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「那須岳」△山の魅力△ (0025)

登山道のすぐそばで噴煙を上げ、現役の火山の息遣いを体感できる勇壮な山。茶臼岳を中心とした那須連山の総称。 

<山岳名>
那須岳
(なすだけ)
所在地: 栃木県那須郡那須町・那須塩原市、福島県西白河郡西郷村

<概要>
「那須岳」という単体の山は存在せず、茶臼岳・朝日岳や三本槍岳などの那須連山の総称。
那須連山の最高峰は三本槍岳(標高:約1917m)だが、那須岳登山というと茶臼岳(標高:約1915m)の登頂のみを指すことも多い。 朝日岳の標高は約1896m。
中心的な茶臼岳へはロープウェイ「那須ロープウェイ」が運行されており、山頂駅から40分ほど登れば登頂できる。
周辺の麓には多くの温泉地がある。 那須湯本温泉、三斗小屋温泉、甲子温泉や板室温泉など。
日本百名山の一座。

<アクセス>
JR東北新幹線「那須塩原」駅から路線バスで那須ロープウェイ・山麓駅まで約70分。
JR東北本線「黒磯」駅から路線バスで那須ロープウェイ・山麓駅まで約60分。
高速バス(関東自動車)の「那須温泉」バス停から路線バスで約15分。
●路線バス (関東自動車)

<国土地理院地図>
「那須岳」(栃木県那須町)


登山 トレッキング アウトドア 山の魅力
山の魅力

<那須岳の魅力>
第1に、茶臼岳はロープウェイを利用して気軽に観光登山を楽しむことができる山であるという点でしょうか。
しかも茶臼岳はれっきとした現役の活火山。西面にはいまもモクモクと噴煙があがっています。風向き次第では音や臭いも感じることができます。まさに生きている火山の躍動を体感できる貴重な場所であると思われます。

第2に、茶臼岳周辺の紅葉も見事であり、栃木県の中でも代表的な紅葉スポットのひとつとされています。
とくにその西側の麓に広がる姥ヶ平が名所とされています。茶臼岳から見下ろす姥ヶ平の紅葉景観も見事ですが、いったん姥ヶ平へ下りて紅葉の中から見上げる茶臼岳の雄姿もとても素晴らしいと思います。


<登山コース>
※標準的タイムによる目安(休憩含まず)
(1)三斗小屋温泉・姥ヶ平の周遊コース
ロープウェイ山頂駅から茶臼岳を経由して三斗小屋温泉と姥ヶ平を周遊する。那須岳のいいとこどりのルート。
ロープウェイ山頂駅→ 茶臼岳山頂(40分)→ 峰の茶屋跡避難小屋(30分)→ 沼原分岐(30分)→ 三斗小屋温泉(20分)※宿泊→ 沼原分岐(20分)→ 分岐(30分)→ 姥ヶ平(20分)→ 牛ヶ首(20分)→ 鉢巻き道→ ロープウェイ山頂駅(20分)
歩行時間/ 1日目:約2時間 2日目:約2時間 合計:約4時間
標高差/ 約500m

(2)三本槍岳・朝日岳の周遊コース
那須連山の主要峰3つを巡るルート。
※三斗小屋温泉までは上記(1)と同じ。
三斗小屋温泉※宿泊→ 隠居倉(70分)→ 熊見曽根東端(30分)→ 北温泉分岐(30分)→ 三本槍岳(30分)→ 北温泉分岐(20分)→熊見曽根東端(30分)→ 朝日岳(15分)→ 峰の茶屋跡避難小屋(40分)→ ロープウェイ山麓駅(40分)
歩行時間/ 1日目:約2時間 2日目:約5時間弱 
標高差/ 約600m

