ノーカルト≠ノーオカルト

今宵迷子　夢の中
歪（いびつ）な影　猫の声
微か（かすか）に見た狭間に
おいでおいで…　手招き

スカートの中　蜜がドロドロ
片目無くした影絵少女が
赤い日見る為　義眼手に入れ
屋根裏迷宮へとよじ登る

そこに黒猫　片目無い猫
鼠咥えて眠り娘ギロリ
（いいわ私が）夢見せてあげる
ビードロ玉を舐めながら

捕まえて、ホラ…　ヤネウラリウムの追走劇
鈴鳴る方へ、ねえ？　季節外れの集団失踪
逃げられないよ…　少女詩集の跋文には
追い詰められた…！　密室恐怖症の偽カルテ

ノーカルト≠ノーオカルト　捕まえた
ノーカルト≠ノーオカルト　黒い猫
ノーカルト≠ノーオカルト　その顔は
ノーカルト≠ノーオカルト　私の顔
つかまえられた

それから影絵少女はひび割れた鏡の奥深くに映り込む物語の結末となりました。我々の書割国家・鏡町には、カルト、オカルト、錆色の動脈迷宮、幾つもの挿話が蔓延しているのです。
人買い紳士の赤マント、仮面剥ぎ取りカルト教団、電気仕掛けの電波大サーカス一座、顔の無い郵便配達夫に手渡された異父の死亡届…そして真夜中に決して追う事をしてはいけない、片目の黒猫を…！

カルトとオカルトは現実と虚構、常に纏わりつく生と死の暦みたいな物なのである。
暦の改竄、記憶の捏造…ホラ、片目突っ込むと、、、
地獄を見ますよ…！

ノーカルト≠ノーオカルト　捕まえた
ノーカルト≠ノーオカルト　黒い猫
ノーカルト≠ノーオカルト　その顔は
ノーカルト≠ノーオカルト　私の顔
ノーカルト≠ノーオカルト　捕まえた
ノーカルト≠ノーオカルト　黒い猫
ノーカルト≠ノーオカルト　その顔は
ノーカルト≠ノーオカルト　無表情！
つかまえられた

怪説

捕まえた猫のその顔は無表情だった！

密室恐怖症なのに屋根裏なんか行ったりするからデスよ、可哀そうな女の子デスね…

さて、鏡町の遺失物管理保管庫からマタマタ見つかったのは、ストロベリーのR&R番長・キリヒラ先生作曲のレクイエムロック、「ノーカルト≠ノーオカルト」デス。
怨歌≠ジャイアンリサイタル＝魂の叫びU2ならぬ憂鬱でお馴染みの座長・宮悪戦車の暴れん坊将軍ボイスと、高音しっとり歌い上げる合唱部・釵刺灯の絶妙なツインボーカルに、荒々しいロックが突き刺さっております。まさにこの季節、冷やし中華ハジメマシタ！的なアングラ・サブカル少年少女諸君にはド定番の看板メニュウ！

そもそもこの曲にはキリヒラ君もイメージがあって、黒い猫を追っては消え失せてしまう都市伝説？(的な事をカレー、否、彼は仰っておりました)な感じで詩を書いて欲しいと依頼を受け、書き上げたのがこの「ノーカルト≠ノーオカルト」になります。

僕の作る鏡町という箱庭世界に持って来いのお得意オカルトワールド満載の言葉を繋ぎ併せて出来たこの詩は、結構すぐに出来た覚えがありますね。
ストロベリーの曲は演劇作品にあわせて、女性目線に立って僕の中のアニマを鏡に映し出し作る事が多いので、こういった単発での曲の詩は結構難航する事が多いのデスが、先にイメージを聞いていたからでしょうか、すんなり出来た次第デス。黒い猫、この時くらいからストロベリーの新しいキーワードとなり、ロゴにも登場したのは共犯者の皆さんには周知の、事、かと、思い、ます(小池百合子東京都知事風に読んでください)

初出はいつの犯行だったかな、恐らく2016年のイベントライヴかと思うのデスが、もしかしたら当時「東京グロテスク」のシングル怨源ツアーで廻っていた頃にポン！とそれこそ都市伝説が如く現れたかもしれません。４～５年前の記憶がおぼろげなのに、２０年前位の記憶の方がしっかり残っているのは何なんでしょう？

２３年前に当時のメンバーに煽られ無理やり挑戦し、残り２スプーン程が食べれずタップ！
残念なお会計を済ませ、その後にスタジオ練習に向かうも、道中でローズマリーの赤ちゃんが出産されるが如し、お腹がキンキンに腫れあがった僕はココ壱番屋の１３００グラムカレーの１２６０グラムをすべてエクソシストのリーガンばりに、オロロロロロロロロ～と御堂筋で吐き散らし、その場に再び１３００グラムカレーを召喚し(これを読みながらお食事中の皆さん、本当スミマセン！)、その後、カレーを吐ききり、お腹を空かせた僕はスタジオを中止し、メンバー引き連れ、うどん屋さんに行った事は鮮明に覚えているというのに！(なんて日だ！)

この曲のレコーディング時、印象に残っているのはギターの犬拐がサラっとギターを重ねて録音していったのを間近で見てたのデスが、一切スタジオで練習していたフレーズとは全く違うのを持ってきた事かな(コレ犬拐あるあるやで)
そんなノーカルト≠ノーオカルト、皆さんのノーミュージックノーライフの片隅にポツンと置いてやってくださいな。
そしてあまり突っ込まないであげてください。さもないと、地獄を見る事になりますから…

2016年
作詩/宮悪 戦車　作曲/キリヒラ ランセ