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第95怪~辞めるバンドマン、劇団員。

ストロベリーソングオーケストラは自分で言うのもなんだが面倒なロックバンド?それとも劇団?そんな見世物パンク一座がストロベリーソングオーケストラである。

海馬郡鏡町仏壇仏具長屋六ノ三上ガル借家よりやって参りました
見世物パンク一座ストロベリーソングオーケストラでございます、ドドパンッ!

だってよー、ただでさえバンドってよくある『音楽の方向性の違いで』とかカコつけて実は『売れないからもうヤーめた』って、今迄続いていた緊張の糸がプッツリ切断されたりが殆どの原因で、いつ何時、そんな状況がくるかもしれんやん。そんな緊張感を常に持ちつつ日々過ごしながら活動を続けていく仕事、それがバンド。

駆け出しの頃なんて高いノルマを払って出演して、チケットが売れなかったら自身でそのチケットを買い取りMAX。お客さんを呼ばないバンドは丸々ノルマ分を支払って誰もお客が居ないライヴハウスで、題名の無い音楽会ならぬ、お客さんの無い音楽会をやっている。僕もストロベリーソングオーケストラをやる前のノイズバンドでライヴに出演していた頃、4組中お客さんが一人という状況を体験した事があるが、そのお客さんがやたらノリノリで、アレはアレで案外プレイヤー側も火がつくもんで、キレッキレの演奏が出来たかと思うのだが、あまり体験はしたく無いモノである。お客さんおってなんぼのもんだからな結局。

スタジオなんかも高いお金払って週一で入って、何度もやってきたであろう曲の音合わせして、あーでもないこーでも無いとやっていく。このスタジオ練習、ほんまに必要やった?的な事もあったりで、スタジオ練習が存在確認の一貫で行っているバンドも居るかもしれん。Oiパンクならぬ老いパンクバンドマンだと切実である。とはいえ、まあ、週一でスタジオに入るバンドマンはまだ良い。やっぱり週一で入るだけあって、リズム隊のグルーヴなんかがカッチリ固まってきたりもする。

てな具合で、大体30歳前後で、この『お客さん呼べない、財布からお金が飛んでいくだけー』な壁にブチ当たる。で、なんとかこの壁を乗り越えた30歳過ぎたバンドメンはもうちょい頑張れるだろと35歳位迄は頑張ってみる。で、35歳過ぎた頃に『あれ?俺、やっぱ売れてねーな、ヤーめた』と辞めるバンドメンも現れる。実はそんなのは言い訳で、大概のパターンが、彼女に『いい加減結婚してよ!』とか『アンタ!いつまでそんな事やってんの!ちゃんと働きなさい!!』と母ちゃん、親戚連中、すれ違いの酒気帯びたオッサンに言われて、肩迄あった髪の毛を切断するパターンが殆どである。

で、この2つの壁を乗り越えた猛者共が案外しぶとく、恐らく棺桶に片足突っ込む迄はバンドメンを続ける。売れるというより熟れてきて、逆にいぶし銀的存在なバンドになり、重宝される。UMA的存在だ。バンドを辞めるというより、辞められないのだ。辞めるバンドメンではなく、バンドを辞められない病めるバンドメンになってしまうのである。そう、潰しが効かなくなるのだ。

劇団も同じ。
売れない小劇団の役者の子達なんて、公演の多額のノルマを払って、身内にうりつけての自転車操業。そんなのを毎回繰り返しているうちに、その状況がキツクなったりして『だめ、俺、もう続けれんわ、サバラ!』と失踪する者も出たり、、。コチラも売れるどころか熟れて逝くばかり、、。先程のバンドメン2つの壁を乗り越えた猛者共同様、役者連中も同じ奇病に罹患してしまい、辞める事が出来ない病める役者となる訳だ。

そんな売れなければ負のイメージしかない2大鬼畜をバロムクロスさせているんデスよ、我がストロベリーソングオーケストラは。まあ、面倒に思いますよね、、。いぶし銀デスよね。木戸修デスね。

昔、犬神サーカス団の犬神明さんから『僕達もねえ、ストロベリーさんみたいな感じでやっていきたかったんだけどね~大変だからやめちゃった』と言われ、『デスよね~』と、返した記憶がある。

それだけに、このバンドと演劇を融合させるのは大変なのである、、が!コレがまあ癖になるというか、バンドだけでは表現出来ない部分だとか、演劇だけでは表現デキない事とかが、この2大鬼畜が合体すると、僕の頭の中でグワングワンと廻り続けている画が完成したりする。負と負が融合したら、それはフフ、、と精神状態がオカシクなった不適な笑みと変わり、脳内に変な分泌液が溢れ出すのだ。まさに辞める事が出来ない病める末期症状である。