<登山道の特徴>
ロープウェイ山頂駅から茶臼岳の山頂までは40分程度で登頂できる観光登山です。 ただ道は岩や石だらけの道ですので、ビジネスシューズやハイヒールなどでは当然、難儀してしまうでしょうか。 せめてスポーツシューズくらいでないと危なっかしいと思われます。
茶臼岳山頂まで行けば、ほぼ360度の大展望。 南西側には日光連山が見えます。 また山頂域をぐるりと一周できるルートもあります。
茶臼岳から北の峰の茶屋跡避難小屋へ向かうと、そこは現在は休憩所兼避難小屋として利用されています。 売店やトイレなどはありません。 このあたりは風の通り道であり、強風が吹くことでも有名です。
茶臼岳の山頂域のコース(とくに西側)は落石も多いので通行には注意が必要です。
峰の茶屋跡から西の斜面を下りていくと別の避難小屋があります。 その先から三斗小屋温泉までは樹林帯の中、比較的ゆるやかな道が続いています。
三斗小屋温泉には二軒の山小屋(温泉旅館?)があります。 どちらも温泉があり、歩かなければ行くことができない秘湯として知られています。
三斗小屋温泉から姥ヶ平に出ると、そこは開けた平地となっており、紅葉が有名です。 東には茶臼岳の勇壮な姿を仰ぎ見ることができます。 噴煙を上げているその様子はなかなか見ごたえがあります。
三斗小屋温泉から隠居倉へ向かう途中に温泉の源泉地があります。
三本槍岳はなだらかな山頂で見晴らしはよいです。 「槍」という名がついていますが鋭鋒ではありません(名前の由来については備考欄をご参照ください)。
朝日岳と峰の茶屋跡避難小屋の間には岩場のトラバースがあります。 鎖の付いた足元が切れ落ちた道になりますので、雨天時などはとくに注意が必要です。 同じくこの間の道は部分的(剣ヶ峰の東側斜面など)に6月上旬くらいまで(年ごとにより異なる)残雪のトラバースになるため交互通行や滑落にも注意が必要です。
●山のグレーディング
[ロープウェイ山頂駅~茶臼岳] 体力度:1 難易度:A
[峠の茶屋~朝日岳] 体力度:2 難易度:B
体力度:1→10(低→高)、難易度:A→E(低→高)

 

<売店等>
那須ロープウェイ・山麓駅と山頂駅には売店があります。 山頂駅では軽食の提供もあります。
峰の茶屋跡避難小屋からロープウェイ・山麓駅に向かう登山道の途中に「峠の茶屋」があります(軽食の提供もあり)。

<日帰り温泉など>
鹿の湯 (※公式サイト)
大丸温泉旅館 (※公式サイト)日本秘湯を守る会所属
バス路線の途中にそのほか多くの温泉施設があります。 (那須温泉旅館協同組合)

<お食事処>
那須高原 南ヶ丘牧場 (※公式サイト)観光牧場
ペニーレイン 那須店 (※公式サイト)ベーカリーと洋食レストラン
和牛ステーキ桜 那須高原店 (※公式サイト)
ホテルサンバレー那須 (※公式サイト)複数の飲食店があり、温泉施設も併設。

<山小屋>
大黒屋/三斗小屋温泉 (※公式サイト)
煙草屋/三斗小屋温泉 (※公式サイト)
那須町側(南方)の温泉街に複数の旅館・ホテルあり。 (那須温泉旅館協同組合)

<付近の山>
釈迦ヶ岳

<名産品>
御用邸チーズケーキ (チーズガーデン那須本店)
大田原牛
那須高原ビール (※公式サイト)

<天気予報>
「那須岳」(tenki.jp)

<そのほか補足>
ロープウェイの営業期間は平年ですと3月上旬~12月上旬までです(その年により異なる)。
三斗小屋温泉には二軒の山小屋(温泉旅館?)があります。 煙草屋には露天風呂があります。 露天風呂へはいったん小屋の外へ出てちょっと高台に登ります。夜間は道中にも風呂場にも照明はありませんので、ライトを持参する必要があります。
周辺には観光牧場が複数あり、牛・馬・羊やそのほかの動物たちとの触れ合いが体験できたり、畜産品などの販売・飲食も可能です。
リンク先:「那須の牧場」(RETRIP)
●道の駅
那須高原友愛の森 (※公式サイト)
アグリパル塩原 (※公式サイト)
明治の森 黒磯 (※公式サイト)


<私的な雑感>
一番のポイントは、いまなお続く火山活動を間近に体感できるところだと思われます。
とくに茶臼岳の西側(牛ヶ首と峰の茶屋跡避難小屋の間)にはいくつもの噴気孔があります。 噴気孔からは音を立ててもうもうと水蒸気が噴き出しており、そのまわりには硫黄の黄色い結晶がこびりついているところもよく分かります。

