ストレス社会に打ち勝って豊かな人生を【本要約】ストレス脳【アンデシュ・ハンセン】
生物のストレス反応と脳機能についてアンデシュ・ハンセン博士が解説している。ストレスは人間が生物学的に存続するために必要不可欠なものであり、身体には自律神経系とホルモン系によってストレスを緩和する機構が備わっている。しかし、ストレスが過剰にかかると脳が反応してストレス脳になり、うつ病、不安症、PTSDなどの心の病気を引き起こすことがある。ストレス脳から回復するためには、良質な睡眠、運動、適切な栄養、ストレス管理が必要である。
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【本要約】ストレス脳【アンデシュ・ハンセン】
【本要約】ストレス脳【アンデシュ・ハンセン】
世界的なベストセラー『スマホ脳』で有名な精神科医アンデッシュ・ハンセンさんが著した『ストレス脳』を解説していきます。この本は、私たちが精神的に落ち込んでしまう理由を教えてくれるものです。
私たちは大昔の人から見れば、皇族やファラオも驚くほどの贅沢な暮らしを送っています。エアコンで涼しい部屋で過ごし、1日3食食べられるだけでなく、YouTubeやゲームで退屈も潰せます。また、友達とカラオケに行ったり、LINEで会話することもできます。医療の発達によって、感染症や出産による死亡が減り、日本の平均寿命は約80歳になりました。コンビニに行けば深夜でもお菓子やパンなどの食べ物が手に入ります。
しかしこの豊かな現代社会で生きているにも関わらず、私たちのうち4人に1人はストレスや強い不安を感じ、精神的な不調を抱えているのです。この図を見てください。これは日本のうつ病や不安障害を抱えている患者数の推移ですが、確かに増加しています。これは日本だけでなく、世界中でも精神疾患を抱えている人が増えてきています。
世界保健機関(WHO)によると、世界で約2億8,400万人が不安障害を抱え、うつ病に苦しんでいるといいます。今日の授業を受ければ、私たちがなぜ落ち込みやすくなっているのかを理解し、正しい対処方法を学ぶことができるでしょう。
脳は大昔の頃から変わっていない
まず一つ目に、私たちの脳は大昔の頃から変わっていないことが挙げられます。私たちが豊かな環境にいるにも関わらず、落ち込んだり不安を感じる原因は、この変わっていない脳にあります。落ち込みや不安、トラウマ、うつ病など、すべては脳が関与しています。うつ病は脳の病気であり、脳の変化が原因で起こります。
そこで、まず脳を正しく理解することが大切です。基本的に私たちの脳は何万世代も前のサバイバル時代から変わっていません。iPhoneやスマホアプリ、インターネット、食べ物、肥料などはどんどんアップデートされていますが、それらを利用する私たちの脳や体はまだ「人間1.0」のままです。
つまり、私たちの脳や体は、今も昔もサバイバルをして生き延びることが最優先だと考えています。槍を持って獲物を追いかけ、仲間と一緒に食事をしていた時代と同じ脳を持っています。この脳には大きな目的があります。それは、生き延びて遺伝子を残すことです。
私たちが今生きているのも、先祖が生き延びて遺伝子を残したからです。つまり、狩猟時代から現代まで、私たちの最優先事項は生き延びて遺伝子を残すことなのです。良い成績を取ることや良い車に乗ることは二の次です。ここで重要なのは、私たちの脳が大昔から変わっていないということを理解することです。
命を守るためにネガティブな感情が発生している
次に、命を守るためにネガティブな感情が発生していることを考えてみましょう。先程説明したように、私たちの脳には生き延びて遺伝子を残すという大きな目的があります。昔は飢餓や感染症、怪我や出産出血でたくさんの人が亡くなっていました。そこで、脳は身の回りの危険から恐怖や不安といった感情を使って私たちを守るようになりました。
私たちが目で見ているものは、実際には脳で認識しているのです。もし脳が働かなければ、不安や恐怖も感じず、崖から下を見ても何も感じません。しかし、その状態ではすぐに危険に遭遇してしまうため、脳は目を通して見たものを瞬時に危険かどうかを判断しています。私たちの先祖も危険を素早く察知し、怪我などを避けることで生き延びてきました。
つまり、私たちが危険なものに近づかないように、脳は恐怖や不安といった感情を使って私たちをコントロールしています。ネガティブな感情は実は、私たちを守るために存在しているのです。言い換えれば、生き延びるためには絶対に不安や恐怖を感じなければならなかったのです。
