人生初のトロフィーは自主制作映画での受賞だった昔話。

Nakasoneはごく稀に自主制作映画を制作する。
とはいえ独りで制作するのは難しいので、台本ができてから、協力してくれる方を探す。

台本ができたらまず、役者さんを探す。
それは知り合いからの紹介だったり、過去に付き合いのあった人に片っ端から連絡を取る。
台本を持参し、プレゼンみたいな事を喫茶店で繰り広げる。

その後、幸運にも受けてくださる方と出会えた場合、台本を〝その人〟らしく修正する。
半分、当て書きのような感じである。

ただ、役者界隈の繫がりという繋がりが誰とも繋がらなかった事があった。
丁度、界隈で有名な人が結婚されるそうで、披露宴で披露する演目の稽古が忙しかったらしい。

私と言えば
「満開の桜で撮影しよう!」
と、自然現象に対する期限を決めていた。
しかし誰も協力者がいない。
企画を一緒に温めていた人と2人で頭を悩ませていた。

「もう咲きますよ、桜が!」
「うーん、どうしたもんかねぇ」
「出てくれる人探さないとですね…でも、こんだけ断られたら難しそうっすね。」
「そうやねぇ。どうする?」
「自分で出ます!私がやります!」
「まぁ、そうなるよねぇ」

そんなわけで自分で考えた話を自分で演じたわけなのですが…難しい。
高校時代、演劇部に居た事もありました。
〝未経験〟ではないハズ。

そうして挑んだ撮影。
なんだかんだ協力してくれる役者さんが1人現れ、声を演じてくれる人も1人現れ、私を含めた全関係者は4人となりました。
4人…

よその自主制作映画の現場に行くと、スタッフだけでも10人を超えたりしており、スゲェなぁと常々思っていました。
…私の人徳の無さよ。

いや。ええねん。
少数精鋭ですな!と。
強がりでっせ!と。

その後完成した作品は、とある映画祭にノミネートされたのだけれど、関係者の参加が必要になった。
映画祭当日、私は仕事。
とりあえず最初からの初期メンに電話。

「あの、すみません。映画祭の会場に行っていただきたんですが」
「え、いつ?」
「○月○日です。」
「えー、急にそんなん」
「まぁ、そうですよね」
「行くわ」
「ありがとうございますぅ!」

と、いうことで初期メンに行っていただいた。
上映祭初日。
スマートフォンにメッセージが入った。

「他の映画、エンドロールが長い。」
「ウチ4人だけだからペラ1ですもんね」
「すごい規模でやってるみたいやな」
「いやはや、受賞するしないは置いておいて楽しんできてください!」

絶望。
つまりアレでしょう。
監督さん、助監督さん、撮影さん、録音さんや協賛の方々がいらっしゃるのでしょうか。
うーん、すごい。
すごい規模だし羨ましい。

授賞式当日。
仕事終わりにスマートフォンを確認すると、初期メンから着信が数回。
急いで折り返す。

「大丈夫ですか、何かありましたか」
「受賞した、受賞したぞ、ウチの作品!」
「まじっすか!ペラ1なのに!!」
「監督からのコメントってので電話したんやけど」
「あー、そういうことでしたか、すみません」
「いやいや、なんにせよ、やったな!」
「ありがとうございましたぁ!」

その後、初期メンが帰ってくる駅で合流。
「ほら、コレ、お土産とトロフィー」
「ありがとうございます。え、トロフィー頂けたんですか」
「ちゃんと見てないけど、はい」
-トロフィーを受け取るNakasone-
「うわー、人生初トロフィーです」
「おー、よかったやん」
「ありがとうございました!」

後日、審査結果を映画祭のホームページで確認したところ、応募総数は200をゆうに超え、受賞は数作品とのこと。
「はいぃ?」
そんなに沢山の作品が集まっていたとは。
ビビり散らした私は、それでもニヤリとしつつ、次の作品に向けて手帳を開くのであった。
とはいえ、そう簡単には創れないのだけれども。

ではまた。

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