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〔詩〕ざわわざわわ 


まゆさんの記事、「さとうきび畑ヴァイオリン演奏をおききしていたら、祖母の体験が、詩の形で生まれてきました。お腹の子は、わたしの父。あのとき、もし祖母が撃たれていたら、わたしもこの世にいませんでした。

まゆさん、ご紹介いただき、また、きっかけをありがとうございました♪

まゆさん記事




〔詩〕ざわわざわわ


ざわわざわわ
ざわわざわわ

稲が揺れる
8月の田んぼ




あの日
わしは草取り
しとってねぇ

暑なる前に
帰りましょ

張り切っとった
わけですよ

腹には子ども
来月産まれる

大腹(おおばら)でも
やらんといかん

空に
キラリと光る点

爆音
それはやってきた

いかんと
わしは

腹を守るよに
稲の中に
うつぶした

どうか
どうか
この子だけわぁ!

おそがくて(恐ろしくて)
目が開けられん

やられてまったと
思ったよ



わしには
気づかず

去ってった



気づかんかったんか
見逃してくれたんか


お腹の子どもは
逆子で難産

それでも
産まれたぁ
産まれてくれた

わし
うれしくて
うれしくて
泣いたわねぇ




ざわわざわわ
ざわわざわわ

稲が揺れる
8月の田んぼ

腹の子は
今年78才

孫が5人の
祖父になり

わしと
おんなじ顔で
笑っとるよ



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