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【経済】GDPの読み解き方の手順書作ってみた

GDPとは

GDPとは、一定期間内(1年間や四半期)に国内で生産された価値の合計のこと。国の経済規模を知るための最も基本的な尺度。連続して増えていれば好景気、横ばいなら景気低迷、減っていれば不景気と言われます。
日本企業が海外で生み出した価値は日本のGDPには入らず、外国企業が日本国内で生み出した価値は日本のGDPに算入されます。
GDPの内訳など、過去の記事でもう少しだけ細かく解説しています。

GDPは四半期の統計なので、「季節調整済前期比年率」が注目されます。
季節調整値とは、季節要因による変動を除いたその指標の実力を示す値です。例えば、毎年8月はアイスクリームが年平均の2倍売れるとします。この場合、8月の売り上げの半分が、実力による売り上げと言えます。8月以外は30個アイスクリームが売れていて、8月は50個売れていた。一見、8月の売り上げが良いように見えるが、本来であれば60個売れて、平均のはず。この場合、その年の8月の売り上げは良くなかったと判断されます。
このような、季節要因の変動を取り除いた値が、「季節調整済前期比年率」です。

GDPの開き方

GDPは年に4回、内閣府から発表されます。
アクセスは下記のURLから。

このURLにアクセスして、少し下にスクロールすると、資料を見れる項目が出てきます。「記者公表資料」をクリックすると、最新のGDPの値が確認できます。「主な時系列データ」をクリックすると、最新のGDPの値だけでなく、過去約10年間の値も同時に確認できます。

GDPの各項目解説

「主な時系列データ」を開いて、ある程度下にページをスクロールすると、「実質季節調整系列」のページがあります。このページで季節変動の調整を行った、GDP各項目の実数を確認できます。

次のページにスクロールすると、「実質季節調整系列(前期比)」のページがあります。ここの値を確認すれば、前期よりGDPが成長したか後退したかがすぐに分かります。GDPを見る場合は、実際の値よりも増加率の方が注目されるので、このページを一番確認することになります。

・個人消費(民間最終消費支出)

消費者として個人が購入するモノやサービスの代金です。自動車など何年も使う耐久商材であっても、買った年に消費したこととして計算されます。
個人消費の中には「民間最終消費支出」と「家計最終消費支出」と「除く持ち家の帰属家賃」の3項目があります。正直、内容が複雑で簡易化することが難しいので、GDPの内訳を計算するときは「除く持ち家の帰属家賃」を使うということを理解し、詳しい解説が気になる方はこちらの記事を確認してみてください。https://www.dir.co.jp/report/research/introduction/economics/indicator/20130117_006677.pdf

・住宅投資(民間住宅)

個人が住宅を建てるときに計上されます。中古住宅を買ってもリフォームしない限り、GDPには計上されません。
住宅を購入する際には、住宅ローンを借りる場合が多いため、返済に自信が持てないと躊躇する場合が多いです。従って、景気後退で所得が減り、雇用不安が高まると、住宅投資は落ち込みます。不況期になり、住宅価格が下落すると、次は逆に値ごろ感が出てきて、さらに金融緩和などで金利が下がっていると、住宅投資が活発化します。景気が過熱して金融が引き締められ金利が上がると、景気のピークより先に住宅投資が減少する場合もあり得ます。このように住宅投資はGDPの数%を占めるに過ぎませんが、景気変動に対する影響度合いは小さくありません。

・設備投資(民間企業設備)

企業が建設する工場やオフィスビル、発電所の建設費などです。土地の購入代金は含まれません。
設備投資を決める最大の要因は設備稼働率です。現在の工場がフル稼働しているから新しい工場が必要になるというわけです。儲かっていない工場を新設する企業は少ないでしょうし、銀行も融資を渋ります。企業経営者の先行きに対する自信など、マインドも重要です。設備投資はGDPの10%以上を占める項目で、景気に与える影響は絶大です。

・在庫投資(民間在庫変動)

仕入れた材料や商品、作った製品などから出荷を引いて、在庫の増加額がGDPに計上されます。積極的に増やしたのか、売れ残ったのは問われません。
各企業の在庫水準は、次の時期における予想販売の数量・価格と、その間の資金繰りにかかわる短期金利によって決定されます。在庫投資を、「売れ残りによる意図しない部分」と、「在庫計画として意図した部分」とに分けて考えると、予期しなかった景気後退がおこったときには特に「売れ残りによる意図しない部分」が増加するので、在庫投資はプラスになります。
この時期には往々、短期金利が上昇するので、企業は「在庫計画として意図した部分」を減らそうと考え、次期には在庫調整が始まり、在庫投資はマイナスとなる。
単純に前期と比較して数字が増えていても、意図的に増やしての増加なのか、売れ残ったうえでの増加なのか、判断がつきにくいので、現在の景気状況と照らし合わせながら解釈する必要がある項目です。

・政府消費(政府消費最終支出,公的固定資本形成,公的在庫変動)

投資に当たらない政府の支出がここに含まれていますが、主なものは、公務の執行にかかわる費用、すなわち公務員の給料や物品・サービスの購入などです。こうした政府部門の経常的な経費のうち実際に需要となるものを「政府消費最終支出」と呼んでいます。
「公的固定資本形成」は、政府が造る道路・ダムといった社会資本整備、公団・公社が行う設備投資・住宅投資を指し、一般的には公共投資と呼ばれています。景気変動に対して政府が行う財政政策の主要な手段が公的固定資本形成の増減であることから、政府の行う経済政策の動きを示す指標として注目されています。
「公的在庫変動」は、政府が備蓄しているコメなどを指します。最近ではアベノマスクと称されたマスクの在庫なども、この項目で管理されています。

・輸出と輸入(財貨サービス輸出/輸入)

景気に直接影響するんは輸出数量です。輸出数量が増加しているということは、国内の生産が増加し、国内の雇用が増えているということだからです。過去10年の日本の景気変動は、輸出送料が減ると景気が悪化し、増えると景気が戻るという繰り返しでした。
輸出は国内景気とおおむね独立して作用します。輸出取引国のGDPの増減と、日本の輸出量にはある程度相関関係があります。また、為替レートも輸出数量に大きく影響します。円高ドル安になると、日本の輸出の採算が悪化するので輸出数量が減る傾向にあります。
国内経済が好況であれば物の需要が増えるので、輸入数量は増加する傾向にあります。景気過熱で国内が物不足に陥ると、輸入が増えるケースもあります。一方で、国内が不況であれば、輸入数量は減少する傾向にありますが、消費者が低価格志向を強めると、逆に輸入が増加するケースもあります。
輸出額が輸入額を上回る状況を貿易黒字、輸入額が輸出額を上回れば貿易赤字といいます。

総括

本記事で、GDPの各項目の解説を記載しましたが、物事には大抵二面性があり、単純に数字からは見えないこともあります。どんな指標も目的によって色んな解釈の仕方があるので、今回の解説はあくまでも一つの観点に過ぎないということをご理解いただけますと幸いです。


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