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経営組織論と『経営の技法』#36

CHAPTER 2.2.3:水平分業のメリット
 では、それぞれの分業のタイプのメリットとデメリットを考えることにしましょう。実は、水平分業の中でも並行分業と機能別分業では機能別分業のほうが多くの分業のメリットがあります。それは、並行分業が分業していても実際は同じ作業を同時に行っているだけであり、それぞれは独立して仕事をしていることが多くなるためです。
 水平分業のメリットとしては、共通費の節約、人的資源の活用、熟練形成の推進、機械や道具の進歩の4つが挙げられます。
【出展:『初めての経営学 経営組織論』31頁(鈴木竜太/東洋経済新報社2018.2.1)】

 この「経営組織論」を参考に、『経営の技法』(野村・久保利・芦原/中央経済社 2019.2.1)の観点から、経営組織論を考えてみましょう。

2つの会社組織論の図

1.内部統制(下の正三角形)の問題
 昨日は、リスク管理の観点から、その中でも特に契約書作成業務について、分業の在り方を検討しました。結論的には、(一般的に言えば)ここでの鈴木教授のお勧めと異なり、機能別分業すべきではない、ということとなりました。
 けれども、リスク管理は契約書作成業務だけではありません。機能的分業が適している業務領域もあります。
 そこで、リスク管理に関する様々な業務や機能について、水平分業がどのような場合に適しているのかを、検討していきましょう。

2.ガバナンス(上の逆三角形)の問題
 株主と経営者の関係で見た場合、本来、株主は経営に関して無責任であり、「役割分担」「分業」をイメージしにくいですが、「儲ける」ために、株主と経営者が共働している、という風に見れば、機能的分業と整理できそうです。
 この点は、昨日と同じです。

3.おわりに
 ここから、鈴木教授が1つひとつ機能別分業のメリットを検討していますので、それに合わせて検討しましょう。

※ 鈴木竜太教授の名著、「初めての経営学 経営組織論」(東洋経済)が、『経営の技法』『法務の技法』にも該当することを確認しながら、リスクマネージメントの体系的な理解を目指します。
 冒頭の引用は、①『経営組織論』から忠実に引用して出展を明示すること、②引用以外の部分が質量共にこの記事の主要な要素であること、③芦原一郎が一切の文責を負うこと、を条件に、鈴木竜太教授にご了解いただきました。


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