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絶対手放せない、私の愛読書達 Part1

あ!Part1とか言ってる!続くんだ!そうだよ続くよ。だって紹介したい本沢山あるからね。ゲームと共にこちらもよろしくお願いします。

1.どんな時でも美しい「TUGUMI」作:吉本ばなな

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記念すべき一冊目は吉本ばななさんのTUGUMI。

この本と出会ったのは10年前大学生の時。本屋に行った時あまりの表紙の綺麗さに気づいたら手にとっていました。

私はその時人生で一番つらいと感じた時この本を読もうと決めたのです。

そして鬱病を発症した年、この本をひらくこととなりました。


背表紙を一部いただきました。

「病弱で美しい少女つぐみ。彼女と育った海辺の小さな町へ帰省した夏、まだ淡い夜のはじまりに、つぐみと私はふるさと最後のひと夏をともにする少年に出会った・・・」

このように聞くと優しい女の子の友情や死と隣り合わせのツグミの切なさ、3人のなかにうまれるもどかしいようなひと夏の恋・・・そんなイメージを持つかもしれません。


違います。


なんといってもこのツグミという少女は美しいものの意地悪で粗相で口もとんでもなく悪い、わがままで甘ったれでずるがしこい(この表現は主人公の一人まりあによるもの)!
また、まりあも竹を割ったような性格でとてもさっぱりしています。

本作中の
ふるさとに帰った時の「うわあ、元気?なつかしいわ、みんな元気?」と聞くまりあに「相変わらずバカそうだな、まりあちゃんと勉強してんの?」といった気心が知れているからできるような上品ではないがテンポの良いやりとり。


体調が悪くなったツグミに対して必要以上の気負いをしない私、当たり前だというように少し回復しては動き回るツグミ。


少年恭一がやってきたときは「ツグミによく似合うきがする・・・」と見守るまりあ(少年とは良い友達に)、「おまえを好きになった」と堂々と宣言し恭一とつきあうツグミ。

背表紙あらすじのくくりは「切なく透明な物語」


本当にその通りで、この本はまとわりつくことももつれることもない透明な本なのです。


恋愛ものを読めがきゅんとした思いが残ったり、ホラー小説をみれば恐怖がまとわりついたり、いろんな感情が後を引くものです。が、


いろんな感情をもたせずただただ読んでよかったなと思うこのTUGUMIはどんな気分の時でも読める素敵な本です。

感情がとぼしかった時に読みましたが、ああこの本を読んでよかったなあと思ったことは覚えています。

ちなみにこの話のなかでどこが切ないのかと思うかもしれませんが。ここは風景や空気感を表す言葉が本当に切なく美しくかける作者よしもとばななさんによるものが多いのではないかと思います。


「海沿いの道を通っていったら真っ黒に染まった砂浜が墓場のようにしんとしている」
「そんな夜は長い。果てしなく長く、宝石のように光っている」


このような風景を思い浮かべるとなんとも切なくなってきます。
海に面した土地に私が住んでいるため余計にそう思うのかもしれません。

私の愛読書一冊目。これからも沢山読み返していくのでしょう。


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