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ドレスが印象的な映画 | FEBRUARY | 12Months Movie

その月に合わせたモチーフが印象的な映画を、映画好きのイラストレーター3人が12ヶ月間に渡ってご紹介する12Months Movieです!

バレンタインのある2月です。そこから想像を膨らませて、今月はドレスが印象深く使われている作品をご紹介します。

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ファントム・スレッド (2017)
監督 / ポール・トーマス・アンダーソン

Eika: 1950年代のロンドン。オートクチュールの天才仕立て屋として活躍するダニエル・デイ=ルイス(監督とは二度目のタッグ、今作で引退!)演じるレイノルズは度を超える美意識を持ち、全てをコントロールせずにはいられない超完璧主義者。そんな彼が他人と深い関係を育めるはずも無いのだが、その才能ゆえに社交界からは常に脚光を浴び、ドレスの製作依頼が絶えなかった。
しかしある日、田舎のレストランで働くビッキー・クリープス演じるアルマと出会ってしまう。レイノルズ曰く「完璧な体」を持つアルマは、彼のミューズ、モデル、そして恋人として彼との生活を始める。しかしアルマという女性、彼女は、今までの女性のように一筋縄では行かない!

ゼア・ウィル・ビー・ブラッドから二度目の監督主演コンビ!ダニエル・デイ=ルイスは撮影にあたり一年間、裁縫の修行を積んだらしく、その姿勢というか美学はまさにレイノルズの魂に乗り移ってるかのよう!自分基準の美しさを崇拝するあまり、実に生き辛そうな人間が確かにそこにいる。

そんなレイノルズの美意識を反映すべく、劇中使われる衣装たち、レイノルズが姉と運営するハウスの美しさったら…眼へのご褒美になる至高の映像です。そんなレイノルズに仕立てた素敵なドレスを着たアルマが堂々ポーズを決め、それをこの上なく幸せそうに見つめるレイノルズのデレデレ顔がカワイイので注目して見てね。

世間知らずでナイーブに見えたアルマという女性は、レイノルズの希望に反して、黙らない。2人の言い争う姿は見ているこっちからすると実に笑える。(仕事中に良かれとお茶をもってきたアルマに、邪魔されたとしか思ってないレイノルズの恨み節がスゴイ)ハハハと見ている分には良かったのだけど、事態は思いも寄らない展開に震え上がるほど!愛とは様々だとわかっているけど、2人の愛はなんて滑稽なんだ、ウケる!

yuki : 予告が重い恋愛ものっぽいイメージ?で観れてないんだけど、えいかちゃんのイラストがすごく刺激的で気になってる…!映画の世界の美しいドレスって見ているだけで幸せよね!今回は時間がなかったけど、改めて観ます! 
丸ゐまん丸 :ホラーみを感じる印象だったけれど、まったく違った。愛の形に正解はないけれど、僕はこれも純愛の形なのだな、と思った。終始衣装に意味を感じるとても素敵な作品。ドレスのイラストも素敵だし、Eikaちゃんの描くロゴが最高かっこいいです。


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クレイジー・リッチ・アジアンズ(2018)
監督:ジョン・M・チュウ

丸ゐまん丸 : ニューヨーク大学教授のレイチェル・チュウ(コンスタンス・ウー)は中国系アメリカ人で、生粋のニューヨーカー。恋人のニック・ヤン(ヘンリー・ゴールディング)の親友の結婚式のために一緒にシンガポールへ行くことになる。
空港に到着すると、ニックが世界的セレブであることを知り、ニックを狙う女性たちの羨望と嫉妬を一身に浴びせられるレイチェル。さらにシンガポールでニックの母エレノア・スン=ヤン(ミシェル・ヨー)に「アメリカ人」と露骨に見下され、そこから様々な苦難にさらされていく。

ハリウッド配給の作品で、主要キャストがアジア系俳優のみの作品は『ジョイ・ラック・クラブ』(93年)以来として話題になりアメリカでも大ヒットし賛否両論を起こした作品。

「大ヒットしたアジア人だけのハリウッド映画が日本にやってくる」。その情報だけで観に行き、大当たり。今となっては『ハスラーズ』(19)の主人公デスティニーとして知られてるコンスタンス・ウーの魅力が輝き続ける2時間。

二人を最初から歓迎してくれていた親友コリンとアラミンタの結婚式がハイライト。足元に水が流れたり、全員が光る草を持っていたりと、かなりクレイジーな結婚式演出だけど、そこで完全なる主役・花嫁として立つアラミンタ(ソノヤ・ミズノ)ドレス姿の美しさに感動が止まらなかった。