シアトリカルなバンドって沢山居てると思うが、僕達ストロベリーソングオーケストラは、そのシアトリカル的なバンドって感じとは又違ってくるので、僕のお店・アニアニなんかで知らない人に説明するのがまあまあ大変だ。

アニアニなんかは店の屋号が『秘密倶楽部アニマアニムス』やし、あんな雰囲気のお店だから、フラっと入ってきた大概のご新規さんは食いついてくる。

開店当時のアニアニ
ゴチャゴチャしてなくて綺麗だね

特に対して興味の無さそうな、俗にいうパリピっぽい新規のお客さんに限って『この店のコンセプトってなんですん?』と聞いたりしてくる。まあ、偏見というか、見た目で僕は咄嗟に判断し、興味なさげなお客さんには『コンセプトは特にないデスー』とか『僕が働いているのが秘密なんデス』と突き返す。

で、それでも興味を持ってきた一部のお客さんは

『それってミュージカルみたいなもの?』

と尋ねてくる。良く言われるのがコレ。
そりゃそうだ、バンドと演劇が合体してるんだ、知らない人が聞いたら、ミュージカル?って思うかもしれんし、僕等世代だと8時ダヨ!全員集合!の舞台?と思う昭和人間も居るかもしれん。オイッスー!!!

いやいや、ストロベリーソングオーケストラはそんなんじゃないんすヨ。
やってる本人が一番良く解ってないかもしれないのデスが、なんせ、現ロック界・演劇界では稀有な鬼畜、それも究極のマゾヒスト集団である事に違いない事は確かなのであります。そんなバンドと劇団が合体して儲からないけどずっとやってるんデス!とは勿論言わず、キリっとドヤ顔キメて、ボロボロのストロベリーソングオーケストラの写真集を持ってきてはお客さんに見て貰う、、。あの写真集には僕とブッキーしか残っていないというのに、、。

すると、ここでふるいにかけられ生き残ったお客さんだけが『わあ、丸尾なんとかって漫画的な?』『ライチ?なんだっけ?学生服の?』と答え合わせをして正解した人に、腰を据えて説明する運びとなっているのが昨今である。そこで興味を持った人は『またYouTubeで観ときます』とか言ってくれたり、その場でYouTubeを見てくれたりする。

で、『まだ活動やってるんですか?』と聞かれ、『はい、今年で24年目になります、遷宮なら既に1回終えておりますね』と自ら、辞められない病める患者をアピールする。

『大変でしょう?』

と、良く聞かれるが、大変だと思っていたら多分とっくに辞めている事だろう。なので僕は『いやー、好きでやってますからねえー、特に大変とは思ってません』とドヤ顔で返答するも、内心は『次の公演、お客さん来んかったら富士の樹海を散策するしかない!祝え!』と、いつも黒服の借金取りから逃げる事を考えているのである。

まあ、面倒なバンド?劇団?そんな見世物パンク一座・ストロベリーソングオーケストラではありますが、皆、元気でやっとります。

さて、来月10月10日は久々寺山修司色に染めて舞台に立ちますよ。

僕達は第二部の音楽篇に出演しますが、寺山さんの朗読劇イベントという事で、寺山ワールドを炸裂した演出で挑みたいと思います。

この日の出演者が本当に豪華!!
戸川純さんや、元・天井桟敷の根本豊さんが出演されます。そんな並びにストロベリーソングオーケストラの名前が並ぶだなんて、お客さん一人しかいなかった時代の自分に教えてやりたいヨ、、。

そして11月はストロベリーソングオーケストラの本公演『切り咲きジャップ~口裂け女とメリーさん現る!』デス。

25年目の自分に『お客さん、一人じゃなかったよ』と言わせてあげたいので、皆さん是非ごらんくださいよ!!イープラス・アニアニで取り扱いしております。

さて、ここからは毒者限定の記事になって逝きますよ。
2016年、帝都での犯行模様デス。影像も使っての学ランGIGデスよ。詩母君もまだ在籍していた頃の懐かしの四畳半デス。ドウゾウ!!

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この【仮分数のヒトビト】では、ストロベリーソングオーケストラや伝説のコント集団・ストロベリーソングオーケストラ野球部、僕が飴彩里沙羅と行っている瀉葬文幻庫に纏わる秘話、そして毎回何かしらのレアな付録が憑いてきます。 共犯者の方は生ビールを一杯呑んだつもりで定期購毒、毒者と成り果ててください。(月に4~5怪の更新になります)

お憑かれ様デス! このマガジンでは関西アンダーグラウンドシーンで活動する、見世物パンク一座・ストロベリーソングオーケストラの座長である【…

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