今日会いに行きたい!気になる土偶#049川上村文化センター
なんて大きな目!
こちらをじっと見ている様ですね。
人間と同じ位の大きさの〝顔〟は、実は土偶ではありません。
人面香炉形土器、または 仮面装飾香炉形土器と呼ばれる縄文土器です。
香炉形土器は、今から約4300~2400年前にかけて東日本を中心に作られた特殊な形の土器です。
お香を焚く器に似ていることから香炉形土器と呼ばれますが、土器の中で何かを燃やしたような跡は見られません。
日常的に使用された土器ではなく、祭祀などで呪術的なものとして使われていたと考えられるようです。
香炉形土器が出現する前の今から約5000年前には釣手土器が多く作られましたが、なぜか約1000年後にはその姿は見えなくなりました。それに代わって現れたのが、この香炉形土器と呼ばれるものです。
釣手土器が変化したものと考えられ、釣手の部分に装飾が加えらたり、器面にその時代の文様が透かし彫りされるようになるなどして、現在の形に至ったようです。
土器と言うよりは〝顔〟を意識して作られたようにも思えます。
土偶、あるいは人が被る仮面の様でもありますね。
この香炉形土器は、群馬・埼玉・山梨を境にする長野県南佐久郡川上村に出土しました。
近くに流れる川は長野県を通る千曲川の源流域で、やがて新潟県へ入ると信濃川となって日本海へと注ぎます。
大きな目は、川の流れの先の日本海までを見ているかのようです。
祭祀の道具と考えられる香炉形土器、
土偶ではなく、土器として表された〝顔〟には、
私たちが想像していない〝祭祀〟の形が隠されているようです。
中部高地の「三十三番土偶札所巡り」の1つ、
24番仮面装飾香炉形土器でもあります。
参考資料
縄文土器ガイドブック 井口直司 新泉社
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