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コスチュームが印象的な映画 | COSTUME | 12Months Movie

その月に合わせたモチーフが印象的な映画を、映画好きのイラストレーター3人が12ヶ月間に渡ってご紹介する12Months Movieです!

ハロウィーンの仮装のアイディアを映画から考える方も多いのでは?ということで、今月は、コスチュームが印象的な作品をご紹介します。

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ワンダー 君は太陽 (2017)

監督 / スティーブン・チョボスキー

yuki: 宇宙飛行士に憧れ、スターウォーズが大好きな少年・オギーは、遺伝子の疾患で人とは異なる顔つきで生まれてきたことにより、街を歩くと人に嫌な目つきで見られてしまうため、一度も学校に通わず自宅学習を行ってきた。オギーも5年生になり、母・イザベルは早く学校へ行かせた方が良いと考え、ついに学校へ通うことになる。外を歩くときは常に宇宙飛行士のヘルメットをかぶっていたオギー。しかし、学校ではヘルメットをかぶっているわけにもいかない。校門で温かな家族に見送られながら、オギーはヘルメットを外し、不安な表情でまだ見ぬ宇宙へ旅立つのだった。

『ワンダー 君は太陽』は、オギーを中心に、お姉ちゃんの「ヴィア」、友達の「ジャック」、お姉ちゃんの友達の「ミランダ」の視点からのオムニバス形式の映画なのですが、みんな「自分ではない何者かになりたい」という願望を抱いている映画だと思います。

学校に慣れ始めて仲良い友達ができても、クラスを出たらやっぱりいつも下を向いて歩いてしまうオギーが待ちに待ったイベント『ハロウィン』は、仮装で被り物ができるので、自分のコンプレックスを隠すことができる日。
オギーはそもそも頭が良くて、ウィットに富んだ男の子なのに、普段のヘルメットやハロウィンの仮装をしないと本当の自分が出せないっていうのはとても勿体なくて、見た目に対する世の中の視線ってすごい凶器だと改めて感じました。変わらないといけないのはオギーじゃなくて世の中なのにね。
そんな世の中だけど、オギーが大好きなスターウォーズのキャラクター『ボバ・フェット』の仮装ができる!とワクワクしている姿は、エンタメと衣装が与える、勇気とパワーにすごく共感しました。
しかし、その後、ハプニングでオギーは ボバ・フェットの衣装は着れず、スクリームのゴーストフェイスをすることになってしまい、楽しみにしていたハロウィンはどんどん雲行きが怪しくなってしまうのですが…

きっと共感できるキャラクターがいる、心温まるストーリー。1度観た方も、ハロウィンの時期にぜひ観てみてくださいね!

Eika : 宇宙飛行士のヘルメットは、オギーにとって変装することで勇気のスイッチをいれてくれるアイテムになっていることに改めて気づいた!それにしても映画の美術がとってもチャーミングで、細かいところまでずっと見ていられるよね。
丸ゐまん丸 : 各キャスティング、先見の明がとにかく素晴らしい!出演者が全員好きになる。ジェイコブくんが『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』(18)『グッド・ボーイズ』(19) に出て動いてくれてるだけで涙が溢れたし、ジャック役のノア・ジュプくん目的で観た『ハニーボーイ』(19)は大傑作!


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マジカル・ガール (2014)

監督 / カルロス・ベルムト

Eika:日本アニメ『魔法少女ユキコ』が大好きな12歳の少女アリシア。白血病の彼女、余命はそう長くないとついに医者に宣告されてしまう。ルイス・ベルメホ演じる彼女の父親のルイスは、彼女の『願いごとノート』を発見し、覗いてみるとそこには『誰にでも変身したい』『魔法少女ユキコのドレスが着たい』『13歳になりたい』と3つの願いが書かれていた。ルイスが叶えてあげられそうな唯一の願いが魔法少女ユキコのドレス…なのだが、その特注のドレスについていざ検索をしてみると失業中の彼にとっては到底払えそうにない値段が記載されていた。果たして魔法少女の衣装が欲しいという、アリシアの最後の願いは届くのか。
さて、それとは関係ないところで、精神科医の夫の管理のもと暮らすバルバラという女性と、運命に組み込まれたまたもう1人の人物の物語もそれぞれに進んでいく。