登山を始めてから最初の山行のときは、晴れていたものの風が非常に強かったことがたいへん印象に残っています。 峰の茶屋跡避難小屋から西へ下るルートだったのですが、強風のために身動きが取れず、初めて耐風姿勢をとりました。 まさに立っていることも難しいほどの風でした。

茶臼岳の西の麓に広がる姥ヶ平や三斗小屋温泉までのルートは森が美しい。 緑がとても映えています。 このルートはたいへん楽しい森歩きという雰囲気です。 もちろん紅葉の時期の景観の素晴らしさも言うまでもありません。

三斗小屋温泉では「大黒屋」と「煙草屋」のどちらにも宿泊をしたことがあります。 煙草屋には露天風呂があります。 煙草屋に泊まったとき、夜中に雲一つない空のもと、星を見上げながら1時間ほど露天風呂にゆっくりと浸かっていました。 

茶臼岳の登山だけですと、登山としてはちょっと物足りないかもしれません。 そこに三本槍岳や朝日岳を加えると、登山の魅力がぐっと増すのではないでしょうか。
茶臼岳の火山の荒々しさ、森の美しさ、三斗小屋温泉の癒し、朝日岳の岩場・鎖場の歩き応えなど、その魅力が多面的で重層的になるように感じられます。


<備考>
●那須岳周辺の温泉地
三斗小屋温泉
甲子温泉
新甲子温泉
那須湯本温泉
板室温泉

●紅葉情報
ウォーカープラス

●朝日岳の岩場・鎖場
雨天時の通行にはご注意ください。よほどの高所恐怖症などの不安がなければ極度に恐れる必要はありませんが、もちろん注意して通過する必要があります。


<参考リンク>
那須岳 (Wikipedia)
那須ロープウェイ (※公式サイト)
那須高原ビジターセンター (※公式サイト)
日光国立公園 (環境省)
栃木県 登山道・遊歩道情報 (栃木県)※那須岳リーフレットあり。
那須町観光ガイド (※公式サイト)※トレッキングコースのマップあり。
那須 登山・トレッキングコースガイド (那須町)※トレッキングコースのマップあり。
那須塩原警察署 (栃木県警察)
山と高原地図「12.那須・塩原 高原山・八溝山」 (昭文社)
東京~那須の間の高速バス情報 (関東自動車)
東京~那須の間の高速バス情報 (JRバス関東)
火山活動の状況/那須岳 (気象庁)
栃木県 山のグレーディング (栃木県)


<バックナンバー>
バックナンバーはnote内マガジン「山の魅力」にまとめております。

0024 涸沢カール
0023 金峰山
0022 三つ峠
0021 男体山(日光)
0020 浅間嶺と浅間尾根
0019 幕山
0018 一ノ倉沢/谷川連峰(冬季)
0017 北八ヶ岳周遊(冬季)
0016 城ヶ崎海岸
0015 苗場山
0014 天狗岳(八ヶ岳)
0013 燕岳~常念岳
0012 大杉谷~大台ヶ原
0011 北岳
0010 雲取山
0009 御前山(奥多摩)
0008 大楠山
0007 飯盛山
0006 赤城山
0005 大山(丹沢)
0004 三頭山
0003 宮之浦岳
0002 雨飾山
0001 編笠山


<ご留意点>
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(6) 不定期更新です。 毎月一度を目安に更新を予定しております。
(7) カバー写真と、今回ご紹介した山とは、関係はありません。
(8) 情報は掲載日時点の内容です。
(9) 登山道等の状況については、適宜、現地の観光協会、ビジターセンターや山小屋などの各関係機関にあらかじめご確認くださいますようお願いいたします。
(10) 自治体により登山届や各種装備の義務化などの条件がありますのでご留意ください。詳細は各自治体や警察等にご確認くださいますようお願いいたします。
(11) 今般の新型感染症の影響で各種施設等の利用については制限などが行われている可能性があります。ご利用の際には詳細について事前に各種施設等へご確認などをお願いいたします。

(2022/09/18 上町嵩広)



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