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やっぱり二人の「来年」なんてなかったじゃないか。

先日、歳を1歳とった。
久しぶりにすごく素敵な誕生日で、すごく幸せだったんだ。
お友達にたくさんお祝いしてもらって、美味しいものを食べて、いっぱい笑って、疲労感でたくさん眠った。

* * *


去年の誕生日は、緊急事態宣言に伴って、友人との予定がパーになって、どこか別の場所に逃げたくて一人でホテルに泊まった。

川がお風呂から見えるそのホテルは、私の心を癒してくれた。

インスタのストーリーにホテルでの出来事を載せていたら、日付が変わってすぐ、君からクラッカーのスタンプ。
君が一番乗りの反応だよ、なんてDMで少し話した後「でもほんとはLINEでの連絡がよかったな」と伝えると「来年からは気を付けるね」ときた。

君はいつだって私が全く見えない「二人の未来」を見ていて、正直怖かった。それに、どうしたって君を心から信じられなかった私は「どうせ、来年には私のこと忘れてるよ」なんて、口には出してないけど考えてたんだ。

* * *


そしてやっぱり、今年の誕生日は君から連絡が来なかった。
「君から連絡が欲しかった今年の私」は、期待外れの展開に少し悲しくなって、「君から連絡がこないだろうなと思っていた去年の私」は、予想通りの展開に少し安心した。

君と一緒に居れば、どんな未来が待っていたのか、ずっとずっと終わりを見ていた私には想像もつかないけれど、別の世界線の私はもしかすると君と一緒にいるのかもしれないね。

こちらの世界線の私は、誕生日直前に飲みすぎて終電を逃して生まれて初めてナンパ師にお持ち帰りされたけど、やっぱりそういう人とはタイミングなんかがあわなくて「男なんてやっぱりクソだ」と嘆いているんだ。

28歳、最後に抱かれたのは、君じゃなくなっちゃったね。

ナンパ師は一晩中「かわいい」だの「ずっと一緒に居たい」だの耳元でささやいては、何回も抱いたのに、数日しか経ってないにも関わらず、すでに私に興味がなさそうだ。少し残念だなと思いながら、そういうもんかとも思っているし、私もさすがに最初からその言葉は信じていない。

だけど、君より甘い言葉をささやくのが上手で、前戯が丁寧で、ときめいちゃってたのは本当。
去年の3月に君として以来のセックスだったから、どうしても君と比べちゃってなにもかも違うことに少し楽しくなっていた。

君みたいに開始5分でいれようとしなかったから、逆に私が少し欲しくなっちゃったし(言わなかったけど)、「ほんとに好きじゃない人とキスしたくないんだよね」なんてメンドクサイこと言わずに、求めればたくさんキスを落としてくれた。君みたいに乳首を「こしょばい!やだ!」なんて嫌がってなかったし、ゴムをつけるのも上手だった。

そんな風に、君が私の知らない君になっていくみたいに、私も君の知らない私にどんどんなっていくんだ。

来年の今頃はすっごく素敵な彼氏が隣に居て、君のことなんて思い出さない私になっちゃってるから、覚悟しといてよね。

最初のおみくじは凶だったから、あとは上がっていくだけなのだ。


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