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風車 (詩)

あの子は行った
この雪道を
轍を歩いて真っ直ぐに

まわれ回れ風車
あの子の旅立ちに
手を振って

あの子はいつもここにいた
昨日までここにいた
陽だまりのように温かく

まわれ回れ風車
あの子の生命
引き継いで

あの子はいつも佇んだ
赤子のように無垢な目で
ただ一心に生きていた

まわれ回れ風車
私の胸の苦しみを
動力にしていつまでも


****
年始に実家の14歳のフレンチブルドッグが旅立ちました。
犬はいつでも一生懸命で優しい。
残業で疲れた私を温かく迎えてくれて、疲れが一瞬で吹き飛んだものでした。
結婚して家を出た後も、両親が大切にしてくれました。幸せな一生だったと思います。
同じ空間に生きていれば、犬も人間もない、同じ生命だということを教えてくれました。
亡くなったことを聞いた朝、雪の積もった庭で、ペットボトルで作ったかざぐるまが懸命に回っていました。

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