わたしの本棚66夜~「老いのゆくえ」
女性ばかりで、7人の理事と全国の下読み委員とで運営している大阪女性文芸協会があります。毎年、大阪女性文芸賞を選出し、今年で38回めになります。わたしは28回から、理事の末席で参加しています。その選考委員を第20回から35回まで、黒井千次先生はつとめてくださりました。地方の小さな賞にも関わらず、退任後も顧問として協会を暖かく見守ってくださり、感謝しています。
☆「老いのゆくえ」黒井千次著 中央公論新書 820円+税
85歳という新たな区切りを超えた作家は老いとどう向き合っているのか。優先席との微妙な関係、年齢への違和感、進まない整理整頓、しゃがむことの困難、病気との付き合い方、硬貨や薬が転がり落ちること。残された時間に思いをはせながら描く老いの日常です。優しい視線で、時にユーモアを介して描かれており、ふっとほくそ笑みながら読みました。
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