マガジンのカバー画像

これは小説です。

71
勢いで初めてみました。 短編小説を投稿していく予定です。マガジン名悩み中。
運営しているクリエイター

2020年5月の記事一覧

ショートケーキのような君が好きです。でもショートケーキが嫌いです。-feedback sauna謝辞つき

ショートケーキのような君が好きです。でもショートケーキが嫌いです。-feedback sauna謝辞つき

 「今日の夜、六時に私と一緒に来てほしい。」

 いつもと違って静(しずか)は私に少し声を震わせながらそう伝えた。

 「良いよ、それまでどうしてよっか。図書館五時に閉まっちゃうし。」

 何事かと思ったが静のペースを考えて私は問い詰めることはせずに答えた。

「そ、そっか。じゃぁ五時半に、五時半にしよう。」

 私より少し高い背で、椅子に座る私を見下ろしながら、慌てて静はそう訂正した。

「五時

もっとみる
猫はよくしゃべり、猫を被る。

猫はよくしゃべり、猫を被る。

 近所の公園に一匹の猫が居る。真っ白い毛並みに、右目が青く、尾が普通の猫に比べてやや長い猫である。

 近くのスーパーによる時に歩いて出かけると時折その猫がその公園を歩いていたり、座ってくつろいでいたりするのを見かけていた。はじめは気にかけていなかったが、ある日その猫が鳴くのを聞いた。

「ミート500グラムペットボトル入りで」

 少し高い合成音声のような声で、言葉の調子が少し下手であったが猫は

もっとみる
いつかのささやかなる瞬間を青春と呼ぶのだろう

いつかのささやかなる瞬間を青春と呼ぶのだろう

 三城(ミキ)が窓の外を見ると雲行きが怪しくなっていた。さっきまでの晴れ空は嘘みたいで夕立雲がどこからともなく出てきていた。帰りの会の時間がいつも以上に長く感じる。早く帰りたいと三城は思っていた。
 三城の友達である城田はそんなことに気付かないで机の下でスマホを開いてゲームをやっている。別に帰りの会の時間がいつもより長かろうとそんなことは城田にとってはどうでも良いことだった。家に帰ってゲームをする

もっとみる