男性オタクが演劇に興味を(中略)の記事へのはてなブックマークコメントに対する返信

 いろいろ反応頂いたようでありがたいです。
 こういう記事を書くと「なんでnoteを使ってるのにはてなブックマークに返信するんだ。はてなブログを使えばいいじゃないか」的な反応が来るんですが(前に来た)、私は元々2014年頃からはてなブログの住人で、2019年頃を境にnoteに移住してきました。
 はてなブログで観劇感想を書くのがかなり盛り上がっていた時期もあって、舞台だか若手俳優だかをテーマにしたブロググループも賑わっていたのですが、段々と皆がnoteに移住してゆき、私も実感としてはてなブログよりnoteの方が読まれる感じがするし課金動線も便利、というしょーもない理由でnoteを使っております。それだけなので、深い理由はありません。


Q. それだと「男性向け興行でお金を稼ぐ」ビジネスの看板に「舞台」がくっつかない理由を説明できないので、やはり舞台は女性の趣味なのでは?
 男性に対しても十分に客層を広げられる可能性のある趣味だが、現状では女性の趣味と言わざるを得ない、というのは事実だと思います。他のブコメでも指摘がありましたが、ブシロード(スタァライトなど)は特に男性向けの2.5次元に力を入れている印象がありますね。私もスタァライトの舞台版は2作ほど観劇したことがあります。あと「アリスインプロジェクト」の公演も昔ご縁があり観に行ったことがありますね。男性にうけるツボというのが私にはぜんぜんわかりませんので作り手側がどうするか次第だと思いますが、現状の作り手側の多くが女性を向いているというだけで、男性の方を向いて作る舞台制作が増えれば環境は変わると思います。まあこれは一観劇オタクが言ったところでどうにもなんない話なのですが。
 ただしハード面でまだまだ男性に対して優しくないんじゃないかなとも思ったりします。有名な劇場でも、座席の構造が男性に対して窮屈なんじゃないかと思うことは多いです。特に帝国劇場は前にも別の記事で書きましたが、なぜこれが日本で一番スゴイ劇場だと言っている人が多いのかわからないくらい前の列と自分の座席の間隔が短く、160cmの私でも窮屈に感じるのですから男性は疲れてしまうでしょう。私は父を4年ほど前に少年社中の「トゥーランドット」に誘い、サンシャイン劇場まで来てもらったことがあるのですが、身長170cm台中盤の父にとってサンシャイン劇場の座席はけっこう窮屈だったという感想を聞きました。
 まあハード面はすぐ変えられるもんでもないので割とどうしようもないと思うのですが……。

 ちなみに、他の元増田へのトラバ記事で「演劇はそもそもフルタイムで働く男性が見に行きやすいように出来ていない」という話があったのですが、これは別に女性向けの2.5次元舞台に際しても普通に起きている議論で、コロナ禍の最中に(もはやなんであんな制限がされていたのか忘れてしまいましたが)「20時までに興行を終えなければいけない」みたいな規制が敷かれ、ミュージカル「刀剣乱舞」のライブ公演で「昼公演11時30分、夜公演16時スタート」というどこの誰がマトモに働いてたら見に行けんねんというスケジュールが組まれ、オタクは仕方がないので家の所在地によっては漁師?みたいな時間に家を出て公演に通ってきていたと思われます。
 天王洲アイルに2.5次元舞台で頻繁に使用される「銀河劇場」という、個人的にはなかなか好みの劇場があるのですが、何せ天王洲アイルという羽田空港の手前らへんの場所に建っているため、平日18時公演とかになるとやはり「どこの誰がマトモに働いてたら見に行けんねん」状態になることもあります。しかしそれでも埋まる公演はけっこう埋まっていたりするので、みんな仕事をどうにかこうにかして現場に来ているのだと思われます。結局、男女問わずフルタイムで働きながら観劇を趣味にするとなると、仕事をどうにかこうにかする能力が問われるので大変だと思いますし、どうにかこうにかするためには趣味にかける熱意が必要なので、結果的に現状ではジャニーズとか2.5次元俳優の「推し活」的なものに対する熱意の高い女性が多く公演に来ている、みたいな話だと思います。

