見出し画像

「遠隔教育特例校制度」廃止の先にあるもの

 オンラインによって複数の中学校をつないで授業を実施する「遠隔教育特例校制度」について、文部科学省はこの制度を廃止し、都道府県教育委員会の関与のもとで学校現場がより柔軟に対応できるようにするという改正案を示した。

 これまでの特例校制度では、
「受信側の教室には、その中学校に勤務する教員免許状(中学校の普通免許状であれば教科は問わない)の所持者がいることが必要」
 とされていた。

 制度の廃止後は、普通免許状ではなく臨時免許状や特別免許状の所持者でもそれが可能になる見通しだ。ちなみに、臨時免許状や特別免許状は都道府県教育委員会が独自に授与することができる。

 また、都道府県教委は「教員免許状がなくても教科の専門性がある者」を特別非常勤講師として任用することができる。こうした特別非常勤講師を受信側に配置して遠隔教育を行うことが可能であることも、省令で明確化される予定だ。

 文部科学省は3月15日までパブリックコメントを募集し、年度内には省令を改正する見通しだという。

 もともと中学校の「遠隔教育」については、離島や山間僻地など、全教科の担当教員が揃っていない小規模校を対象として実証的な研究や取組が進められてきた。

 特例校制度が廃止されることによって、今後は遠隔教育が拡充されていくだろう。その背景には、コロナ禍によるオンライン授業の急速な普及や、中学校の技術科や家庭科などにおける深刻な教員不足があるのだろうと思われる。


 これによって制度上は、
「拠点校にいる教員が複数の学校へ授業を配信し、それを受信校の生徒たちがオンラインで受講する」
 という「サテライト予備校」のようなスタイルも、都道府県教委の判断で可能になる。

 今回の「特例校廃止」がそこまでを企図しているのかどうかは不明である。だが、今後の動向を注視していく必要はありそうだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?