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「1カ月あたりの読書冊数」が「0冊」


 通勤電車の中では、本を読むことが多い。だが、寝不足のときや疲れているときには、なかなか読書に身が入らないものだ。

 そんなときには、本を閉じてボーっとしたり、スマホをいじったりしてしまうことが多くなる。

「本を読む」という行為には、一定の気力や体力が必要なのだろう。


 横浜市教育委員会と立教大学 中原淳研究室は、2017年に共同で「教員の働き方や意識に関する質問紙調査」を行った。

 この調査では「1カ月あたりの読書冊数」についても尋ねている。

『データから考える 教師の働き方入門』
辻和洋/町支大祐編著、中原淳監修(毎日新聞出版)
80ページより

 その結果によると、「0冊」という回答が全体の32.4%を占めている。実におよそ3分の1の教員が、1カ月の間に1冊も本を読んでいないということになるのだ。

 しかし、だからといって「最近の教員は不勉強だ」と決めつけてしまうのは酷だろう。

「教員の長時間労働」の影響が、その読書活動にも表れていると見るのが妥当である。

・本を読みたくても、そのための時間がない
・時間があったとしても、本を開く気力や体力が残っていない

 ・・・ということなのではないだろうか。


「読書冊数が0冊」の教員が増えたとしても、すぐに教育活動に影響が出るというわけではないだろう。

 だが、中長期的に見ると「教育活動の質の低下」につながる可能性が高い。そして、その影響を受けるのは、学校で学ぶ子どもたちなのだ。

 本をまったく読まない教員が、子どもたちに「読書指導」をするというのであれば、それは喜劇であり悲劇だろう。

「教員の長時間労働」の是正が急務である理由は、こういうところにもあるのだ。

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