Q.これは逆にオーディション出来るような一部の人気劇団のさらに一部に限る話。地蔵中毒なんか分かりやすくて春とヒコーキみたいな男性ファン9割の芸人呼んでた
別に質問形式じゃないものに勝手に反論させてもらうと、私は春とヒコーキが客演する前から地蔵中毒の公演を観ているのですが(2018年3月の第7回公演「『淫乱和尚の水色腹筋地獄』改め『西口直結!阿闍梨餅展示ブース』」が初見)、ぜんぜんその頃から客席の半分くらいはおじさんだったと認識しているので、春とヒコーキはあんまり関係ないと思います。

Q.歌舞伎も舞踊が入るし、往年の新宿コマの舞台(サブちゃんマツケンなど)や梅沢富美男などでおなじみ大衆演劇も後半は歌謡ショー。"半分くらいが歌って踊るライブで構成されている" のは日本の伝統だと思う
まあたしかにそうなんですが(大衆演劇は友人にわりと熱心な「お客さん」している人がいるので、「お花」をつけに遊びに行ったことも何度かあります)、2.5次元界隈では演技力の低さ、コンテンツ力の弱さ、チケット代の高さを(悪い言い方をすれば)誤魔化してさらに集客するためのカンフル剤としてライブ(そしてファンサ、いわゆるレス)が使われている現実があるので、歌舞伎とか大衆演劇と一緒にするのはなかなか失礼かなァと思う次第です。

Q.ジャニーズJrの外部舞台そんな面白いことになってるんですね
ここは元記事でざっくり書いてしまったので詳しく書き加えておきたい部分があって、ジャニーズJr.の外部舞台はなかなか良質なものも多いし、チャレンジングなものも多いです。鈴木勝秀演出の「ROCK READING」シリーズ、芥川龍之介「河童」の舞台化、「怪人二十面相」や「三銃士」をテーマにした演目などなどはけっこう好みが分かれますが、私も大好きです。深作健太演出のドイツ家族劇シリーズ「火の顔」「ドン・カルロス」「アンティゴネ」なんかは、ジャニヲタがいきなりわりかし高度なドイツの戯曲を観て、考えることになり、SNS上での批評/感想の投稿も盛り上がっていました。ほかにも、鴻上尚史脚本・演出の「ロミオとロザライン」、「少年忍者」というグループの織山くんがダンス演目に抜擢された黒田育世のプロデュース公演「波と暮らして/ラストパイ」、ノゾエ征爾演出の「明るい夜に出かけて」など、Jr.をぼんやり追いかけているだけでもけっこう面白い演目が観られます。これらは確実に若いジャニーズファンに演劇への興味を惹き起こすという点においてよい効果をもたらしていると思います。
 ただし、元記事にも書いたようにジャニーズJr.を起用すればどんな内容だろうと一定数の集客が得られるため、おいおいそれは一体どうなんだ的な興行を打ちまくる制作もいて、近年オタクの中で話題になっており評価がはっきり賛否両論に二分されているのが「ワンダーヴィレッジ」の舞台作品です。検索していただけるとすぐわかるのですが、浦安鉄筋家族かパチ屋の新装開店かみたいなポスタービジュアルをブチかましてくる、やる気があるんだかないんだかよくわからない舞台制作です。
 Jr.を追っかけているジャニヲタも前述の経緯でそこそこ演劇好きになっている者が一定数いるため、ワンダーヴィレッジの舞台の時期になると「私は全然楽しめたよ派」と「自担が虚無に徴兵されててつらいよ派」に分かれたプチ学級会が発生したりもします。どうでもいい豆知識でした。

Q.じゃあなんで男性客相手の商売はあんまり演劇的なのやらんのだろうね?って疑問がそもそもで沸いてくるのよね。グループアイドルなら演劇的アプローチ出来そうなのに。すると男客は演劇に興味ないからでは?って 
他のブコメで言及している方もいましたが、ハロプロは「演劇女子部」シリーズがありますし、乃木坂メンバーもけっこう外部の舞台に出ていたりするので、実は意外と男性相手への演劇的アプローチは既になされているのではないか、という説があります。
 それが商業的に成功してるのかどうなのか、という点までは私も詳しくないので、別の有識者の解説を待ちたいです。


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