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エッセイのようなもの

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子どもたちのこと、思い出ばなし、自分のことなどなど。
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2022年3月の記事一覧

ママ はは かあさん

ママ はは かあさん

 娘が生まれて、私たち親への呼び方をどうするか、わりと真剣に夫と話し合ったことがある。

 夫は呼びやすい「パパママ呼び」を推す。はやく娘から「パパ」と呼ばれたいらしい。わたしは、「おかあさんおとうさん呼び」を推していた。子どもが大きくなってから「ママ」とは呼ばれたくはないから。それは、想像するだけでも恥ずかしい。

 結局、夫に押し切られて、我が家は「パパママ呼び」に決まった。夫の説だと、呼び方

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てんとう虫

てんとう虫

 娘が小学1年生の春。

 学校から帰ってきたばかり娘が筆箱を開けながら、
「この子たち、飼ってもいいでしょ。かわいいから、つれてきたよ。」

 箱型の筆箱の中で、黒地にだいだいの斑点があるとげとげのイモムシが2匹、もそもそと動いている。

 筆箱にイモムシが……。

 よく生きていらっしゃった!

「初めてみたよ。なんの虫のあかちゃんなの?」

 娘は得意げに、
「てんとう虫。」

 学校の校庭

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海のきゅうり

海のきゅうり

 その日、わたしは生後6ヶ月の娘を連れて、児童館へ遊びに行っていた。

 娘はおとなしくお座りをして、積み木に夢中だ。まわりをみると、娘より少し年上の赤ちゃんが多いようだ。先輩ママの話が聞けるかなとちょっと期待する。

 なんとなく挨拶をしつつ、まるく集まって、ママさんたちの話が始まった。わたしも端っこで、話を聞く。ちょっと、聞こえづらそう。集中しないと。わたしは耳が遠い。

「○○○アレルギー、

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娘、卒業おめでとう!

娘、卒業おめでとう!

 3月某日。
 娘が高校を卒業した。

 式はコロナ禍ということもあり、各家庭の保護者は1名のみ、在校生は代表者1名、来賓の方も呼ばれていない。

 簡素化した式は、心温まるいい式だった。
恒例の校長先生の長いおはなし、尊敬する先輩への送辞、涙なみだの答辞……

 答辞を味わうように聞く。

 ふと、娘が入学した当初を思い出した。自由を好むマイペースな娘が選んだのは、厳格な校風、課題や勉強量が多い

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息子、卒業おめでとう!

息子、卒業おめでとう!

 息子の卒業式当日。
 時刻は朝の9時半。
 中学の卒業式が始まっている時間だ。

 のそのそ起きてきた息子に尋ねられ、本日のスケジュールを簡単に伝えるわたし。
 いこうとは思ってるのね。

 さよならが苦手な息子。
 1学期の初めから、クラスのみんなと別れるのが辛いといっていた。別れが近づけば近づくほど、学校から足が遠のく。もう、これ以上誰とも仲良くなりたくない。別れが辛すぎるから、と。

 卒

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