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黒斑山 △山の魅力△(0029)

浅間山の好展望スポット。高峰高原からのルートは冬の雪山登山入門としても人気です。


<山岳名>
黒斑山
(くろふやま)
所在地: 群馬県嬬恋村、長野県小諸市

<概要>
日本百名山の浅間山の外輪山の一角(ほぼ西側)。標高は約2404m。
花の百名山(ヒメシャジン)。
登山口の高峰高原はスキー場や温泉があり、登山者以外の観光客も数多く訪れる観光地。

<アクセス>
JR北陸新幹線・小海線「佐久平」駅から路線バスで約55分。JR小海線・しなの鉄道「小諸」駅からも乗車OK。
東京からの場合、新宿から高峰高原までの直通の高速バスが運行。

<国土地理院地図>
車坂峠


<黒斑山の魅力>
第1に、浅間山(前掛山)の好展望地であるところです。
浅間山(標高/約2568m)は日本百名山のひとつです。しかし現在(2022年12月)は噴火活動による入山規制のために山頂に登ることはできません。いまは眺めることしか叶いません。そこで浅間山の好展望のスポットとして黒斑山は有名です。浅間山と黒斑山の間は遮る物がないため、浅間山の山体全体をきれいに見ることができます。
※噴火活動の状況次第で、浅間山火口からすこし離れた前掛山へは登ることができます。
もちろん、黒斑山へは四季を通じて登ることができます(積雪時は雪山登山装備が必要)。

第2に、温泉好きには有名な高峰温泉があります。
高峰温泉は”ランプの宿”として知られ、また温泉好きの方にもよく知られた人気の宿です。スノーシューによるアクティビティを実施したり、夜は星空観望の開催なども行っています。”日本秘湯を守る会”登録。冬季は高峰高原のバス停から雪上車による送迎を実施しています。


<登山コース>
※標準的タイムによる目安(休憩含まず)
高峰高原・車坂峠を起点終点とする周回ルート。”表コース”から登り、下山には”中コース”を利用。
高峰高原・車坂峠の登山口→ 表コース→ 槍ヶ鞘(80分)→ トーミの頭(20分)→ 黒斑山(20分)→ トーミの頭(20分)→ 中コース分岐(5分)→ 車坂峠(60分)
山行時間/ 3時間30分程度
標高差/ 450m程度

<登山道の特徴>
”表コース”を登り、”中コース”を下りに利用することが一般的に多いようです。
”表コース”の方が比較すると全体的に傾斜が緩やかです。
どちらのコースも無雪期は木の根の張りだしが多いです。
”表コース”の場合、槍ヶ鞘のちょっと手前で浅間山(前掛山)が顔を出します。槍ヶ鞘では浅間山の山体がよく見えるようになります。
槍ヶ鞘から先は岩や石がゴロゴロとした足元がよくない道になります。
槍ヶ鞘までは樹林帯ですが、その先は樹木はありますが疎林であり低木が中心になります。また外輪山の稜線となりますので、強風が吹くことも多いです。
”トーミの頭”の手前は急登となります。また右側(東側)は切れ落ちたガケになります。
黒斑山の山頂手前(”トーミの頭”との間)にはガケとスレスレの細い道もあるので注意が必要になります。
積雪時、黒斑山から先の北方の蛇骨岳に行く場合には軽アイゼンではないアイゼンとピッケルが必要と思われます。
”中コース”は全体的に樹林帯のルートになります。
”中コース”の後半は”表コース”と比較して急傾斜になります。
コース途中にトイレはありません。トイレは車坂峠だけです。
コース途中に水場はありません。車坂峠にあるホテルでドリンク類を購入できます。
黒斑山登山にあたっては浅間山の火山活動状況に影響を受けるため、事前に情報確認にご留意ください。
●山のグレーディング
体力度/ 2
難易度/ A
体力度:1→10(低→高)、難易度:A→E(低→高)
●積雪時の黒斑山登山
積雪時の黒斑山では、ダブルストックと軽アイゼンによる登山が多いように思われます(新雪時にはワカンやスノーシューがあった方が便利)。
ただ、雪の量や状態によって難度や危険度が変わります。黒斑山ではガケ側に滑落しないように注意が必要になります。そのため、状況に応じてピッケルやアイゼン(軽アイゼンではない)の使用等も検討する必要があります。
場合よっては自己の装備や経験値などを踏まえて引き返す判断をするなどした方がよいかと思われます。表コースから登った場合、槍ヶ鞘まではほぼ難所や危険個所はなく、浅間山も臨めますので、たとえ槍ヶ鞘で引き返したとしても来た甲斐はあるのではないかなーと思います。


<売店等>
高峰高原バス停のホテルでドリンク類等の購入が可能です。
「佐久平」駅構内にコンビニと土産物店があります。

<日帰り温泉など>
高峰高原ホテル (※公式サイト)
高峰温泉 (※公式サイト)
佐久平プラザ21 (※公式サイト)佐久平駅 ※温泉ではない
中棚荘 (※公式サイト)小諸駅

