見出し画像

どこかにいる君へ

 ふと、今どうしているのだろうかと思いを馳せる人たちがいる。彼らと交わした言葉を思い出して、無性に寂しくなるときがある。

 小説を書くという趣味のために作ったtwitterのアカウントで繋がった彼ら。同い年の子。後輩。先輩。少し歳の離れた大人。

 いつの間にかアカウントを消していた人もいるし、はっきりと何かがあって消えた人もいるし、繋がってはいるけれど音沙汰ない人もいる。

 ただ単に、小説を書くのが好きだった。物語を想像するのが好きで、自分の世界を創造するのが好きだった。それを文字にして形あるものに変えていくのがわくわくした。

 それだけ。

 それだけのために小説を書いていたはずだったのに。

 同じ趣味を持つひとたちと関われる術を知ってしまった。感想を伝えて、感想をもらうことをうれしいと思ってしまった。歳の近い仲間と語り合い、ときに小説と関係なくゲームや雑談をする。まるで友人のように時間を過ごすことを楽しいと思ってしまった。

 twitterと小説サイトだけで繋がっている関係。切ろうと思えばいつでも切れる。そんな関係だとわかっていたはずだった。それでもわたしは寂しく思ってしまう。

 たくさん秘密も悩みも共有したのに、君はスパッといなくなってしまった。今どうしているのだろうか。元気にしているだろうか。最近はどんな本を読んだのか。今も小説を書いているのか。ふと、思いを馳せてしまう。

 わたしはきっともう、好きだからという理由だけで小説を書くことはできない。読まれたときの反応を考えてしまうし、良い反応をもらいたいと心のどこかで思ってしまう。自分が前に書いたものを読めば、君の言葉を思い出してしまう。

 もう会うことも言葉を交わすこともできないのだろう。もしかしたら数年後、急に繫がりが復活するかもしれない。でもそれは、とても不確定で不安定だからあまり期待できないし、しないでおく。わたしがアカウントを消すかもしれないし。

 だから、この文章で気持ちに区切りをつけたいと思う。当てはまる相手は複数いるけれど、ひとりひとりへの言葉だから単数へ向けて書くね。

 どこかにいる君へ
 君がいなくなった日々は少しさみしい。
 たくさんの考え方と感じ方を共有しあったね。時にはくだらない話もしたし、ゲームもした。たくさんの思い出をありがとう。
 君が今どこでなにをしているのか、知りたくないというのは嘘になるけれど、知らなくてもいいや。君が小説を今も書いていたらうれしいけれど、書いていなくてもいい。
 どうかどこかで幸せに生きていますように。
 死にたがっていた君もいたし、無責任な言葉かもしれないね。ごめん。でも少しだけ勝手に、そう祈らせてください。

P.S.
 特にKくん。おすすめしてもらった『図書館の魔女』読みました。めちゃめちゃ好きでした。おすすめありがとう。
 君がいなくなってしまう前に読んでいたら感想を語り合えたと思うとちょっと後悔です。もしもいつかまた会えたら、話させてください。


 夏にしては涼しい今日、これを書きました。
 どこかにいる君へ、もしも届いたらうれしいです。
2024/07/15

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?