年末なので「プロダクトマネージャーお困りごと相談ボランティア」を半年やってみた結果をジョブ理論で紐解く
こんにちは、外資系IT企業でプロダクトマネージャーしています、ハヤカワです。
今日はおよそ半年前にふと軽い気持ちで呟いたことに、多くの方が反応していただいたことで始めた「PMお困りごと相談ボランティア」について、振り返りたいと思います。
0.きっかけ
ことの発端はこのツイート
こちらに何人かの方に反応いただいて、お話を聞かせてもらいました。そこから、「おや、共通のニーズがありそうだ🤔」「役に立ちたい!」という謎の正義感で、bosyuを使って改めて募集もしました。
その結果、半年で8名の方に相談していただきました!あくまでも、仕事の情報は一切明かさず、ボランティアという形で業務外で一般的なPMに関するお話をさせていただきました。
1. やったことと本音
このPM相談会では以下のような内容をオンラインミーティングを通して相談してもらい、私から何かしらのアドバイスをするというものでした。
・PMに必要なこと
・アイデアや製品のフレームワーク(ジョブ理論やLean Canvas)
・優先づけやロードマップの作成
・プロダクトドキュメントの作成
・PMのキャリア
・PMMについても
などなど相談に乗ることができるかと思います!
実際は、プロダクト自体に何かアドバイスをするというよりは、「PMになったばかりで動き方が分からない!」だとか「PMがいなくて自分が実質そういう動きをしてしまっている・・・」とか、PMロールについての考え方や働き方、キャリアについて、アドバイスさせていただきました。
しかし本音を言うと、まだまだアドバイスをする立場ではありません。ただ、私自身がPMを深く学ぶために、他のPMの方の生の声やスタートアップなどのプロダクトに関わる方々の声を知りたい!という意図がありました。Voice of the Customerならぬ、Voice of the Product Managerを知りたかったという感じです。
それを知るためにも、Takeするだけではだめなので、Giveの形で微力ながらアドバイスをするということでお話させていただきました。
2. アンケート結果
改めて、ご参加いただいた方がありがとうございました!アンケートを取り、掲載許可をいただいたご参加していただいた方々の声を紹介したいと思います。
藤島 誓也 | カスタマーサクセス × ベンチャー さん
https://twitter.com/seiya_fujishima
ジョブ理論を用いたプロダクト作りの考えが大変勉強になりました。早川さんのスキルは単に理論に終わるものではなく、実践に落とし込まれた知識・ノウハウだと思いました。
ワタナベショウタ@創業メンバー募集中 さん
https://twitter.com/wnst36
ジョブ理論というフレームワークを軸にアドバイスを頂けたので、思考がしっかり整理されて後のプロダクト開発に活かすことができました!
津田将信 |NowDoの中の人 さん
https://twitter.com/vyvmsnsdtp
具体的事例が聞けて、自分の仕事のイメージができた
Moriki Kamio さん
https://twitter.com/kaminokemoriki
Product Manager × Salesforceのプロフェッショナル の観点から、良いインサイトを提供して頂くことが出来た点
riki さん
https://twitter.com/rikkey_2020
当時ペルソナによるターゲット設定に悩んでいた際、実践的なJTBDモデルの活用法についてご教示いただき、非常に面白い考え方だったので、実際の業務に適用してみました。
結果、チーム内での共通認識がかなり取りやすくなり、次期開発における方針についての議論が以前より活発になり、軸があるので発散しすぎず、かつ幅が限定されすぎず、有意義な方針策定ができるようになりました。
匿名希望
自分の場合、PMの経験が浅いというのが1つの業務上のネックだったのですが、早川さんと話して、自分がこれまで気づかなかったような点や課題へのアプローチに気づくことができ、PMとしてもう一つ上のレイヤーを見ることができた点です。
プロダクトについてご意見を頂けました。またプロダクトに関連ある方をご紹介いただけたのは有難いと思いました。
ありがたいフィードバックありがとうございます。今年はジョブ理論を座学的にも実践的にも学んでいた年で、そういう話がアンケートでもとても評判が良かったです。この反応を受けて、いくつかのジョブ理論に関するnoteも書かせていただいて、先日書いたものは150ほどのいいねをいただき、note公式Twitterやnote編集部のおすすめでも紹介していただきました!ぜひご覧ください。
3. 改善点
もちろん、ここまでは(オンラインですが)実際にお会いしている方々のフィードバックなので、ポジティブなものが多いですが、もちろん改善点もいただきました。
ジョブ理論は難解な面があり、事前の自習ができてるとムーズだったなと思いました!
