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連城三紀彦・没後10年

 連城三紀彦氏が亡くなって、今年10年になります。2013年10月19日が命日。学生の頃から、髙樹のぶ子氏と同じく好きな作家で、その早すぎる死を悼みました。
 一番好きな作品はと聞かれると悩みますが、花葬シリーズは全部好きで、わたしの本棚45夜でも書いた「戻り川心中」はミステリーとしても恋愛小説としても傑作だと思います。没後10年を偲んで、連城氏にまつわる好きな小説や映画のことを書いておこうと思いました。

1.「連城三紀彦全作品ガイド」 浅木原忍著 論創社 2800円+税

連城三紀彦さんの作品の魅力を語るべく、ファンだった浅木原忍氏が、「連城三紀彦全作品ガイド」を2017年に刊行されています。連城氏の全作品レビューの他、作家論などの論考も。第16回本格ミステリ大賞「評論・研究部門」受賞作であり、ファン必読の書だと思いました。

 この本の中でも紹介されているのですが、連城氏には花葬シリーズといって、花をモチーフにしたミステリー作品があります。花の美しさ、妖しさは流麗な文体とあいまって、とても素敵なシリーズでした。

小説(題材の花)

「藤の香」(藤)、「菊の塵」(菊)、「桔梗の宿」(桔梗)、「桐の柩」(桐)「白蓮の寺」(連)、「戻り川心中」(菖蒲)、「花緋文字」(椿)
「夕萩心中」(萩)、「夜の自画像」(朝顔)が花葬シリーズです。

2.連城三紀彦レジェンド集・伊坂幸太郎氏他編 講談社 590円+税
 連城氏の死後、伊坂幸太郎氏たち推理作家が、レジンド集として、連城氏の短編で自分が好きな作品を集めてます。巻末には、伊坂幸太郎氏と綾辻行人氏の対談つきです。
 綾辻行人氏セレクト  「依子の日記」
 伊坂幸太郎氏セレクト 「眼の中の現場」
 小野不由美氏セレクト 「桔梗の宿」
 綾辻行人氏セレクト  「親愛なるエス君へ」
 米沢穂高氏セレクト  「花衣の客」
 伊坂幸太郎氏セレクト 「母の手紙」

3.映画芸術446号・追悼連城三紀彦

 小説家だけでなく、映画人としても活躍された連城三紀彦氏。学生時代、シナリオを学ぶために、フランスへの留学経験もありました。アジア映画、とりわけ香港映画にも造詣深く、ケニー・ビー、トニー・レオンといった俳優さんがお気に入り。追悼文は、甥の水田公師氏、奥田瑛二氏、香山二三郎氏、荒俣勝利氏、橋本光恵氏、萩野大輔氏。皆さん、心のこもった文章です。

香港ルノワール「男たちの挽歌」やのちの「インファナル・アフェア」は、氏の紹介記事を読まないと観てなかった作品です。

没後10年経った今も、そのミステリー小説を読むと、トリックやどんで返しに膝を打ち、恋愛小説を読むと、どうしてそこまで女性の心情わかるのだろうか、と不思議になり、アジア映画を愛する映画評には熱い思いに拍手したくなり、小説や映画評の流麗な文体には酔いそうになってしまう、作家さんです。改めて早すぎる死を悼みます。

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