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【本のこと】『死神の精度』

はじめに

皆さま、こんにちは。
先週、1年ぶりの小旅行で隣県へ行ってきました。宿の食事を堪能したり、地域の夏祭りに潜入してみたり、競馬場に行ってみたり…ワクワクだらけの時間を過ごしました。たまの非日常があるからこそ、日常を生きていける。そんな気がします。


ふとした出合い

さて、今回は、2022年の66冊目、伊坂幸太郎さん『死神の精度』(文春文庫)をご紹介します。2008年に金城武さん主演で映画化されたり、2009年には舞台化されたりと、とても人気のある作品なのですが、私は今まで読んだことがありませんでした……。

そんな有名な作品と出合ったのは、近所の古本屋さん。石黒正数さんの特別カバーがかかっているバージョンが棚に置かれていて、「そういえば読んだことがなかった!」と思ってお迎えしました。

読み始めてみると、乾いた土が水をぐんぐん吸収するように世界観に引き込まれ、3日ほどで読み終わってしまいました。

物語の主人公は「死神」。仕事は、1週間の調査の後、対象者の死に可否の判断を下すこと。特徴は、仕事をする時に必ず雨が降ること。

そんなシンプルな設定であるにもかかわらず、全6本の短編集の中で、彼はどこか人間味のある行動を起こし、対象者の人生を揺り動かすことで、物語をどんどん面白くしてくれます。

読んでいるうちに、彼に会ってみたい気持ちになりましたが、私たちが彼に会う時は死ぬ確率が高いということなので、会わない方が良さそうです(笑)。

個人的イチオシは、最後に収録されている「死神対老女」。それまでの話につながるちょっとした仕掛けが隠されていて、気づいた時は何だか嬉しかったです。さらに、死の可否を判断するだけでいいはずの死神が、老女のわがままに巻き込まれる様子が微笑ましく、死神に人間味を感じるという矛盾を体感できます(笑)。


おわりに

今回は、伊坂幸太郎さん『死神の精度』(文春文庫)をご紹介しました。随分とライトな内容になってしまいましたが、ネタバレ防止ということでご容赦下さい……。「内容が気になった」という方は、ぜひ本作を読んでみてくださいね。

この記事が、皆さまの読書生活に花を添えられれば光栄です。それでは、良い1日をお過ごしください!

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