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【修行旅】星の巡礼道カミーノ ポルトガルの道⑥

9月14日 ヴァレンサ〜モス  24km


寝坊した。
連日の疲れからか、起きたら朝の6時だった。
下に荷物を持っていき、ココアを飲んだりしていると、気づけば7:30になってしまっていた。

予定ではこの日、ヴァレンサからレドンデラまで34キロを歩くことになっている。
しかし、外は雨が降っており、どうやら幸先は悪そうだ。さらに昨日の疲れが残っており、右足の小指にはマメが出来ていた。

だが、僕はこの日を楽しみにしていた。ポルトガルとスペインの国境を超えるからだ。
雨が降りしきる中、大きな橋を渡る。
鉄製の歩道になっており、雨で滑るので、携帯が落ちないか心配だった。
ふと足元を見るとゾクゾクと緊張感が走った。
昔、茨城にある竜神大橋のバンジージャンプを飛んだことがあるが、よく飛べたなと今更になって思った。

国境を超え、スペインに入る。
時差の関係で一気に時間が1時間進んだ。
景色はそれほど変わらず、雨も降り続けている。

スペイン最初の街であるトゥイの街を抜け、森の中をしばらく歩いていると、雨が止んできた。
しかし同時に、マメの痛みが再発して襲ってくる。

目的地を変更。

1日30キロほどのペースで歩いてきたので、休息日としてヴァレンサから18キロほどのポリーニョという街に泊まることにした。

12:30くらいにポリーニョに着いた。
しかし、アルベルゲに行ってみると、開くのは15時かららしい。
この小さな町でそんなに時間を潰せるとも思わなかったので、仕方なく、6キロ先のモスという村まで行くことにした。

日本人2人にこの町で出会ったが、今まで英語で会話してきたので、久しぶりに日本語を使うと安心してしまった。
英語を使っても気疲れしないくらい自然に喋れるようになりたいとも思った。

モスまでの道中、ポリーニョのスーパーに寄った。
チョコパンを購入。節約生活を強いられているため、スーパーのこういうパンは圧倒的腹ごしらえである。

そしてもう一つ、爪切りを買った。
これは、爪を切るためではなく、失くしてしまったマメを潰すための安全ピンの代用として購入した。

ベンチに腰をかけて、マメの手入れをしていると、目の前のアパートに住んでいるであろうおばあさんが話しかけてきた。
しかし、スペイン語なため、何を言っているかわからない。
なんとなく心配してくれているようだったので、グラシアスと言って立ち去った。

しばらく歩いていると、後ろから叫ぶ声がする。
なんだか自分のような気がして振り返ってみると、さっきのおばあさんがバンソウコウ2枚と消毒液をくれた。

なんという優しさだろうか。
普通見ず知らずの赤の他人にそこまでするか?
少なくとも日本ではほぼありえないと思った。
この旅を通じて感じていることがある。
ポルトガルもそうだが、イベリア半島の人は優しい。それも自分から働きかける積極的な優しさだ。文化性や風土の違いなのかもしれないが、他人が迷惑しない程度に積極的な優しさを作り出すことは意識して見習わなければいけないと感じた。


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