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もう一つの人生

 B'zのボーカルである稲葉浩志さんは横浜国立大学教育学部の出身で、教員になることを目指していたそうだ。しかし、「あるきっかけ」があって人生の方向転換をしたのだという。

 大学4年生になった稲葉さんは、まず主専攻である小学校教員の免許を取得するために、ある小学校で4週間の教育実習を終えた。

 その後、今度は副免許として中学・高校の数学の教員免許を取るため、中学校で実習をすることになった。ところが実習の初日に、稲葉さんはその中学校の校長に呼び出されたのだ。

 当時の稲葉さんは長髪だったので、校長はそのことを問題視したようだ。

「稲葉さん、その、ちょっと」
 と、指でつくったハサミで髪を切る仕草をしながら、
「何とかなりませんか」
 と言ってきたのだという。

 稲葉さん本人は、髪を切ること自体には抵抗がなかったそうだ。ただ、その言い方やジェスチャーが気に食わなかったので、
「何とかなりませんか」
 という校長の問いかけに、
「なりません」
 と答えてしまった。

 結局、教育実習は初日で打ち切りとなり、教師になることも断念したそうだ。B'zのファンにとってみれば、この校長に感謝したいところかもしれない。

 だが、少なくとも小学校では教育実習を受け入れてもらえたわけだから、別の中学校であれば最後まで実習をすることができた可能性もある。

 そうすると「長髪・イケメンの稲葉先生」が誕生していたかもしれないのだ。人生というものはわからない。 


 先日の記事で、次のような内容を紹介した。

 岡山市内の市立小学校に勤務する20代の女性講師が、「ツイキャスで自身の歌声を5年間にわたってライブ配信し、地方公務員法に違反する副業収入約162万円を得ていた」として同市の教育委員会から戒告の懲戒処分を受けた。この女性講師は依願退職をしたという。

 この元・女性講師の方は、これからどのような人生を歩んでいくのだろうか?

 もしかしたら、B'zの稲葉さんのように音楽の分野で成功を収めることになるかもしれない。

 また、岡山市以外の自治体であれば、再び教員をすることもできるだろう。ツイキャスには懲りただろうが、趣味として音楽を続ける分には何の問題もない。

 もちろん、それ以外の選択肢だって無数にある。

 どんな道へ進むにしても、「未来に幸多かれ」と祈りたい。

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