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エッセイのようなもの

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子どもたちのこと、思い出ばなし、自分のことなどなど。
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2021年11月の記事一覧

わたしの星月夜

わたしの星月夜

 2020年の4月のこと。
 わたしは通信制高校の聴講生になった。通信制高校はスクーリング(授業)に行き、自分でレポート(作品)を作成して、単位を取得する高校だ。主に高校生が通うが、わたしのような学びたい大人も受け入れてくれる。

 美術1クラスの最後のレポートは教科書にある好きな絵の模写。わたしは、幻想的なゴッホの星月夜に惹かれ、これに挑戦しようと思った。けれど、油絵の具は持ち合わせがない。

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震える

震える

「あっ、雨!」
 カメラやビデオを濡らさないように、すばやくシートをかける。
 1998年2月26日、正午。

 大学生のわたしは先輩たちと、カリブ海のアルーバ島※1を訪れていた。ずっと憧れていた皆既日食※2を見るためだ。

 パラつく雨空を見続けるわたしたち。ため息。太陽は雲間から顔を出すが、すぐにまた雲に隠れてしまう。ため息。上空は風が強いようだから、まだ可能性はある。晴れますように!

 ア

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