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世界遺産になった縄文遺跡群を廻る旅 - 木造駅のしゃこちゃんに会いに行く

この日訪れたのは、日本一有名と言われる遮光器土偶の故郷。
その土偶は、1887年(明治20年)青森県つがる市(旧・木造町)の「亀ヶ岡石器時代遺跡」から出土した通称「しゃこちゃん」。

今までに幾度も東京国立博物館でその姿を見てきた「左脚が欠けている遮光器土偶」です。
彼女の生まれ故郷のつがる市へ、東京にいる彼女の代わりに里帰りをしてきます。

高さ34.2cm 横幅25.3cm 厚さ9.5cm

遮光器土偶は、その印象的な容姿で土偶の代表のように思われていますが、作られたのは縄文時代晩期の今から約3,000〜2,400年前の僅か約600年間。
一万年以上続いた縄文時代からみると、「ほんの一時」に作られた土偶です。
この土偶の中は空洞で、頭の部分は髪型や装飾品を表していると思われる「王冠状突起」があり、極端にデフォルメした形と全身を覆う左右対称の文様が特徴的です。

今日は「亀ヶ岡石器時代遺跡」へ向かう前に、先ずは「しゃこちゃん」のモニュメントで有名な木造駅へ向かいます。

見えてきましたJR五能線木造駅。
大きな建物がない一帯では、その姿は遠くからでも目立ちます。
JR五能線は、青森県から秋田県の白神山地の絶景を眺めることのできるリゾート列車も走る、人気のローカル路線でもあります。

突き当りにしゃこちゃんが見えてきました。

近くに来ると、思った以上に大きい!
高さ17mは、おおよそ5階建てのビルの高さにも相当します。

駅舎のセンターにど~んと構えるしゃこちゃん

写真映えすることでも人気のこの駅舎は、日本各地の市区町村に対し地域復興のために1億円を交付した政策「ふるさと創生事業」の交付金を活用し、1992(平成4)年に改築されました。

斬新な駅舎は特徴ある駅として、
「東北の駅百選」にも選定されています。
縄文も忠実に再現されています。

木造駅周辺には西洋風の建物が所々で見られ、かつての繁栄の面影を僅かながら残しています。
ただ今は静かに、穏やかに時が流れているようです。

目の木通りであったのはもう何十年も前でしょうか。
駅前のこの風景、
いつまで見ることができるでしょうか。

戦前のものと思われるこの建物は、一見コンクリート造に見えますが木造モルタル塗りの洋館風建築。
正面のシンメトリな外観は頂部のパラペットに高低差をつけ、その中央に設けたレリーフが「館」の威厳を感じさせる凝った作りです。

両端の柱には頂部と基壇部にモルタルで段差を設け、
レンガ色に塗装しているようです。

こちらの建物は、真っ青の空のもと、もう何年も開けられていないような鉄の扉と切り妻屋根の赤が冴え渡っています。

無機質であって、どこか暖かさを感じます。

さて、駅舎の中へ入ってみましょう。

しゃこちゃんの脚の中は、空洞?

入るとすぐそこは待合室。
大きなガラス窓からは、広々とした景色を伴ったホームが目の前に見えます。
朝のこの時間は、生活の足としての利用者がちらほら。

待合室の奥はきっぷ売り場。
改札口などはなく、電車が到着すると駅員が出てきて改札するというスタイルです。

しゃこちゃんが見守る待合室

ちょうど列車が到着。
降りる人も乗る人も、どこかゆったりした足取り。

ブルーが映える五能線

待合室を挟んで反対側には、「つがる市観光案内所」が併設されています。
ここでしか買うことの出来ない「しゃこちゃんグッズ」など多数販売中。

気がつくと、あちらこちらに「しゃこちゃん」

正面に見えるのは「岩木山」。
青森県内で一番高い標高1,625m、津軽平野に裾野を広げたその美しい姿は、あちらこちらから眺めることができます。

なだらかな富士山みたい。
2~3か月後には雪が降り積もるホーム。

ホームの駅名標では、隣駅が最寄り駅である髙山稲荷神社のきつね達と一緒に納まる「しゃこちゃん」。

「キツネの聖地」と言われる神社にも
行ってみたかったなぁ。
こちらは少し新しい駅名標、
観光案内を兼ねています。

心地良い秋の朝、木造駅でのひと時をゆるりと過ごしたら、そろそろお別れの時間です。

おなごり惜しい…。

と、思ったら
シャコちゃんの目が光った!

実は木造駅に列車が近づいてきた時に、列車の到着を知らせるために、目が光るのです。
一日に上下線合わせて10本ちょっとの列車の本数。先ほどは下り線が到着、そして今、上り線の到着を知らせています。

なんとラッキー!
光線はLEDで6色あるとのことですが、
今回はピンクでしょうか?

しゃこちゃんビームに見送られ、出発です。駅から少し行くと、商店街が現れました。こちらにも西洋風建築の商店の姿ががちらほら見られます。雪深い地方ゆえに、アーケードは全てガラスで覆われています。

営業している店はまばら

町内の掲示板にも「しゃこちゃん」。
体の文様もきちんと描かれているなんて…この地域の人々の誠実さが表れている気がします。

すっかり街に馴染んでいます。

いつかまた来たい、そう思わせてくれる木造駅。
「しゃこちゃん」がいっぱい!の街。
今度訪れる時の景色は、どのようになっているのでしょうか。

一路、亀ヶ岡石器時代遺跡へ急ぎます。

木造駅で購入した、
左脚が欠けた〝しゃこちゃんどらやき〟

最後までお読みいただき有難うございました。

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