スペイン発のネオ・ノワール。日本の魔法少女アニメの持つエッセンスをはじめとして、さまざまなモチーフをふんだんに盛り込んだ詩的な演出が独創的で映画の語り口が実に豊か。とにかく物語がどこへ進んでいくのか、全く見えてこずハチャメチャに面白い。愛する者の願いを叶えたいという、人間における普遍的な欲求があれよあれよとあんなことになる、恐ろしい種類の寓話っぽい余韻がなんともいえない。私が言えるのはここまでだ!
監督のカルロス・ベルムトはキャリアをイラストレーターからスタートさせ、コミックを出版、そして長編映画の監督・脚本を手がけるのは今作で2作目。なんという才能だ〜!

yuki : えいかちゃんにおすすめしてもらって、見終えてすぐ「面白かった!」と連絡してしまった映画です^^ アニメ好きな私としては、スペインの監督が、日本の魔法少女のキラキラしていない部分に着目して、構想を膨らませたのが感じとれるストーリーを作ってくださったのがとても嬉しい!想像と違う方向に進んで行く、ハリウッドとは一味違うミステリーにゾワっとしました!
丸ゐまん丸 : 強烈な謎を秘めたポスタービジュアル、一度は見たことあるんじゃないでしょうか。観始めると、ノアールなの!?と腰を砕かれつつも、独特な重厚な間と、画の美しさ、起きていく事態の突飛さで一気に引き込まれる。花を握って倒れるルシア・ポリャンの儚さを是非観てほしいです。


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ドラえもん のび太のアニマル惑星 (1990)

監督 / 芝山努

丸ゐまん丸 : ある晩、謎の「ピンクのモヤ」に迷い込んだのび太……。モヤを抜けた先には、服を着て、言葉を喋る、人間そっくりの動物たちだけが住む「アニマル星」だった。そこで出会った犬の少年・チッポをはじめ、街の住人と交流を深めていくのび太、ドラえもん、しずかの3人。一方その頃、のび太たちを追ってモヤに迷い込んでいたジャイアンとスネ夫は、かつて動物たちを迫害した「ニムゲ」が住む「地獄星」にたどり着いたのだった……。

緑豊かで空気がおいしい「アニマル星」
植物の育たない腐った死の星「地獄星」
この二重惑星を描いた藤子・F・不二雄先生は、バブルで湧き立ち、向こうみずな消費をつづける世界を憂いていたのかもしれない。

数あるドラえもん映画の大長編シリーズ第10作、映画シリーズ第11作。(俗に言う「旧ドラ」)

前年の『のび太の日本誕生』(89)で、過去シリーズを大きく上回るヒットを経て、新しいフェーズに入ったドラ映画が「環境問題」に切り込んだ社会性が強い作品。

アニマル星の住人たちの食糧、汚水処理、無料タクシーの動力などはすべて自然エネルギーから作られる、超超エコロジーハイテクシステム。22世紀から来たドラえもんも驚愕するほど理想的な星はとても魅力的で、世界観の引き込み方やテンポが、ドラ映画の中でもトップクラス。久しぶりに鑑賞して、そのスムーズさに腰を抜かした。

中でも、動物たちを驚かせないために装着するコスチューム道具「動物ごっこ帽子」がとてもキュート!なんといってもドラえもんが公式に猫コス(猫だけど)をすることができる状況なのだから。「たぬきさん!」→「たぬきじゃない!」のお決まりの問答も一番多いのでは。

ただ、この道具も可愛いだけの装置ではなく、決戦前にのび太とチッポが話す「人種を超えた友情」に作用してくる。シンプルに子供が楽しめる内容でもあり、深みある多層的な構造で大人になっても楽しめる、素晴らしい作品です。

Eika : コスチュームというテーマでこの作品を選んだのが、なるほど~!それがあったか!と膝を打つ気持ちだったよ~。かなりしっかり怖い、という印象が強く残ってる作品。子ども心にはあのピンクのモヤと影が恐ろしかった。
yuki : 今年はドラ映画をいっぱい見直していたはずなのに、アニマルプラネットは観れていなかった…観たい!!ドラ映画を大人になってから観ると、20年前の作品ですでに様々な問題を取り上げてくれていたにも関わらず、ドラ映画を観て育った私たちが地球に対して優しく出来ていなかったことに申し訳ない気持ちでいっぱいになる。子供達に伝えて行かなきゃいけないね。

物思いにふける11月は、ベンチが印象的な映画をご紹介します。毎月12日に更新しますので、ぜひお楽しみに!

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