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夜間の呼吸数が高いと死亡リスクが高くなる。

こんにちは。デイジーです!今回はアメリカで行われた、インパクトのある研究の紹介です。




タイトル

平均夜間呼吸数は、コミュニティに居住する高齢の男女の心血管および全死因死亡率を予測する。

1. イントロダクション

呼吸数(RR)は、心拍数、動脈血圧、体温と並ぶ四大バイタルサインの一つであり、急性および慢性の健康状態を反映する重要な指標です。特に高齢者において、RRは短期入院死亡率を強く予測します。本研究の目的は、地域に居住する高齢者における夜間の平均呼吸数(RR)が長期の心血管および全死因死亡率を予測するかを調査する。

2. 対象者

本研究は二つの大規模コホートで実施されました。

  • Osteoporotic Fractures in Men Study (MrOS): 米国の6つの都市から集められた65歳以上の男性5,995人が対象。

  • Study of Osteoporotic Fractures (SOF): 4つの都市から集められた65歳以上の女性10,366人が対象。

これらのコホートは、骨粗鬆症とその影響を調査するために設立され、健康な高齢者を広くカバーしています。

3. 検査方法

両コホートの対象者は、在宅で一晩にわたるポリソムノグラフィ(PSG)を実施されました。PSGデータから、呼吸努力の信号を用いて睡眠中の呼吸数を分析しました。呼吸数の変動は1分あたりの呼吸数(bpm)として算出されました。

検査の具体的な方法は以下の通りです:

  • PSGの設定: 在宅で行われ、鼻カニューレ、口呼吸モニタリング、胸部および腹部バンドを使用して呼吸努力を記録。

  • データ解析: 呼吸数はPSGデータから自動的に抽出され、1分ごとの平均呼吸数(bpm)として算出。

4. 結果

2686人の男性(MrOSコホート)および406人の女性(SOFコホート)が対象となりました。追跡期間中に、MrOSコホートでは166人(6.1%)が心血管疾患で死亡し、全死因では1312人(51.2%)が死亡しました。SOFコホートでは46人(11.2%)が心血管疾患で死亡し、全死因では106人(26.1%)が死亡しました。

多変量Cox回帰分析により、夜間のRRが16bpm以上の参加者は、心血管死亡率および全死因死亡率が有意に高いことが示されました。具体的には以下の通りです:

  • 心血管死亡率: RRが16bpm以上の参加者は心血管死亡率が有意に高く、P値は<0.05。

  • 全死因死亡率: RRが16bpm以上の参加者は全死因死亡率が有意に高く、P値は<0.01。

検査データの詳細

  • RRの平均値(標準偏差): 14.2(3.3)回/分

  • RRの範囲: 8〜20回/分(2.5パーセンタイルから97.5パーセンタイル)


5. 考察

夜間のRRが16bpm以上の参加者は、心血管および全死因死亡率のリスクが高いことが確認されました。これは、呼吸数が神経疾患、糖尿病、慢性腎疾患、肺疾患、心疾患などの補償機構を反映している可能性があるためです。また、心不全や睡眠時無呼吸症候群の重症度はRRと有意な関連がないことが示唆されました。

RRの上昇が示唆する生理学的および病理学的メカニズムには、以下の要素が含まれます:

  • 交感神経系の活性化: 高いRRは交感神経系の活性化を反映し、心血管リスクを増加させる。

  • 代謝需要の増加: 高いRRは代謝需要の増加を示し、慢性疾患のリスクファクターとなる。

6. まとめ

Q . 夜間の呼吸数は、コミュニティに居住する高齢者の長期の心血管および全死因死亡率を予測するか?
A. この研究では、夜間の呼吸数が16bpm以上の高齢者は、長期の心血管および全死因死亡率が有意に高いことが示されました(心血管死亡率のP値<0.05、全死因死亡率のP値<0.01)。

7. 疑問点や今後の課題

  • サンプルの限界: 主に白人の高齢者を対象としているため、他の人種や年齢層へ別の比較。

  • 測定の信頼性: 呼吸数の測定の信頼性を評価していないため、さらなる研究が必要です。

  • より大規模な研究: 呼吸数が予後に及ぼす影響を評価するためには、より大規模なサンプルサイズでの研究が必要です。

  • 治療ガイドラインへの影響: 呼吸数の変動が治療ガイドラインや予後の改善にどのように役立つかを検証するための前向き研究が必要です。


以上が今回の論文紹介になります。


やはり呼吸、大切ですね!!!

今回のデッドラインである『呼吸数16回』は医学的に見ても正常な呼吸数とされている数値です。今後さらに研究が進むと、もしかした正常な呼吸数はより少なくなる事かもしれないなーと思ったり。

ただ、今回は鼻呼吸や口呼吸、呼吸のパターンなど、分けての調査はされていなので、呼吸数だけでなく、これらも注意してみていきたい所です!

この論文の詳細な情報や具体的なデータについては、下記を参照してください​。

Mean nocturnal respiratory rate predicts cardiovascular and allcause mortality in community-dwelling older men and women
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7864583/#:~:text=In%20community%2Ddwelling%20older%20men%20and%20women%2C%20polysomnography%2Dderived,CV%20and%20all%2Dcause%20mortality.

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