終始聡明で、品のあるレイチェル。終盤、ニックの母でありラスボスのエレノアと麻雀をしながら話すシーンは屈指の会話劇で、脚本できっちりとカタルシスをもたらせてくれるので、是非観て欲しい作品です!

yuki : 王道シンデレラストーリーをまるさんが選ぶのが新鮮でイラストを見るのもとても楽しい!オークワフィナを初めてちゃんと認識した(オーシャンズ8も印象的だったけどさらに印象的!)作品で、アジアの役者さんが活躍するのはとても嬉しいですね!あんなにクレイジーなリッチなら、尻込みするので先に言っておいて欲しいとは思った。笑
Eika : オールタイムベストのひとつ!私も移民の孫なのだけど、「周りが言うように、私は"ニセモノ"なのかな?」と悩んでいだ過去の自分にも見せてあげたい、キラキラの勇気をもらえる作品です!この結婚式のシーンではCan't Help Falling in Loveが流れるのだけど、歌詞の意味が初めて心底腑に落ちたな〜


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魔法にかけられて(2007)
監督:ケヴィン・リマ

yuki : おとぎ話の世界・アンダレーシアに住むジゼル(エイミー・アダムス)は、運命の人と出会うことを夢見て森の動物たちと静かに暮らしていた。ある日、ジゼルはトロールに襲われ、木から落ちたところをエドワード王子(ジェームズ・マースデン)に助けられ、運命の出会いを果たす。2人はそのまま婚約して翌日には結婚式!しかし、ドレスアップしたジゼルは、お城へ向かう途中、老婆に井戸へと突き落とされてしまう。ジゼルが落ちていった先にあるフタを開けると・・・そこは現実の世界の大都市・ニューヨークだったー。

アニメーションから実写へ。これまでディズニー映画を沢山見てきた人なら、あれも、これも、それもーーー!!と大はしゃぎしてしまう、ディズニーのセルフパロ満載の本作ですが、カーテンでドレスを作っちゃうのはおそらくサウンド・オブ・ミュージックのオマージュだと思うし、ガールズムービーの定番の爆買いショッピングシーンがあったりと、女の子の好きなものを詰め込んだ映画だと思います。それでいて、ちゃんとパロで入れたモチーフをストーリーに生かしていたり、とても見事な脚本でした。

ジゼルは部屋の片付けのために、動物たちを呼び出すんですが、おとぎの世界と違ってニューヨークにいる生き物って・・・ドブネズミや、鳩や、G・・・なんですよね。笑 最初は驚くジゼルだけど楽しく歌って仲良くなる。どんな人でも、どんな生き物でも、疑わず平等に接するというジゼルの性格を印象づけるには強烈すぎるシーンでした。

ジゼルはこれまで何も疑わずに「運命の人と出会って結婚する」ことが当然の幸せだと思っていたけれど、ニューヨークでジゼルを助けてくれたロバート(パトリック・デンプシー)から、「デートをして、お互いを知るうちに好きになっていく」という考え方を教えてもらって、徐々に気持ちがかわり始める。そして、ただ受け止められるのを待っていたジゼルが、受け止めることができる存在に成長している姿にグッときてしまいます。

だからと言って、安易におとぎ話を否定しないところがこの映画最大の魅力。現実的に強いふりをしてても、本当は運命の人が来るのを待っている人もいる。そんな多様性のある結末になっていて大好きな映画です。
ディズニー+で続編製作決定しましたし、物語も素敵ですが、ジゼルのドレススタイルがめちゃくちゃ可愛いので、ぜひご堪能ください!

Eika : なんて可愛いイラストなの〜。ニューヨークのお友達とのお片づけのシーンは映画史に残るよね…端々からディズニー側の「過去の我々は一体何をやっていたんだ笑」という苦笑いが聞こえつつも、『創作』というものの力を体現するあのキャラクターの変化もだいすき。続編は"Disenchanted"とのことなので、期待が高まるね。
丸ゐまん丸 : ディズニーアニメの名場面をインスパイアしたコメディアイディアに涙すら浮かぶ傑作。同時にジゼルのタフさ、大きな可能性を示唆する演出にもなっていて脱帽でした。ディズニープラスで続編も予定されているらしく、数年後の楽しみの一つになりました!yukiちゃんの描くドレスほんと最高……。


別れの季節でもあると言われる3月は、手紙が印象的な映画をご紹介します!毎月12日に更新です。お楽しみに!

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