このことから分かるように、恐怖、不安、不快感、さらにはトラウマ、無気力、引きこもり、パニック障害、強迫性障害、うつ病など、すべてが脳の防御メカニズムです。私たちは生き延びるために不安を感じるようになっているので、毎日気分が浮き沈みするのは正常なことです。常に幸せでご機嫌な状態でいることは難しいのです。だから、今日から常にご機嫌でいられるという期待を捨ててみると良いでしょう。
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うつ病になるかならないかは環境で決まる
次に、うつ病になるかならないかは環境で決まるという話をしましょう。ちょっとした恐怖や不安は誰でも感じるのが普通です。しかし、何かがきっかけでうつ状態になると、身の回りのこと全てに恐怖や不安を必要以上に感じるようになってしまいます。
例えば、サバンナにいて茂みの中でガサガサと音がしたとします。恐らくは風の音ですが、ライオンが潜んでいる可能性もゼロではありません。普通の人であれば、「まあ風だろう」と考えて冷静になることができます。しかし、うつ状態の人は、茂みからガサガサと音がするだけで、「ライオンがいるんじゃないか」という強い恐怖や不安を感じて動けなくなります。
このように、うつ病を患っている人は、電車の中や会社での人間関係、満員電車などに強い恐怖や不安を感じて動けなくなってしまうことがあります。その結果、引きこもったり、家から一歩も出られなくなってしまうことがあります。
うつ病にならないようにする方法は存在します。うつ病になる人とならない人の違いは、遺伝子と環境の2つで決まることが長年の研究からわかっています。人がうつ病になるリスクの約50%は遺伝子によって決まりますが、ほとんどの人はうつ病になる可能性のある遺伝子を持っていることが多いです。
つまり、環境が大事だということです。環境が原因でうつ病になるかならないかが決まります。その環境とは、長期的なストレス、睡眠不足、孤独、運動不足、ジャンクフード、喫煙、SNSの見過ぎの7つです。これらの環境を整えることで、うつ状態にならずに済むことがあります。次の項目から一つ一つ丁寧に見ていくことが大切です。
7つの環境要因
それでは、うつ状態になるかどうかは、長期的なストレス、睡眠不足、孤独、運動不足、ジャンクフード、喫煙、SNSの見過ぎといった7つの環境要因によって決まることを見ていきましょう。まず、長期的なストレスです。
どんなに屈強な人でも、休みなしで1日12時間、厳しい上司の下で23年間働き続けると、ほとんどの人は疲れ果ててしまいます。実際に、ある友達は元々明るい性格だったものの、ブラック企業に入社して2年目で体調を崩しました。
長期的なストレスとは、数日や数週間ではなく、数ヶ月から数年単位のことです。そのような期間、睡眠不足や過労が続いたり、強いストレスを受け続けると、うつ病になりやすくなります。実際、精神科医として多くの患者を診てきた著者も、数え切れないほどのうつ病患者が長期的なストレスを受けた後にうつ状態になっていました。
では、なぜ長期的な強いストレスを受けると、私たちはうつ病になりやすくなるのでしょうか?それは、ストレスや睡眠不足が続くと、私たちの免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなり、結果的に死亡リスクが上がるからです。そこで、脳は強いストレスが続くと、「この世界は危険だ。引きこもらなければならない」と感じ、身の回りのことに強く恐怖や不安を感じるようになります。
つまり、脳は私たちが休めるように、あえて不安や恐怖を感じやすくしてくれているのです。しかし、それでも過労を続けると、最終的に脳が疲れ果ててうつ病になってしまいます。
だから、うつ病になりたくなければ、長期的にストレスを感じる環境から逃れることが大切です。
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孤独について
次に、うつ病になりやすい要因として、孤独があります。孤独は、タバコを1日15本吸うのと同じ危険性があるとされています。実際に、長期的な孤独状態にあると、睡眠が途切れがちで浅くなります。それにもかかわらず、3人に1人以上がこの孤独な状態に陥っています。
毎日Vtuberの配信を見て孤独を癒やしてもらう人もいますし、精神科医の著者のもとにも、孤独感を軽減したいと願う患者が多いといいます。辛いときに、自分の話を誰かに聞いてもらうだけで心が軽くなります。これは、孤独が解消されるからでしょう。
実際、オーストラリアで約5000人を調査したところ、うつ病の兆候があっても、グループに参加することで回復できる確率が上がっていました。やはり人間関係は大切ですね。
