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わたしの本棚127夜~「ばさら」

 生活にバタバタしており、贈っていただいても書けていないものもあり、読書の秋2021の課題の本もまだ数冊しか読めず・・・との毎日です。読書の感想を書くのが恐縮になっております。

 2020年5月に急逝した甲斐いちびん氏の第句2集です。この句集を制作中に急逝され、死後、奥さま、娘さま、山本直一氏、故宮竒亀氏、中原幸子氏を中心とする旧船団北摂句会の皆さんのご尽力によって上梓された句集は、追悼句会の思い出とともに、生前の人柄がしのばれます。

 帯文と跋文を坪内稔典先生、あとがきを奥さまと娘さまが書かれているのですが、それぞれに愛情あふれる素晴らしい文章です。句集の中、端居して酔いどれ船の帆をたたむ、は坪内先生がことに好きな一句としてあげられています。句友の山本直一氏が帯の十句選をされています。

☆「ばさら」甲斐いちびん著 ふらんす堂 2750円(税込み) 

 コロナ禍で行われた追悼句会は、奥様も参加してくださり、山本典子氏や宮田和典氏の旧船団北摂句会のみなさん、温かく厳かで素敵な句会でした。

 当日は山本直一氏と宮竒亀氏の進行役で、ゲスト選者に千坂希妙氏であり、冒頭黙とうし、ひとりづつが甲斐氏の思い出を語られたのち、句会が始まりました。娘さまがあとがきに書かれているように、映画、音楽、絵画から漫画まで、幅広く文化や歴史について知識が豊富な方だったのがわかる、みんなの語る甲斐氏との思い出話でした。

 人が死ぬということ、その厳かな流れの中、俳句を通して語られるもの。

句集の題名の「ばさら」とは、娘さまのあとがきによると、室町時代の婆娑羅大名にちなみ、秩序より実力を重視し、遠慮なく勝手にふるまい枠であるという点で、父の生き方、性格をそのままあらわしているといえる、とあります。好きな俳句5句です。

☆花が散る映画小僧が目をさます

☆くねくねと生きるくねくねと粽解く

☆端居してアンパンマンマーチそろんじる

☆柿食えばラ・カンパネラ古都に風

☆ごうごうと六月沖縄風よ鳴れ


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