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わたしの本棚3夜~「あの本は読まれているか」

 早春のころ、尊敬する編集者さんから、本屋さんでみて、ピンときたといって、写真入りのメールで紹介していただいた本です。氏の予感どおり、海外で今年最高の話題作となり、日本でも読書会、カルチャー講座でとりあげられたほど人気です。壮大な設定、事実を基にした飛躍したストーリー展開であり、いろんな角度から楽しめ、大きなエンタメとしても映画にもなりそうな長編でした。

☆「あの本は読まれているか」ラーラ・プレスコット著、吉澤康子訳(東京創元社)1800円+税

 東西冷戦下のアメリカ。ロシア移民の娘のイリーナは、CIAにタイピストとして雇われます。実際は、スパイの才能を見込まれ、共産圏で禁書となっている「ドクトル・ジバコ」をソ連国民の手にわたし、ソ連の現状をしらしめることでした。文学(ベストセラー)が人々の心を変え、ペンの力で世界を変えようとする試みに、イリーナの恋愛、働く女性としての苦難などを織り交ぜ、東西両方の立場で、物語が展開していきます。

 スケール大きく、007シリーズのようにテンポもよくて、面白かったです。ただ、数十年前のことなので、ITの発達した今と考えや時間経過が違うところも多いですが、それでも、あの時代背景で、必死に悩み生きた女性たちの姿が活写されています。ラストは賛否両論でしょうが、彼女のサリーを選択したことへの疑問は少し感じましたが、それでも、ペンが武器になるという信念に命をかける人々の姿には心打たれました。

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