では、なぜ孤独だと強い不安を感じたり、うつ病になりやすいのでしょうか?それは、一人だと死ぬ確率が高いからです。私たちの脳は、狩猟採集時代から大きく変わっていません。大昔は周りに猛獣や飢餓などの危険がたくさんありました。現代では一人で生きることは可能ですが、その時代では無理でした。
私たちの祖先は生き延びて遺伝子を残すために、何があっても他人と一緒にいました。その感覚は私たちの遺伝子に深く刻まれています。つまり、私たちが孤独によって感じる不快感は、脳が他人とつながるために与えてくれたものなのです。人間関係は本当に重要な要素であると言えます。
人間関係
次に、健康に年を重ねるための鍵となるのは人間関係です。この本では、孤独に関してかなりのページ数を割いています。それだけ心の健康には、誰かと一緒にいることが重要なのです。ちなみに、親しくない知人と一緒にいるよりも、親しい人と一緒にいる方が良いことが分かっています。確かに、同窓会に行って仲が良くない人に囲まれると、逆に孤独を感じますよね。
1930年代に、ハーバード大学の研究者たちは、人生に幸せをもたらすものは何かを調べました。結果として、ほとんどの人にとって重要だったのは、お金やステータス、有名になることではなく、家族や友人、同僚との有効な人間関係でした。この実験によって得られた知見から、精神科医のジョージ・バイダン博士は、健康に年を重ねるための鍵は、1つ目に人間関係、2つ目に人間関係、そして3つ目に人間関係だと言っています。
確かに、何でも話せるくらい仲の良い人と一緒にいると、本当に幸せです。年を重ねるごとに、人間関係の重要性がますます感じられます。どれだけお金があっても、気兼ねなく話せる友人は簡単には作れないものです。そういった繋がりを増やすためにも、自分から親に電話をしたり、誰かを食事に誘ってみると良いかもしれません。友達と一緒に食事に行くことは、人間関係を築く上で大切な一歩です。
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運動不足
次に、運動不足を避けることが大切です。運動は脳にとても良い影響を与えることが分かっています。筋肉のある人が落ち込んでいる姿はあまり想像できませんよね。著者は、2010年頃に気づいたことが、うつ病の患者で運動をしている人たちは、再び病院に戻ることが少ないということでした。
うつ病が治ったのかもしれません。どんな運動が良いのでしょうか?2019年に精神科医の雑誌で発表された結論によると、15分のジョギングだけで、うつ病になるリスクが26%も減ることが分かっています。また、1時間散歩してもほぼ同じ結果が得られました。つまり、精神を健康に保つには、毎日15分走るか、もしくは1時間歩くことが良いとされています。
歩数にして言うと、1日最低8,000歩、12,000歩がベストです。しかし、現代人はパソコンやスマホを使って椅子に座っていることが多く、家で待っていればUberが食べ物を届けてくれたり、荷物は宅配業者が届けてくれるため、1日の歩数が4,000歩や5,000歩の人が多いのです。これでは運動不足ですね。
自転車に興味がある場合、自転車を漕ぐことも良いです。大事なのは、心拍数を上げることです。心拍数が上がる運動であれば、自転車でも散歩でも水泳でも心に良い影響を与えられます。実際、うつ病のリスクが高い遺伝子を持っている人を集めて調査したところ、運動していた人がうつ病になる確率は低かったのです。
運動が心に良い理由は、私たちの祖先が食べ物を得るために毎日走ったり歩いたりしていたことにあります。
寝たきりの状態では生き延びることができないため、運動不足で脳が不安を感じやすくなる。先祖の歩数は1日1万5000歩以上だったとされています。だから運動不足だと 脳が不安を感じやすくなるります。
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SNSの使いすぎ
次に、スマホの使いすぎやSNSを避けることも大切です。スマホの使いすぎは、精神に悪影響を与えることがあります。人によって異なりますが、スマホの使用時間は1日に平均2〜3時間が最も多いとされています。特に10代の学生は、LINEや動画視聴、SNSチェックなどでさらに多くの時間を使っているでしょう。
しかし、1日は24時間しかないため、スマホを使いすぎることで、実際に人と会ったり、運動したり、十分な睡眠を取る時間が削られることになります。これは良くない状況ですね。スマホゲームに夢中になってしまい、つい夜更かししてしまうこともあります。
