娘、卒業おめでとう!
3月某日。
娘が高校を卒業した。
式はコロナ禍ということもあり、各家庭の保護者は1名のみ、在校生は代表者1名、来賓の方も呼ばれていない。
簡素化した式は、心温まるいい式だった。
恒例の校長先生の長いおはなし、尊敬する先輩への送辞、涙なみだの答辞……
答辞を味わうように聞く。
ふと、娘が入学した当初を思い出した。自由を好むマイペースな娘が選んだのは、厳格な校風、課題や勉強量が多い学校だった。意外な選択にわたしは固まった。
周りのママ友に、「そこは大変だよ。やめた方がいいよ。」と何回かいわれたほど、厳しいと有名な学校。娘は、「だって、いわれなくちゃ、やらないもん、わたし。」なるほど。
すでに不登校の息子がいる。娘まで、そうなってしまったら、とわたしは怖かった。でも、わたしが決めることではない、ね。
めでたく娘は高校に受かり、忙しい日々が始まった。膨大な課題、予習と復習にようやく慣れたら、朝補習や夕補習が始まった。部活もある。休む間がない。
何度わたしは、
「休んだら?」「やめといたら?」
と娘にいっただろう。
がんばりすぎ、がんばらせすぎ、がいかに毒か、わたしは身に染みてわかっている。
のんびりやの娘、なんどもくじけかけた。疲れから体調を崩しては、先生の許可をもらって補習を休み、体調を整えて……の繰り返し。よく乗り越えてきたものだと感心する。自分で選んだ道だから、がんばれるのだろうか。
コロナ禍で、修学旅行は遠足になり、楽しみにしていた球技大会や文化祭もなくなった。行事のあとの打ち上げは禁止。
我慢が多い学校生活だったろうに、限られたなかで、楽しみをみつける名人になった。楽しみ上手の人は、より多く、より深く楽しさを味わえるものなのだなぁと、娘をみていて思う。
卒業を迎えて、娘は笑顔でいう。
「高校は、みんな素敵で優しい人ばっかり。楽しかったなぁ。みんなに毎日会えなくなるのは寂しいけど、LINEもあるしね。」
あなたの笑顔にわたしもつられて、笑顔になる。あなたのこれからも、楽しさがいっぱいでありますように。
卒業おめでとう!
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