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K10Dと散歩する休日の午後

明日から大学が始まってしまうある種焦燥感を感じながら昼頃に起きた今日。天気が良かったのでPENTAX K10Dと一緒に散歩に出かけた。地元からここに引っ越して1年経ったが知らない場所も多い。通学に使わない場所や駅から遠い住宅街は全く知らないエリアだ。しかし今日はそんな場所を歩いてみることにした。

以下、PENTAX K10D smc takumar 50mm f1.4

家を出た時には午後2時を過ぎていて陽の光がオレンジがかっていた。そんな雰囲気にはオールドレンズが最適だ。ゆっくりした時間が流れる午後をマニュアルフォーカスで過ごすのは気分がいい。また、このレンズはアトムレンズとして有名で経年変化で後玉が黄変する。そこであえてホワイトバランスを固定してレンズ本来の色が出てくれるのを期待した。

とはいえWB晴天で微調整なしだと黄色すぎたので青方向に調整した。暖かい色を残しつつ自然なWBにすることができて満足した。
このレンズはフィルム時代とは思えないほどキリっとした描写をしてくれる。開放が甘いのは言わずもがなだが、2.8まで絞るとそこからはとてつもない解像感を見せてくれる。上の写真に写っている自転車のロゴの部分を拡大してみるとそのくっきりとした描写に驚くはずだ。

1000万画素とは思えないほどよく写っている。最近のオールドレンズブームは「写りすぎない」ことや「独特なボケ」が評価される傾向にあるが、素直に実戦で使えるレンズとして選んでもいいのではないか。

このあたりからは未開の地だ。駅から徒歩20分ほどの場所で、アップダウンが激しい地域だ。(これは今日初めて知った)この木が生い茂っているあたりに神社があるらしいのでまずそこを目指した。

神社に着いてもその社の写真は1枚も撮らなかった。これは言い訳にしか聞こえないかもしれないが、木漏れ日が美しい場所が多くてそちらに気を取られていたのだ。
このあたりは住宅街で学校も近いので子供が遊ぶ声が聞こえる。やはり元気に遊んでいるのを見ると安心感もあるが、懐かしさも感じる。自分も昔はああやってどこでも遊び場にできたなあなどと考えて感傷に浸った。

ブランコに対して丸を描くように柵が設置してあってなかなか面白味のある遊具があった。やはり木漏れ日がきれいだ。この春休みは休みらしからぬ忙しさだった気がして、こんなに休日らしい休日は久しぶりだった。普段は遅く寝て遅く起きての繰り返しだったような気もする。

先ほどの森を抜けると竹林があった。あきらかに角度がついてきた太陽がまっすぐ伸びる竹を照らしていた。
この辺りは高台になっていて明らかに生活するには不便な坂が見えている。今日は心の赴くままに歩こうと決めていたので僕はその坂を下って行くことにした。

僕が今住んでいるアパートは交通量の多い道路に面していて昼夜問わず車の通る音が響いているのだがこの辺りになると車通りもまばらだ。自分が歩く靴の音だけが響いている。シャッター音も然り。

気付けば時計は午後5時を示していた。マンションの影が大きくなって少し肌寒さも感じる。どうやらセブンイレブンが近くにあるらしい。初めて行くコンビニは少し特別だ。このセブンイレブンは公園に近いため小学生が多かった。元気な彼らを見ると、周りの大人から元気を吸い取っているのではないかと思ってしまう。

この辺りになると駅が近くなってきて踏切をちらほら見るようになった。その駅もまだ行ったことがなかったのでそこから自分の最寄り駅に帰ることにした。上りと下りで入口が違う構造はこぢんまりしていて嫌いではない。大きな駅もわくわくするが、こんな小さな駅も生活と直結しているのを感じられるので好きだ。日も暮れかけている。そう思っていると電車が来てくれた。

最寄り駅に着いていつもの帰路につく。すでに太陽は沈んでいて、東側の空は青く沈み、西側の空は朱く染まっていた。

そんな空を見上げて僕の休日、もとい春休みは終わった。終わりよければすべてよしとはよく言うが、とてもすがすがしい気分で、明日からの講義も頑張れそうだ。

かくして世界は終わる。爆発ではなくすすり泣きで。

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