笑わない子供。俺のせいだと謝る父。夫婦関係の悪化が子供に与えたこと

ご自身の幼少期の写真を見たことはありますか?
家族旅行だったり、日常の風景だったり・・・。
ちなみによくある話かと思いますが、末っ子の私は写真が少ない上に、箱に無造作に入れられただけで整理もされていません。長男に関しては最初の方だけアルバムに入っています(親の性格がわかる)

何度か押し入れを漁っては写真を探したことがあるのですが、ある日ふと思うんです。
私の写真、ほとんど笑ってない。
恐らく3、4歳くらいの私の写真はほとんどブスッとしていて、数少ない家族写真に関しては、家族全員が笑っていないんです。

昔どこかで、笑わない子供は自閉症の可能性もあるということを聞いたことがあります。私は今までそういった診断をされたことはないですが、ここまで笑った写真を見たことがないと心配になってきます。

やっと見つけた笑顔の私

保育園で撮られたであろう写真が出てきましたが、その中には笑顔でポーズを取る私が写っていました。あれ、私、笑えてるじゃん。

だけど家族との写真はほとんどがブスッとしている。
そんな話を父親にしたところ、「それは多分俺のせいだな。」と申し訳なさそうに呟くのです。
歳の離れた兄と姉がいる私、幼少期は思春期真っ只中の二人の下で育ちます。
思春期の兄姉と遊びたい盛りの私、そして毎日仕事、飲み、兄の部活の世話だけはするがほとんど家にいない父、そして家事育児は全て母。
そこからふたりの仲は険悪になっていったようでした。
その中で育つ私は、家庭内で笑顔を見ることなんて少なかったのでしょう。
笑い方がわからない子供は、笑えないんです。
子供は、親が言葉を教えてくれないと喋れません。おむつが濡れてる時に気持ち悪いね、変えた後にスッキリしたね、と言ってくれなければ、この感覚がなんなのかわかりません。
きっと私は、笑い方をあまり知らない子供だったのです。

物心つく頃には険悪な両親


父と母が二人で出かけるのを見たことはほとんどありません。ましてや目を見て会話しているのも、たわいない会話というのもほとんど見たことがありません。今までずっとです。
なんで、いつから、と思っていたのも、父親との会話で判明しました。
きっと兄が生まれた頃からもいろんなことはあったでしょうが、私が生まれた時期から次第に、俺のせいで関係が悪化した、と父は呟きました。
それなりの年齢になり、それなりの地位についた父の仕事が忙しくなるのも想像はつきます。学校の行事や部活動で兄姉が忙しくなったのもわかります。
育児に参加しない父親が、家庭環境の悪化に拍車をかけるのも、とっても想像がつきます。
そんな典型的な理由から、私たち家族はいつからか笑顔のない家族になっていったのでした。

親のせいで私は笑えなかった。でも今は・・・


関係の悪化や忙しいを理由にしたことにより、私が家族で出かけた記憶も父と母二人に何かをしてもらったという記憶もありません。
「家族の思い出がないのも私だけそんな写真がないのも、私は根に持っているしこれからも持つ」そう父に伝えました。
父のせいでそうなってしまったことに対して、私がずっと感じていた悲しみを初めてぶつけました。
しかしこの後に私はこう言うのです。
「ずっと悲観的になってもしょうがないから、今こうやって話せるからいいし、私は家族ができたらたくさん笑顔を見せるし反面教師にする。」と。
半ば嫌味のつもりで伝えましたが、想いを伝えることが苦手な私からの、精一杯の許しの言葉でもありました。

最近、インナーチャイルドと向き合うようになってから過去の家族の問題や自分の問題を見つめるようになりました。
夫婦や家族という、長い年月をかけて構築していくものには日々の小さな積み重ねが、関係を良くも悪くもしていくもので、まさに後者だった我が家はもう取り返しなんてつかないかもしれません。
父が今、母にあの時はごめんと言ったところで、もう綺麗でヒビもなかったあの頃の姿には戻れないのです。そしてその両親を見て育った私たちの少し歪んだ思想も変わらない。積み重ねというのはそれほどまでに大変なもので、変えようのないものなのです。

自分と、そして周りと向き合う補修作業


私は今、こうして自分と向き合い、父や母と向き合い、大人になったからこそ聞けるあの頃の話を聞いて、当時の、今の気持ちをぶつけることによって、幼少期からの小さなヒビが割れないように補修をしていくのです。
きっと家庭環境のせいにしたままだったら、私じゃなくて親が悪いと傲慢な気持ちで過ごしていたら、私のヒビは大きな亀裂となって割れてしまったと思います。
向き合うことを忘れなくてよかった。

自分の寂しさや、弱さやの根源は何かと向き合ったら気づいた父と母の関係、そして家族の関係。
たった今も良好で健全な関係とは決して言えないが、もはや夫婦関係の悪化を分かりきった両親も開き直ってる感じがあって良い。
全てを過去や環境のせいにして生きるのではなくて、なんでこうなってしまったかを分かった上で、これからの人生を楽しく生きる方に目を向けていきたい。
こうなった理由探しはもう一旦終わりにして、誰のせいにするでもなく、私は私の人生を楽しく生きていきたい、生きていける。

笑顔を知らなかった小さい私に、今の私がたくさん笑いかけてあげる。



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