テクノロジーはどこへ向かうのかMicrosoft Innovation Day 2018レポート
Microsoft Innovation Dayはイベントは学生、教育者、スタートアップ、エンジニア、投資家、アクセラレーター、ビジネス リーダーなどを対象としたイノベーション創造イベントで今年は4月16日に開催された。
このイベントは大きく分けるとこんな感じになっている。
①学生さんたちが起したイノベーションの内容を発表する ”Imagine Cup” ②Start up企業が起こしたイノベーションの内容を発表する”Microsoft Innovation Award” ③MS社のテクノロジーを披露するミニセッション4本 ④ ①、②の表彰式と懇親会
プログラムの詳細はリンク先を見ていただくとして、ここでは僕の好奇心のアンテナが大きく反応したところについて書いてみようと思う。
開始は12:45。会場に集まった人数は500人程度であったと思う。まずはMS社の方によるオープニングトーク。突然流れる動画に僕の大好きなアーチストCommonが登場し度肝を抜かれる。
相変わらず恰好よい。彼の2000年のアルバム”Like Water For Chocolate”に収録されている”The 6th Sense”の中に”Revolution is here”というリリックがある。音楽で常に革新的な価値を提供しようとする彼をAIのビデオに起用するあたりにMS社のセンスの良さを感じる。お金のかけ方がさすがに上手だ。
① Imagine Cup
学生たちのチーム計10チームが発表を行った。一つの大学のチームだけでなく、複数の大学の学生による混成チームや、高専生のチームもあり、5分間という限られた時間の中で懸命に伝えようとする姿に、ちょっと胸が熱くなるような感覚を覚えながら観させていただいた。
結果的に「優秀賞」に選出された3チームの発表内容は(1)AIを活用した特定個人の音声抽出ソフト (2)スマホのGPS機能とAIを活用した紛争地域における有事対応サービス (3)AIを活用した魚の養殖事業支援、自動給餌システム であった。
あらゆる市場が飽和した社会において、どのチームも新規性を生み出すことに苦労している様子が伺えた。学生さんは金銭欲が薄いみたいで、審査員の「ビジネスモデルは?」という問いに上手く答えられたチームが評価されていたように思う。
② Microsoft Innovation Award
こちらに参戦した企業は全部で12社。学生たちの発表に比べるとやはりクオリティが高く、内容が濃い。5分という制約の中で、全てを伝えるのはとても難しいことが観て取れる。内容が濃いチームの発表者は皆、とても早口でスピーチをしていた。
どの会社も「ビジネスモデル」がしっかりと考えられているところと、二番煎じ的、セカンドクリエータ的ではなくオリジナリティを出そうとしているところが学生チームとの大きな違いであるように感じた。
会場やスポンサー企業の投票は見ていて面白い内容であった、楽曲のフレーズから似た曲をレコメンドしてくれるサービスや、ドローンによる非GPS型の3Dデータ生成サービスに票が集まったが、最優秀賞に輝いたのは株式会社アラヤのDeep Learningを高速化し演算量を削減するサービスであった。
翌日、アラヤのサイトを改めて眺めてみるとやはり凄い会社であることが再認識できた。Deep Learningとは何か、AIはどう活用するのが良いのか、元ソニーCEOの出井さんを顧問に迎えた頭脳集団が若い社員を育てつつ事業のコアを作り上げようとしていることが、彼らのTech Blogから見て取れる。僕もPythonの学習をさっさと進めないと・・・とても良い刺激をいただくことができた。
③MS社、ミニセッション
(1)Mixed Reality~常識を変えるテクノロジー~
(2)AI~データを変革する機械学習~
(3)Blockchain Fin TechだけではないBlockchainの未来
(4)IoTでスタートダッシュ
近頃の展示会でよく目にするホロレンズとMixed Realityについては動画を見ていただくのが早いだろう。
4つのミニセッションでMS社が参加者に提供しているのは、彼らが保有する技術やサービスの情報で、参加者がそれらに魅力を感じてくれてMS社のファンになってくれれば良いという、いわゆる「フリーミアム」戦略だ。
フロントエンド、つまり顧客が真っ先に飛びつきたくなる領域に価値のある製品やサービスをラインナップして、バックエンドに高額な製品やサービスも持っておく、このやり方はおそらく多くの企業が考えているところだろう。
今回のイベントでMS社の方がスピーチされていた中で、僕に最も響いたのは「AIの民主化」や「テクノロジーの民主化」という言葉。テクノロジーは多くの場合、それを発明・発見した人がその技術をどう活用するのが良いか気づくことは少なく、うまい使い方を見つけた人や企業が儲けに繋げられるものだ。なのでテクノロジーは独占しようとするのではなく、企業の「フロントエンド」にしてしまって、顧客にはファンになって貰った方が得策ですよってことなのだろう。
IoT技術の紹介資料はGithubにアップされている。仕事で関係がある方は活用して欲しい。
本当はイベントの最後まで参加して、何人の方とサラリーマンらしく名刺交換でもしようと思っていたのだけれど、意外と疲れてしまい19時頃に会場を後にした。
地元の立ち飲み屋さんで疲れをほぐすの図。ハイテクな空間に長く居続けると結構しんどいってことだな。
※このnoteは投げ銭制。ここから先にはMicrosoftの良くない部分もこっそり書いてみた。ダークサイドに興味がある方は買ってみてください。
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