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先生、ありがとうございました!



 息子の中学でカウンセリングを受けている。始まりは息子の不登校だった。

 カウンセリングとは、今後のアドバイスをもらうところだと思っていた。長らく通わせてもらって、ようやくそれだけではないと気がついた。


 先生に話すことで、自分の考えがまとまる。そうすると、不思議と次にどうすればいいのかがぼんやりとみえてくる。先生は、わたしより広い視野で、息子をみてくれる。先生の言葉から、わたしはヒントをいただく。

 ときには思いのたけをただ受け止めてもらう。想いがあふれて、泣いてしまうこともある。先生は優しくひたすら聞いてくれる。そうして、わたしのこれまでをねぎらってくれる。

 受け止めてもらえたら、わたしは先に進めるのだ。わたしの長所は気づくことができること(時間はかかるけれど)と先生はいう。先生と一緒に、息子がいえないことや気づいていない何かを考える。難解な謎解き、挑み甲斐がある。

 あとは思考錯誤の繰り返し。こちらが良いと思ったことが、息子にとっても良いとは限らない。どちらかというと、良くないことの方が多かったりもする。

 すぐには成果はみえてこない。へこたれて、逃げ出したくなったことが何度もある。わたしは母親失格だと、自暴自棄にもなった。このままではいけないと焦りばかりが募っていたことも。

 そんなとき、先生が勧めてくれた。
 「こういうときほど、お母さまは自分の好きなことをしてください。」

 わたしは、呆気に取られた。息子が不登校になってから、好きなことはがまんしていたから。

 思い切って、わたしはエッセイを習い、通信制の高校に通った。観たい絵があれば、美術館にも行く。そして、このnoteも始めた。

 楽しい!

 こんなに楽しいとは思わなかった。こころがやわらかくなった。

 こんなふうに、息子も楽しく生きてほしいとこころから思った。

 そうしたら、波はあれど息子も回復してきたのだ。不思議なことに。

 今はゆっくりと良い方へ向かっている。ありがたい。先生のおかげだ。


 わたしの子どもたちへの接し方も変わった。

話を聞けるようになった
行動を待てるようになった
わたしの思う方へ誘導しなくなった
子どものそのままを受け入れたいと思えた

 学校に行けとはもういわない。息子が息子らしく生きてくれたら、それで充分だ。迷ったら、何度でも立ち止まって、また一緒に考えればいい。

 息子はこの春、中学を卒業する。
 先生ともお別れだ。

 先生から教わったことはたしかに、
 わたしのなかにある。

 だから、大丈夫。

 先生、ありがとうございました!


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