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分解すきなもの【文学編】/誰かに止められたわけじゃないのに書くことをやめてた馬鹿な私

前回「すききらい」のタイトルで好きなものを羅列してみましたが、もう少し掘り下げてみようと思います。シリーズで4〜5記事くらい書く予定。

智に働けば角が立つ情に棹させば流される意地を通せば窮屈だとかくに、人の世は住みにくい

かの有名な夏目漱石先生の「草枕」の冒頭文

①趣味:読書っていつから言い始めた?

本好きを名乗り始めたのは恐らく10才頃。「赤毛のアン」シリーズにどハマりして将来の夢がそれまでのケーキ屋さんや本屋さんなどの「○○屋さん」シリーズから小説家に変わったのも多分この頃。昼休みに学校の図書室でひなたぼっこしながら本の世界に浸るのが好きだった。最近たまたま見る機会のあった小学校卒業の文集の将来の夢には、「世界中を旅しながら人に夢と勇気を与える小説家」って書いてありましたね。小っ恥ずかしいや。

②詩と死と10代

物語のアイディアをノートに書き溜めながらも、書き始めるには至らなかった10代。書こうとしたけど書けなかったのか。まだ自分には書けないと思って書くことすら引っ込めたのか。簡単に言えば思春期でしたね。

それでも、小説よりは手近だった詩を書くことは続けていました。高校の授業で中原中也に出会い、文学を学ぶ道もいいなと思い、そのまま大学でも日本文学を学ぶことにしたのですが、思っていたより自分自身が飽き性であることに気づいてしまい、研究者になることは諦めました。

ちなみに卒論のタイトルは「上田敏『海潮音』にみる象徴詩移入の試み」。日本文学の中でも近代文学を選ぶのは少数派で中でも詩の分野は需要の薄いニッチ産業であることを思い知りました。

③文豪をめぐる旅

20歳から始めた趣味です。オタ活ですね。生きたアイドルを追うか死んだ文豪を追うかの違いだと私は思っている。

初めて行ったのは山口県は湯田温泉。中原中也のふるさとです。かなしみが汚れっちまったあの帽子の詩人のふるさとです。

以後は、全国各地の文豪ゆかりの地をめぐる旅を敢行していました。参考までに行った先々の一部をあげてみます。いつかこれらの旅の紀行文的な作品も残したいなあ。

青森県金木 太宰治

岩手県花巻市 宮沢賢治

福島県いわき市 草野心平

群馬県前橋市 萩原朔太郎

岐阜県馬籠 島崎藤村

石川県金沢市 室生犀星

島根県松江市 小泉八雲

福岡県柳川市 北原白秋

④就職と諦め

いや、諦めたつもりはなかったんだけど、お金稼がないと生きていけないからね。

あとは大学で教職課程を取ったり塾でアルバイトしたりしているうちに文学以外に教育分野に興味が湧いたのも事実。

結局、希望する分野には今のところ行けてないけど、何とか働いています。

書くことへの意欲は上がったり下がったり。いつか書きたい小説の原案メモが更新されては膨らんでいるのが現状。

24歳から28歳までの間には、読書会にも参加していました。名古屋には日本最大級の読書コミュニティがある!猫町倶楽部さんです。職場外で色々な人に会えたのは貴重な経験でした。

⑤そして今すきな文学

好きなものを分解していたはずが、なんだか自分史になっちまった!それくらい私にとって文学とは人生の一部であり続けているようです。

ほいじゃ、今好きな作家はと問われたらプロフィールには何て書くかなあと考えてみました。(近代文学限定、現代文学編はいつかやります)

中原中也、萩原朔太郎、夏目漱石

2021年6月4日現在chukariベストスリーはこのお3方に決定です!!

当選ついでに一つだけ詩をご紹介します。

中原中也さんで「頑是ない歌」(青空文庫より)

頑是ない歌

思へば遠く来たもんだ
十二の冬のあの夕べ
港の空に鳴り響いた
汽笛の湯気ゆげは今いづこ

雲の間に月はゐて
それな汽笛を耳にすると
竦然しようぜんとして身をすくめ
月はその時空にゐた

それから何年経つたことか
汽笛の湯気を茫然と
眼で追ひかなしくなつてゐた
あの頃の俺はいまいづこ

今では女房子供持ち
思へば遠く来たもんだ
此の先まだまだ何時までか
生きてゆくのであらうけど

生きてゆくのであらうけど
遠く経て来た日や夜よるの
あんまりこんなにこひしゆては
なんだか自信が持てないよ

さりとて生きてゆく限り
結局我がン張る僕の性質さが
と思へばなんだか我ながら
いたはしいよなものですよ

考へてみればそれはまあ
結局我ン張るのだとして
昔恋しい時もあり そして
どうにかやつてはゆくのでせう

考へてみれば簡単だ
畢竟ひつきやう意志の問題だ
なんとかやるより仕方もない
やりさへすればよいのだと

思ふけれどもそれもそれ
十二の冬のあの夕べ
港の空に鳴り響いた
汽笛の湯気や今いづこ

⑥おまけ

31歳のとき、短文ですが、書いたものを応募し、佳作をいただきました。もし良かったら見てください。2019年度入賞作品「人生大逆転ボート」です。

https://www.bunka758.or.jp/id_kotonohanagoya.html




















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