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今日会いに行きたい!気になる土偶#054岩手県立博物館

土偶=カワイイ!
最近では少しづつ・僅かながらも、その存在が知られるようになってきた縄文時代の土偶。(と、思っているのは私だけ⁈)

土偶に限らず、赤ちゃんや動物の子ども、キャラクターなどを一目見て「かわいい」と私たちが思うのは、赤ちゃんのような見た目や、つたない動きの特徴「ベビーシェマ」を持っていることにあるようです。

体に比べて顔が大きくて、大きな目、丸びを帯びた体形が、私たちに「かわいい」「守ってあげたい」などの感情を呼び起こすとされています。
人間の赤ちゃんはもとより動物の赤ちゃんにも、ごく自然に抱く感情ですね。

この「ベビーシェマ」の特徴を持っていることが、キャラクターや人形が「かわいい」愛されキャラとなる要素の1つであるようです。

御多分に洩れず土偶の多くも「ベビーシェマ」の特徴を兼ね備えているようです。縄文人はきっと知らず知らずのうちに、土偶にその特徴を持たせていたのですね。

岩手県立博物館

ここにいる遮光器土偶の殆どは、頭が大きく、ずんぐりむっくり、想像される動きはたどたどしく…
イラストなどで良く用いられるスーパーデフォルメと呼ばれる、3~4頭身に作られているようです。

ところが今日の土偶は、
小顔のスレンダー美女。
脚は短いですが、スマートな印象です。

縄文時代晩期

周りにいる遮光器土偶に似ているようで、似ていない、
遮光器のような眼ではなく、それぞれのパーツも少し違い、そして何より〝人体比率〟の違いが目につきます。
6頭身ぐらい?でしょうか。

人間の成人はおおよそ7頭身、小顔のモデルさんが8頭身と言われています。この土偶は、人間を忠実に映しだそうとした形なのでしょうか。

良く見ると、足の指も作られています!

遮光器土偶は今から約3000年前の東北地方で多く作られました。
遮光器のような眼、くびれたウエスト、大きな頭飾りなどが特徴的ですが、時代を経るごとに顔や体つきが変化していきます。

そして縄文時代が終焉を迎える頃には、目は横に細長く、女性的な部分は控えめな表現になり、装飾はシンプルなものへと変わっていきました。

時代の変わり目、新しい文化が流入し始め、土偶の意味・存在に変化が表れたことによるようです。

そんな中で作られた今日の土偶は、
より人間に近いような新しい表現であったのかもしれません。

でも、同じような土偶を見かけないところをみると、これに続く土偶は作られなかったようです。

土偶=可愛い…からちょっと外れている今日の土偶。この姿には新しい時代を迎える「縄文人の揺れ動く心」が表現されているのかもしれませんね。

参考図書
はじめての土偶  武藤康弘監修  世界文化社

最後までお読みくださり有難うございました☆彡

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