男性オタクが演劇に興味を持たないのは何故かみたいな話に対する意見

 多いときで年に100回くらい舞台を見ている舞台オタクなので、個人的に意見を書きたいと思います。ちなみに、筆者は25歳の女です。

 まず、私はもともと所謂2.5次元舞台やヒーローショーに通っていたので、そこから舞台を見始めましたが、年々小劇場でやっている演劇の方を魅力的に感じるようになり、「実は私って、2.5次元が苦手なんじゃね?」と近年は思いつつある立場です。
 完全なる私見ですが、そもそも今の2.5次元舞台の客層の多くを支えているのは、「本来ならば、人生で演劇に触れることなどないであろう人々」です。つまり、いわゆる推し活ブームや2.5次元ブームに乗っかって一時的に流入している層で、恒久的に「演劇」「芝居」の顧客になってくれるわけではない人々が、イケメンを応援する行為の土俵がたまたま2.5次元舞台という一応「舞台」の名が冠された場であったため、なんとなく「演劇」の顧客っぽく見えているだけなのです。
 このマジックにより、演劇ファンを引きで見ると相対的に女性が多い感じがするのですが、実際にコアな翻訳ものを上演している小劇場なんかに足を運んだりすると、男女比って5:5くらいだったりするので、恒久的に「演劇」のお客様になっているヘビーユーザーの男女比はそんなに変わらないと私は見ています。
 それから、元記事でジャニーズの舞台が「舞台」として挙げられているのですが、ジャニヲタの中にも確かに演劇好きはいるものの、若いジャニヲタの大半は「芝居を見に行く」というより「自担(=推し)のいる現場」という感覚で現場に足を運んでいるのですよね。つまり、どんなあらすじか? 誰が演出しているのか?を殆ど気にすることなく、タレントがいるからという理由でチケットを買ってくれる客層でもあります。これを逆手に取って、ジャニーズタレントをメインに据えためちゃくちゃつまらない舞台が生産されたり、逆手の逆手でジャニーズタレントをメインに据えたなかなかチャレンジングな内容の小劇場舞台が生産されたりしている訳です。どんな内容の興行を打っても一定数の売り上げが保証されているので、すっごい手抜きもあればすっごいギリギリを攻めた面白い舞台もあります。ここらへんがジャニーズJrのいわゆる「外部舞台」をウォッチングしていて面白いポイントでもありますね。
 なので、女性のほうが演劇が好き、というよりも、ジャニーズや2.5次元といった「女性向け興行でお金を稼ぐ」ビジネスの看板に「舞台」という肩書がくっついているので、結果として女性の方が舞台に足を運んでいる感じが出るのでは、と思っています。
 2.5次元舞台も、一応「舞台」という看板がくっついているのですが、半分くらいが歌って踊るライブで構成されているものもそこそこあったりするので、それは果たして「演劇の興行」にカウントしていいのか?みたいな議論もあったりします。

 実際ヘビーな頻度で小劇場に通っていると、割と客席の半分くらいおじさんという状況も頻発するので、むしろ元増田がなぜ「演劇ファンは女性ばかり」と思ったのか気になるところです。
 ここ1年以内で「客席の半分くらいおじさんだったなァ」と思った興行をざっくり挙げてみても、「虚構の劇団」(鴻上尚史演出)、「劇団『地蔵中毒』」、「serial number」、「ナイロン100℃」、あと岡田利規作品を本谷有希子が演出した「掃除機」、「劇団た組」(ちょっとだけ女性比率高かったかな)、観に行ったばっかりですが「大人計画」など。
 挙げてくとキリがないのですが、とにかく「ジャニーズの内部/外部舞台」「2.5次元舞台」とマニアの言うところの「演劇」は、マニアな人からするとそもそも違うものとして捉えられていて、前者は女性比率がたしかに非常に高いんだけど、後者はそんなでもない、という結論になるのではないかと思います。

追記

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