<お食事処>
高峰マウンテンパーク (※公式サイト)
高峰高原ホテル
※レストランはありますが、現在(2022年12月)、営業は休止しています。カフェは営業しています。
高峰温泉では昼食の提供を行っています。
佐久平プラザ21内には食堂があります。

<山小屋等の宿泊施設>
高峰温泉 (※公式サイト)
高峰マウンテンホテル (※公式サイト)
高峰高原ホテル (※公式サイト) 現在(2022年12月)は宿泊営業は休止中です。
そのほか周辺に宿泊施設があります。 (高峰高原ポータル)

<名産品>
信州蕎麦
信州味噌
りんご

<付近の山>
前掛山/浅間山
高峯山
水ノ塔山
湯ノ丸山

<そのほかの補足>
黒斑山の登山は浅間山の火山活動状況に影響を受けます。
宿泊施設などにより高峰高原までの送迎を実施しているところもあります。

<お天気情報>
東篭ノ登山/山の天気 (tenki.jp)


<私的な雑感>
とにかく浅間山がデカい。
谷川岳へ行く途中など関越道からは西側に浅間山の広大な裾野が見えるところもあり、浅間山の雄大さの一端を感じます。そして黒斑山に登るとその勇壮さを間近に実感できると思います。

いまなお続く火山活動の影響で山全体が黒いため、冬になると山頂域が冠雪してその様相から”ガトー・ショコラ”などと呼ばれて親しまれていますが、なるほどと納得しました。

高峰高原からの車坂峠の登山口のルートは難度は高くなく、危険箇所も比較的少ないため、雪山登山の初級者でもほぼ問題なく歩くことができます。
また高峰高原から黒斑山の間の往復時間は3時間半程度で登って帰ってこられます。そのため現地への交通アクセスさえタイミングが合えば、東京からの日帰り登山も可能です。

黒斑山トレッキングのネックは交通アクセスにちょっとありますでしょうか。
新宿から直通バスがあるので、行くには便利なのですが、登山をして入浴して日帰りするにはタイムスケジュール的にやはりキビしい…。およそ3時間半の雪山登山だけのために「宿泊するのもなー」とちょっとためらいがちになります。

しかしスキーやスノボーも楽しむ方は、一日は雪山登山、もう一日はスキーなどと合わせて楽しめるので一挙両得といえるかもしれません。また、温泉にプラスαでスノートレッキングを楽しむという発想なら、いい温泉旅行になるのではないかなと思います。

高峰温泉に泊まったことがありますが、とても良い印象でした。基本的には温泉旅館なのですが、一般的な旅館とは異なる少しリゾートホテル的な要素があり、温泉以外にも楽しめるポイントがいくつもあります。
食堂のテラスの先に餌台が設けられており、よく野鳥が餌をついばみにやってきます。運がいいとテンなども見ることができるようです。
こちらの宿は露天風呂が一番のアピールポイントだと思いますが、個人的には内風呂が好きです。湯温がちょうど人肌と同じくらいなので、いったん湯船につかると1時間でも2時間でもずっと入っていられるようで、とてもリラックスできました。
ただ、なかなか予約が取りづらいところが難点でしょうか。
でも、とても良いお宿と温泉でした。また行きたいお宿のひとつです。


<備考>
浅間山 (Wikipedia)
火山活動の状況「浅間山」 (気象庁)
ヒメシャジン (白馬五竜高山植物園)

<参考リンク>
高峰高原ポータル (※公式サイト)
高峰高原ビジターセンター (※公式サイト)
こもろ観光局 (※公式サイト)ハイキングマップあり
浅間山登山のご案内 (小諸市)
高峰マウンテンパーク (※公式サイト)
上信越高原国立公園 (環境省)
新宿~高峰高原の高速バス (ジェイアールバス関東)
佐久平駅・小諸駅~高峰高原の路線バス (ジェイアールバス関東)
山と高原地図「19.浅間山 軽井沢・長野原の山々」 (昭文社)
信州 山のグレーディング (長野県)
山岳情報/長野県 (長野県警察)
小諸警察署 (長野県警察)
長野原警察署 (群馬県警察)


<バックナンバー>
バックナンバーはnote内マガジン「山の魅力」にまとめております。

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(6) 不定期更新です。 毎月一度を目安に更新を予定しております。
(7) カバー写真と、今回ご紹介した山とは、関係はありません。
(8) 情報は掲載日時点の内容です。
(9) 登山道等の状況については、適宜、現地の観光協会、ビジターセンターや山小屋などの各関係機関にあらかじめご確認くださいますようお願いいたします。
(10) 自治体により登山届や各種装備の義務化などの条件がありますのでご留意ください。詳細は各自治体や警察等にご確認くださいますようお願いいたします。
(11) 今般の新型感染症の影響で各種施設等の利用については制限などが行われている可能性があります。ご利用の際には詳細について事前に各種施設等へご確認などをお願いいたします。

(2023/01/04 上町嵩広)


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