自然は、知っている。 63
自然は正直。自分を知っている。
竹の子が出るのが早い。
例年よりもずいぶん早く露天に並んでいる。
買って、湯がいて食べてみた。
美味しかった。柔らかく初夏の香りを感じた。
自分が、いつ地上に出てくるのか知っている。
誰にも教えてもらってないのに。
人間の都合でひょっこり頭を覗かせたりしない。
周りの環境をよく見て一斉に出てくる。
一人だけでは出てこない。
足並みが揃っている。
例年よりも遅い早いと言っているのは、人間だけ。
いつも通りに顔を覗かせみるみるうちに成長していく。
人間の都合なんてお構いなし。
何だか、「おかしい」と思っているのは、
人間だけ。自分の思い通りに動いてくれないから。
当たり前。人間も植物の都合なんて聞かない。
植物の都合を聞いて生産している。
なんて聞いた事がない。
植物の方が人間に合わせてくれている。
無理矢理に。あのてこのてで人間の都合で。
そんなんことをされたら植物だって
たまった物じゃない。
「大事に育ててます」
人間の都合にあった物だけを丁寧に
育てているように見える。
一度人間の役に立たない「害になる」
とわかったらなんとかして
その場からいなくなるようにしてしまう。
「勝手だなーと思う」
私が自然だったらきっと呆れかえるに違いない。
「勝手なことばかり言いやがて」
文句の一つも言いたくなる。
自然は、優しいので文句も言わない。
ただ自分の世界を一生懸命生きている。
季節が来れば花は、咲く
時が来れば新芽が出る。
寒くなれば葉っぱを落とす。
自然は、自分が何をすれば良いのか
知っている。
偉いなと思う。
動けないからその場でじっと
踏ん張っている。
そんなひたむきな姿を覗かせてくれる。
読んでいただきありがとうございました。
自然の声が聞こえますうように。
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