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第2回 一番立地の重要性

立地が悪いのに繁盛する飲食店

非常に立地の悪い場所にある飲食店に行列が出来て繁盛しているのを見ると立地って関係ないじゃないか?と多くの方は考えると思います。
確かに飲食店では味やサービスがずば抜けている時、立地に関係なく繁盛します。1店1店の味、メニュー、接客、価格、雰囲気、広さ、営業時間等の全てが違う飲食店はコンビニエンスストアに較べ圧倒的に他店との差別化がしやすいのです。
しかし飲食店でも同一フォーマットの店数が多くなるチェーン店の場合は、競合店と同質化した途端に立地の重要性が増します。そのことについて先ず飲食店チェーンの過去の事例を見てゆきましょう。

noteアイコン(飲食店)

繰り返される栄華盛衰

ケース①
低価格のラーメンチェーン。固定客となる商圏を持たないロードサイドを中心に大量出店しましたが、低価格や無料券等で集客することが常態化した結果、収益が悪化。高価格帯への変更をきっかけに客数が低下する中で自社競合を招き、立地の悪い店舗を何回かに渡り大量閉店する結果となりっています。
ケース②
ロードサイドの飲食店の閉店跡地に居抜きで出店するステーキの新業態が現れ、サラダバーなどを盛り込んだ低価格の新サービスがファミリー層を中心に支持され大繁盛しました。しかし最大手ファミリーレストランチェーンが同種のサービスを行うステーキ店を業態転換で大量出店した途端に同質化。もともと立地が悪く他店が閉店するような場所への出店だったため、急激に売上が悪化し全国200店以上あったお店は12店まで減ってしまいました。
ケース③
立ち食いスタイルでのステーキ店もその斬新なスタイルと価格設定が熱狂を持って若者やサラリーマンから支持されました。当初はどこに出しても『わざわざ』お客様が来店してくれる為、立地戦略のセオリーを無視した出店を続けました。しばらくは快進撃が繰り広げられるものの急成長により商品や接客の品質が維持出来なくなったこと、後発の競合が現れると途端に新鮮さを失い同質化。その結果不便な場所にあるお店には『わざわざ』来店する客が減り、最盛期に500店近くだった店舗数は200店以上閉店しました。

前述のチェーンはいずれも初期の物珍しさから『わざわざ』来店して下さる来店スタイルが永遠に続くと信じ、どこに出しても売れると勘違いをしたまま急拡大を図り、結果として良い立地以外のお店は閉店を余儀なくされています。このように飲食店チェーンでは同じ過ちが過去何度も繰り返されているのです。

noteアイコン(土地活用)

コンビニエンスストアの歴史

コンビニエンスストアの黎明期は、昔からその場所でご商売をされてきたお酒屋さんや個人商店の店舗をコンビニエンスストアに転換して繁盛しました。立地についてはお世辞にも科学的に判断していたとは言えず、転換前の実績から大凡の判断をしていた時代です。しばらくそのような出店スタイルが続くと次第にお店の周りに競合店が増え始めます。その時、周りの店の影響を大きく受けて急に売上が下がり始めるお店と、殆ど影響を受けず売上が変わらないお店が出てきました。その原因を突き詰めてゆくと、最大の要因は立地でした。ここで出店のスタイルは大きな転換点を迎え、各チェーンの店舗開発担当者はそのエリアの一番立地を選定し出店する事が最も重要な仕事になってきました。しかし一番立地と言われるような場所にはかつてのお酒屋さんや個人商店等は殆どない事、良い立地は必然的に賃料が高くなるため本部物件となることが多く、その結果フランチャイジーは委託オーナーさんが中心となるようになりました。そして現在も環境変化に合わせてより良い立地を求め、新規出店と併せてスクラップアンドビルドが続けられています。

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同質化からの脱却

ではなぜコンビニエンスストアでは立地の影響が最も大きかったのでしょうか。1店1店が異なる飲食店と違い、お店のフォーマットが殆ど同じで全国に約56,000店もあるコンビニエンスストアの場合、様々な要因の中で圧倒的に格差があるのが立地なのです。お客様の心理として同じようなお店なら『わざわざ』遠くのお店は利用せず『近くて便利』なお店が選ばれます。ただし、これは56,000店の要素全てが同質化している場合です。実は『近くて便利』という言葉には距離や立ち寄りやすさという物理的な要因の他に心理的な要因が隠されています。もし一番立地に胡座をかいて品揃えや接客をおろそかにしているお店があったらどうでしょう。あのお店はいつも欲しい商品がない。あのお店の接客は不愉快だ。お客様からこう思われたらそのお店はいくら物理的に一番近いお店であったとしても『近くて便利』と感じなくなってしまいます。品揃えが良い店に行くために、わざわざ近くのお店を越えて行くことがあると答えるお客様は珍しくありません。
各チェーン本部は他チェーンとの差別化の為にプライベートブランドの新商品や新サービス、またお店の使いやすさ等のハード面も含め開発の努力を怠りません。お店もそれを活かした品揃えや接客、更にはクリンリネス等で周囲のお店と差別化を図る事でお客様にとって心理的な『近くて便利』を実現し、お店のポテンシャルを最大限に引き出しましょう。

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