エンジニアも交えて実施できるとより良いかなと思います!
"単発ではなく、定期的な1on1のような仕組みがあると良いと思いました!相談者が、「相談して満足する」ことを避けるため"
確かに、ジョブ理論は初手難解ですし、PMに近いエンジニアの方を交えるのも大事だと思いました。また、最後の点はとてもいい視点だと気付かされました。
「相談者が相談して満足することを避ける」、どちらかというと自分の中では「定期的にやったほうが良いアウトプット出せて、参考にしてもらえるかなー」とか漠然と思っていたのですが、相談者側としてはとはいえ初回だけでも情報量が多く満足してしまうので、もっと長期的な視点で相談者側の期待値をあえて上げることによって、より満足してもらうように変える必要があるというのはおもしろい視点でした。
また、今後もっと聞いてみたいところとしては、
・「一緒にプロダクト作りしてみたい」
・「今後のキャリア相談をしたい」
・「プロダクトロードマップの書き方 / 要求の優先度付けを知りたい」
・「プロダクト戦略部分や、PM組織周りの話」
というフィードバックをいただきました。どれも大切なポイントだと思います。今後の参考にさせていただきます。
4.ジョブ理論でニーズを深ぼる
さて、これらのフィードバックジョブ理論に基づいて、ジョブマップという形で「PM相談で"顧客"が求めていること」を簡単にまとめてみました。
細かいですが、1つ目のポイントは一番左にある、機能的、感情的、社会的な視点でのジョブです。
PMにまつわる困りごととしてはどういう種類のものがあるのかを網羅的でははありませんが、"実際に聞いた顧客の声"からまとめられました。ここにある個別のジョブは、PMに限ったことではなく他のあらゆる職種やロールについても言えることだと思います。
ジョブパフォーマーとしては、「PMとして○○したい」場合と「PMが居ない中で○○したい」という2つのジョブパフォーマー(ジョブを抱えた人)がいると思います。
2つ目のポイントは右側のソリューションの部分で、以下がジョブを達成するために提供しうるソリューションとして考えられました。
①定期的な1on1などによる他のPMへ直接相談ができる場
②PMのスキルを養うための実践的な場
③PMに関するスキルや知識に対する、個人の考え方や経験などをまとめた情報源
それぞれのソリューションはいくつかの期待される成果(Expected Outcome)に紐付いています。ソリューションというのは"顧客"が抱えているジョブを成すために顧客が潜在的に望んでいる成果を具体的に達成する方法のことを指します。
プロダクトやスタートアップ、PMに関する情報はggればそこら中にありますし、フレームワークや事例記事、イベントや有料の講座なども溢れています。その中で、なぜ未だに達成されていないゴール (Unmet Goal)があるのか?というと、"実用的", "実践的", "具体的", "経験"というのがキーワードとして頻出しているところがポイントかと思います。③のソリューションについてもただの情報ではなく、誰かの経験に基づいているというのがポイントだと思います。
つまり、座学的な情報からPMにまつわる、より実践的な学びを求めているのではないかと仮説が立てられます。さらに、単発的なイベントやワークショップでもなく、自身の業務と伴走した形での学びと実践の繰り返しが求められていると感じます。
実際に、 Tablyの小城さん( https://twitter.com/ozyozyo )が実践している、 「プロダクト筋トレ会」もPMの人たちが集まって実践的に学びを深めている形もこれに当てはまるのかなと思います。
さて、ということで半年間「プロダクトマネージャーお困りごと相談ボランティア」をやってみた結果をジョブ理論で紐解いてみました。業務の傍らで、自分のPM知識の深堀りと経験を積むために始めた取り組みでしたが、日本スタートアップの上場が続く中で、PMの重要性や認知度も大きくなってきていると思います。
まだまだ深堀りを始めたばかりではありますが、今回まとめたジョブマップに基づいて、自分として何ができるのかを考え、来年も「自分のやりたい、誰かのためになること」をやっていきたいと思います。
もし、PMに関して相談してみたいことがあるという方はbosyuやTwitter DMにてお気軽に連絡していただければと思います。
良いお年を!
来年もジョブ理論やプロダクトマネージャーに関する記事をたくさん書いていこうと思うので、良かったらTwitterのフォロー、noteのいいね/フォローをお願いします!
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