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息子がきゅうりを初めて食べた日、育てるのは親だけじゃないなと学んだ

息子は、好き嫌いが多い。

給食では本人なりに頑張っているようだけど、母としてはもう少し何でも美味しく食べられるようになって欲しいところ。

栄養面もそうだけど、その方が愛されるひとになるんじゃないかという母の思惑だ。何でもぱくぱく美味しく食べる姿は、男女問わず気持ちがいい。

それに、もし将来どこかの優しい娘さんが息子に何かを作ってくれたとき、ぴかぴかに平らげる男であって欲しい。

それでもありがたいのが、わりと野菜はすすんで食べてくれること。特にトマト、レタス、きゅうりは好物で、わが家では欠かせない代表選手たちだ。

……あれ、待てよ。

きゅうりは、もともと好きだった訳じゃない。

明確に「好きになった日」が、あるのだ。

† † †

私たち夫婦は、週末によくぶらりと外食していた。

ふたりともあまり飲まないけれど、近所の「塚田農場」によく行っていた。ここのプリプリの地鶏が美味しくてお気に入りだった。

子連れオッケーな雰囲気で、奥の小上がり席が利用しやすく、息子も何回か連れていった。

このお店は、店員さんがみんな若くて明るくてフレンドリー。胸もとに「みやび♡」とか名札をつけ、膝丈の浴衣のような衣装を着ていて、とてもかわいい。かわいいし、すごく気が利く。息子にも、いつも優しく接してくれた。

ここのお通しは生野菜で、特製味噌をつけて食べる。大きめに切ったキャベツときゅうりがメインで、パリパリしてとても美味しい。

あれは、息子がまだ3才にならない位の頃。

その日もミニ浴衣姿のかわいい店員さんが、いつものようにお通しを配ってくれていた。

つと息子が、きゅうりに手を出した。断言するが、息子は食べるつもりで手を出した訳ではない。たぶん細長く切られたきゅうりが面白くて、遊ぼうとしたんだろう。

すると店員さん(かわいい)が、

「えーーー♡きゅうり食べれるの?
 すごいねーーーー♡♡♡」

と、息子ににっこりしてくれた。

私は店員さん(かわいい)に、いやーきゅうりはあんま好きじゃなくて……と言いかけた。

するとどうでしょう。

息子が、もんのすごい勢いで、手にしたきゅうりをばっくばっくと食べ始めた!!!

えーーーーー!!??

店員さん(かわいい)、それを見て特上の笑顔でまた誉めてくれる。

「すごぉーーーい♡♡
 きゅうりが好きなんだねぇ♡♡」

息子、さらにばっくばく。もう無心ともいえる勢いで、ほぼ丸々1本分を食べ尽くした。

店員さん(かわいい)がにっこり去ったあと、もう、夫と私は目がテンからの……大・爆・笑!!

なにそれ!!なにそれーーー!!!
涙がでるほど、笑うに笑った。

息子がすーんと「なに?オレは前からきゅうり大好きだけど、何か?」みたいな態度で、それもまた可笑しかった。

「男って、あほだなあーーー。」

涙を拭きながらしみじみ思った。そして、そのあほさが、すごく愛おしいなあとも。

やってますよママも!元演劇部の女優魂で、手を変え品を変え誉めまくってたつもりですよ。

でも、違うんだろうねえ。

それ以来、息子の偏食に関してあれこれ思い悩んでいたのが、すとんと楽になった。

毎日、こどもと丁寧に向き合うことは大切だ。大切だけど、いくら頑張っても思うような成果が出るとは限らず、逆にひょんなことからできちゃうこともままある。

そうそう、息子を育ててくれるのは、私たち親だけじゃないんだよなあ。

そう思えた、出来事。

† † †

その日を境に、息子は本当にきゅうりが好きになった。いやあびっくり。

だから今は苦手なあの食材も、はしをつけないあの料理も、そのうち急に食べれるようになったり、むしろ好物になる可能性だってある。

できればその乗り越える瞬間をいつも見てみたいけど、それは彼なりのドラマとして、これからは秘められていくのかもしれない。

まあ、あのきゅうりに無心に食らいつく姿が見れたので、母は満足です。

そして、今日も息子はぱくぱくポリポリと、
きゅうりを美味しく、いただいています。





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