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なぜ、島田慎二は千葉県で牛を育てることになったのか?

「台風によって大きな被害を受けた千葉の農業・畜産業を、島田慎二流に支援する」ことを目的としたしあわせ絆島田牛プロジェクト
前回のnoteでは駆け足でプロジェクトの開始をお伝えしましたが、今回は千葉の畜産業に関する説明や、このプロジェクトの主役となる"シマちゃん"の近況についてお伝えします。

酪農発祥の地・千葉県と交雑牛

改めて、2019年の台風15号・19号による千葉県の農林水産業への被害は450億円以上に登ると発表されています。千葉県内農林水産業の県内総生産が年間2,000億円前後ですので、とてつもないダメージといえます。そこで、"情報発信"という支援を行うのがこのしあわせ絆島田牛プロジェクトです。

しあわせ絆島田牛

「しあわせ絆島田牛」というプロジェクト名は、東日本産直ビーフ研究会様の「しあわせ絆牛」ブランドからきています。我々が普段食べている牛肉には様々な種類がありますが、このしあわせ絆牛ブランドは交雑牛という種類の牛肉です。(シマちゃんも交雑牛です)

交雑牛とは、一言で言えば雑種。和牛のオスと、乳牛のメスの間に生まれた牛のことです。「」という文字から品質の低さが連想されますが、食べてみるとそんな印象とは全く違うんですね。実際に和牛と食べ比べても、どちらが明らかに上であるという感じではなく、和牛に近いもののまた違った美味しさがありました。

実は、千葉県は日本酪農発祥の地です。乳牛は妊娠させてから搾乳するわけで、交雑牛はある意味で酪農の副産物として生まれます。つまり文脈として、千葉を代表する食用牛は交雑牛であろう――こんな考え方もできるわけですね。

交雑牛ブランドは戦国時代

さらに、豚肉や鶏肉の世界に比べて、牛肉、とりわけ交雑牛ブランドというのはまだまだ格付けが確定しておらず、戦国時代であるというのです。千葉だけでなく全国に、交雑牛のトップブランドを狙う猛者たちがいる。

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「トップブランドの和牛」と言われると、誰もが神戸牛や松阪牛、近江牛などの名前を出すでしょう。しかし交雑牛に関しては、そもそも"交雑牛"という言葉も初めて知ったという方は多いのではないでしょうか。

交雑牛という文字のネガティブなイメージを避けようと、「ミックス」とか「ハイブリッド」と言い換える関係者もいるようです。確かに、和牛に比べて安価で、味も大きく劣るわけではないというのは、ハイブリッドと呼んでも差し支えないように思います。もしかしたら、この分野に巨大な市場が眠っているかもしれません。

目指すのは当然"一番"そしてゴールも地域貢献

このように様々な文脈があった末、「酪農発祥の地・千葉だからこそ、交雑牛のブランド牛を購入し、育てる」というこのプロジェクトが始まりました。

最初は思いつきでアイデアを出しましたが、私自身もこのプロジェクトを通して農業・畜産業について学ばせてもらっています。知れば知るほど、今こうやって牛を育てることになったことは巡り合わせだなと。それに、美味しい牛肉は大好きですから非常に楽しく取り組んでいます(笑)

さて、今プロジェクトの主役であるシマちゃんの目標は、公益社団法人日本食肉格付協会の格付けでA5ランクを取得すること。「A5ランクの最高級品!」とか、よく聞くフレーズですよね。
これはA~Cランクの歩留まり等級(どれだけ食肉が取れるか)と1~5ランクの肉質等級(霜降度合や肉の見た目など、4項目での評価)を合わせたもの。どちらも最高評価であるA5ランクを取得できるのはほぼ和牛であり、交雑牛がA5ランクを取得できるのはまれとのこと。

しかし、難しいからこそ目指す価値がありますよね。せっかくですから目指すは当然A5ランクです。そのために畜産農家さんたちがどのような努力を工夫をしていらっしゃるのかも、次回以降お伝えできればと思います。

そして、最終的なプロジェクトのゴールは、千葉県内の児童養護施設で暮らす子どもたちに、シマちゃんの肉を美味しく食べてもらうこと。県内の児童養護施設には、現在800人ほどの子どもたちが暮らしています。

プロジェクト関係者やジェッツの選手たちに振る舞うということも考えていましたが、このプロジェクトは千葉のため、地域のためのものであるということが最も大切な部分。そして自分たちだけでなく、多くの子どもたちに、美味しいお肉を純粋に味わってもらうのがよいと考えたのです。

もちろん、子どもたちに食べてもらう前に「このお肉は島田慎二という優しいおじさんがくれたもので〜」とか野暮なことを伝えたりはしません。子どもたちが笑顔になってくれればそれでいいと思っています。

さて、シマちゃんは最近お引越しをしまして、新しい牧場での生活が始まっています。牧場でシマちゃんを担当する方によると、他の牛に比べてヤンチャな性格をしているようです。私に似てしまったのかもしれませんが(笑)身体も順調に大きくなっているようですし、これからも伸び伸びと育って欲しいものです。



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