この本では、特に危険なのは劣等感を抱きやすいSNSだと指摘されています。SNSでは、自分より美しい人や賢い人、お金持ちや人気のある人を毎分見ることになります。実際、2019年にFacebookの研究者たちは、インスタグラムによって10代の女子の3分の1が自分の顔や体に対してネガティブな感情を抱いているという警告を発しました。修正された完璧に見える写真ばかり見ていると、自分が劣っている存在だと感じやすくなります。そして、そんな自分には誰も付き合ってくれないという不安が生まれます。
確かに、自分が可愛くないと感じてしまう女子がいますね。食事中もマスクで顔を隠したりする人もいます。これは、SNSの見すぎで自分の価値をネガティブに捉えてしまっていることが原因かもしれません。
ただし、SNSはすぐにやめられるものではありません。そこで、この本では、SNSの使用を1日1時間以内にするという具体的なアドバイスが提案されています。
まとめると、うつ病を防ぐためには、長期的なストレス、睡眠不足、孤独、運動不足、ジャンクフードの摂取、喫煙、SNSの見すぎの7つを避けることを意識することが重要です。
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私たちは幸せな気分でいられるように作られていない
最後に、私たちが常に幸せな気分でいられるように作られていないことについて話しましょう。これまで説明してきたように、私たちの脳が些細な不安や恐怖を感じるのは、生命を守るための防衛本能であり、正常なことです。
これは、私たちは常に幸せな気分でいられるように作られていないということを意味します。例えば、木に登ってバナナを手に入れた後、しばらくは満足感が続くでしょう。しかし、24時間後もその満足感が続くことはありません。お腹が空いてきますし、新しい食べ物を探すモチベーションが湧かなくなると、最終的には餓死する可能性があります。脳は、お腹が空いたときに不快な感情を感じられるようにしています。
これは、食べ物だけでなく、仕事や物にも当てはまります。新しい車や最新のiPhone、高級腕時計を手に入れることで、一時的に幸せを感じるかもしれませんが、それを実現してもすぐに新たな欲求や不満が生まれてしまいます。何かを手に入れることで得られる幸せは、長くは続かないのです。
確かに、毎日楽しそうに生きている人もいます。そういった人たちが長い間充実感を持って生きる方法は何でしょうか。著者は、幸せになろうという考えを忘れ、自分が意義を感じられることをし、他人と繋がることを提案しています。
具体的には、自分が得意なことを理解し、それを他人や自分のために活用することです。プログラミングが得意なら、他人を喜ばせるためにそれを使い、料理が得意なら料理で人を喜ばせることができます。また、勉強を教えることが得意なら、それで他人を喜ばせることができます。実際、毎日充実感を持って生きている人は、自分が意義を感じられることに没頭していることが多いです。
私たちの祖先も、狩りや家を作ることなど、自分にできることを精一杯やって、他人と協力して生き延びてきました。自分が得意なことを誰かのために使うことで、孤独も解消されることがあります。私たちは、そういったことに充実感が得られるように作られているのです。
まとめると、幸せになりたいと考えると、一時的な幸せをもたらす物や状況に目が行きがちです。しかし、本当の意味で幸せになりたければ、幸せになりたいという願望を忘れて、自分が意義を感じられることに没頭し、他人とつながろうとすることが大切です。
自分が何が得意で、それをどのように他人や自分のために活用できるかを理解し、行動することで、長期的な充実感や幸福を得ることができるでしょう。そうすることで、毎日楽しく、充実した人生を送ることが可能となります。
まとめ
私たちの脳は大昔から変わっておらず、その目的は生き延びて遺伝子を残すことです。命を守るために、ネガティブな感情が発生し、不安や恐怖を感じるのは正常なことです。うつ病になるかどうかは環境によって決まります。
鬱にならないためには、長期的なストレスを避けること、孤独を避けること、運動をすること、SNSをやりすぎないことが大切です。充実感を得るためには、幸せになろうとすることを忘れ、自分が充実感を感じられることをして誰かと繋がることが大事です。
私たちの脳は生き延びて遺伝子を残すためにずっと働いています。そう考えると、結婚や子供を持つことで孤独が解消されるかもしれません。
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