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【エッセイ】「詩のことば」から思うこと。

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「詩のことば」から思うこと。 さまざまな詩のことばから、こぼれ落ちる思いをつづります。
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時間のゆくえ

時間のゆくえ

こどもの目が、時計をまなざす。
長い針と短い針。

───長い針が6になったら、おやつですよ。

広やかなこの世界。
産声を上げてから、
指折り数えるような日々を過ごすこどもにとって
この身を包む「時間」は、とても不思議な概念だろう。

 
 おかあちゃま じかんってどこからくるの?
 Mammma, da dove vengono le ore?
 
 こどもよ
 おまへが さう たづねたとき

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秋、ひかりこぼれる

秋、ひかりこぼれる

朝目覚めて、窓を開けると少しひんやりする。

すこしずつ秋が深まってゆくのだ。

透明な空気を吸い込む。

澄んだ空の青がまぶたの内側へと広がってゆく。

秋になると、ひもとくのは

八木重吉の詩。

 

 ひかりがこぼれてくる

 秋のひかりは地におちてひろがる

 (ここで遊ぼうかしら)

 このひかりのなかで遊ぼう

『八木重吉詩画集』(童話屋)より「秋のひかり」

ひかえめな短いフレーズ

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