何とも間口が狭く局所的な領域に椅子を置いたようなユーザーだった。noteからおすすめされる記事も、当然だが自分の嗜好に偏った記事が多かった。

それでも他の方の記事はわりと幅広く見に行って色々と勉強になることも多かったし、自分の記事を見てくれる方が少しでもいることに励まされた。(アジカンのGotchにスキをもらえたことは一生忘れない)

だからこそ今年は、音楽以外のことも書きたいし、一見興味のなさそうな話題やニュースもインプットにして、自分の感想や意見を言語化していきたい。月1ペースであってもようやく続けられた習慣なのだから、手放さないようにしたい。そして欲を言えば投稿のペースも上げたい。


色んなカルチャーに手を出すことの有言実行として、ほぼ興味のなかったpodcastを聴いてみることから始めた。本記事の内容も、下記のpodcastを聴いて共感したのでふと文字に起こしたくなって書いてみた。

そうして色んな方面にアンテナを向けながら、自分で考えて行動する時間をたっぷりと確保する1年にしたい。

# こんな記事を書いておきながら、今日もInstagramでおすすめされたクラシルのレシピで作ったご飯を食べてしまうのであった。

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