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今日会いに行きたい!気になる土偶#071東京国立博物館

あなたは誰?
どこかで見たような…
何かに似ているような…

茨城県福田貝塚出土
縄文晩期(今から3000~2400年前)
 

ちょっと可愛いような、おどけているような、
ユーモラスのある土偶です。
口元の出っ張りが河童にも似ていて、土偶と
いうよりは動物の土製品にも思えてきます。

彼女の正体は…遮光器土偶
縄文時代が終わりを告げようとしている頃に、
茨城県で作られました。

遮光器土偶という愛称は、明治時代に目の表現が
遮光器(ゴーグル)に似ていることからつけられ
ました。縄文時代の終わりの頃に東北地方で盛ん
に作られ、日本一有名な土偶と言われています。

現在、東京国立博物館の平成館で、
この今日の遮光器土偶
代表的な遮光器土偶と言われている
青森つがるの遮光器土偶が、
同時に展示されています。(2024年3月3日まで)

重要文化財 遮光器土偶 
青森県つがる市木造亀ヶ岡出土

さすが、圧倒的な存在感!
高さ34.2㎝と大型で、特徴的な眼、王冠の
ような頭部、細部に施された文様。
左足が欠けてるとはいえ、
遮光器土偶の完璧な姿であるようです。

それに比べて今日の遮光器土偶は、
全体がかなりゆる~い作り。
良く言えば、大らかで伸びやかで愛らしい。

悪くい言えば、本来の土偶が持つ「神々しさ」や
「美しさ」とは全く無縁の、土の人形の様相。

何と言っても「遮光器土偶」のシンボルである
「遮光器」のような目は、どこへ行ってしまった
のか?

「遮光器土偶」の愛称からも遮光器の目が特徴!
と思われますが、
全ての「遮光器土偶」にこの基本形が強調され
ているかと言えば、そうではないようです。

全国で出土している土偶の総数は、その小片まで
を含めると約2万点以上と言われていますが、
実にその1割以上が遮光器土偶とその仲間で
あると推測されています。

まさしく土偶の中の土偶、代表的な土偶と言える
のですが、多く作られた故、その形が伝わって
いく過程で少しづつ変化していきます。

その変化の傾向は、
キュッとしまったウエストは寸胴に、
遮光器の様な目は次第に退化し、
頭の上の飾りや体の文様は自由になっていく、
というもの。

そうやって何百年という時間、そして何百キロ
という道のりを経て、徐々に変化した形が
「今日の遮光器土偶」のようです。

ひょっとすると、その形だけでなく、
「祈りの道具」である意味もが変わっている
のかもしれない…
この愛すべき姿から想像してしまいます。

ところで、この土偶、ナニカに似ていますよね?
どこかで見たような気がするのですが…。

*参考資料
土偶美術館 原田昌幸 平凡社

最後までお読みくださり有難うございました☆彡

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