三つ峠 △登山の魅力△(0022)
山頂域の屏風岩はロッククライミングのゲレンデとして大人気。富士山の好展望で有名な山のひとつ。
(本記事/ 文字数:約4700字、読了:約9分)
<三つ峠の魅力>
(1)東京近郊で富士山眺望の山としてもっともメジャーな山のひとつ
知名度は箱根の金時山などとも並ぶかと思われます。山行時間が短くてすみ、難所や急登などもなくアクセスも比較的便利なので登山者にはとても人気があります。
(2)縦走して歩いて行ける天上山は観光スポット
河口湖湖畔の天上山は近年、観光開発されてショップも設けられています。童話「カチカチ山」にちなんだ観光設備があり、子どもを含めた家族で楽しめる娯楽施設となっています。また天上山は約10万株のアジサイが見事に咲き誇ります。
<概要>
三つ峠 (みつとうげ)
所在地: 山梨県都留市、南都留郡西桂町・富士河口湖町
複数のピークが寄り集まった一帯を「三つ峠」と総称(「三ツ峠」とも表記)。最高峰は開運山で標高は約1785m。
日本二百名山、新・花の百名山(フジアザミ)。
近隣の天上山は「カチカチ山」とも呼ばれ、太宰治の作品『お伽草紙』のなかの一編「カチカチ山」の舞台とされている。
<登山コース>
※標準的タイムによる目安(休憩含まず)
●表登山道コース
江戸時代以前に三つ峠が信仰の地であったころの名残があるルート。”表登山口ルート”ともいわれる。
富士急行「三つ峠」駅→ さくら公園(30分)→ 達磨石(60分)→ 馬返し(60分)→ 八十八大師(50分)→屏風岩→ 三つ峠山頂※開運山(60分)→ 木無山(30分)→ 鉄塔(70分)→ 霜山(20分)→ 天上山分岐(30分)→ 天上山(40分)→ 護国神社(40分)→ 河口湖駅(10分)
コースタイム/ 8時間程度
標高差/ 約1100m (三つ峠駅:約620m、達磨石:約950m、開運山:約1785m、天上山:約1075m、河口湖駅:約857m)
[登山道の特徴]
三つ峠駅からのアプローチは、どちらかというとだらだらとした傾斜なので長く感じるかもしれません。とくに三ッ峠駅からのアプローチ(表登山道)はバスなどもないので”さくら公園”まで約30分、舗装道路を歩くことになります。その先も登山口(達磨石の手前)までは簡易舗装の林道です。
表登山道はかつて三つ峠が信仰の山であったころの正規ルートですので、信仰の遺物や遺跡を確かめることができます。また屏風岩の直下を通りますので、ロッククライミングに励むクライマーたちの姿をダイナミックに拝むことができます。
開運山山頂は近年、改めて整備されましたが、やはり人気の山ということもあり、オーバーユース気味で地肌が削れてしまっているようなところもあります。赤土が剥き出しの斜面はとても滑りやすいです。
《補足》
今回ご紹介している「三つ峠」駅から天上山までのルートは比較的長く時間を要します。必要に応じて「三つ峠」駅から登山口まで事前にタクシーを手配しておき時間を省略することも一案かと思われます。
また「河口湖」駅から三ツ峠山西側にアプローチする登山道(”三ツ峠登山口”バス停。裏登山口ルートとも呼ばれる)まで路線バスが運行しておりますのでその場合は山頂までの所要時間は2時間程度となります(休憩除く)。ただしバスの運行本数は非常に少ないため事前にご確認ください。バス停の標高は約1230m(山頂までの標高差は約600m)。
●水場やトイレなど
登山道上に水場はありません。
トイレは、富士急行線の駅のほかに、三つ峠さくら公園、憩いの森公園、三つ峠山山頂直下、天上山(ロープウェイ富士見台駅)、護国神社にあります。
[難易度・危険箇所など]
とくに大きな難所や危険箇所はほとんどありません。
八十八大師から山頂までの道は岩壁の基部をトラバースする道ですが落石が多いので注意が必要です。
[アクセス]
●往路
富士急行線「三つ峠」駅から徒歩約30分(三つ峠さくら公園)
●帰路
下山口(護国神社)から富士急行線「河口湖」駅まで徒歩約15分
《参考》
*特急電車(別途、特急料金が必要)
JR「新宿」駅から富士急行「河口湖」駅まで直通(乗換なし)の特急「富士回遊」が運行されています。
JR中央線特急「あずさ」または「かいじ」で大月駅までゆき、大月駅で富士急行線に乗換え。「あずさ」は大月駅に停車しない便もあります。大月駅から富士急行線には河口湖駅行きの特急電車もある。
*高速バス
新宿(バスタ新宿)から河口湖駅の間を結ぶ路線。
[国土地理院地図]
[コースマップ]
富士急行よりコースマップが提供されています。
リンク先: 「開運の山 三ツ峠山」 (富士急行)
<こんな方にオススメ>
(1)富士山の眺望がよい山を登りたい
(2)アジサイが鑑賞できる山に登りたい
(3)ロッククライミングに興味があり間近で見てみたい
<関連情報>
[売店等]
山頂直下に山小屋が2軒あります。軽食の提供もあり、メニューは比較的充実しています。
河口湖駅には土産物コーナーが併設されています。また駅の近くにコンビニエンスストアがあります。
三つ峠駅から徒歩圏内にコンビニエンスストアがあります(国道139号線沿い)。
天上山には土産物店があります。
[日帰り温泉など]
開運の湯 (ロイヤルホテル河口湖) 河口湖湖畔
ふじやま温泉 ※公式サイト 富士急ハイランドそば
[お食事処]
ほうとう不動 ※公式サイト 河口湖駅そば
甲州ほうとう小作 河口湖店 ※公式サイト
山麓園 ※公式サイト ろばた料理・ほうとう/河口湖駅
[山小屋などの宿泊施設]
四季楽園 ※公式サイト
三ッ峠山荘 ※公式サイト
※河口湖駅と湖畔にはホテル・旅館が複数あります。 (河口湖温泉旅館協同組合) ※公式サイト
[付近の山]
石割山
本社ヶ丸
御坂山・黒岳
十二ヶ岳
都留アルプス
富士山(吉田口登山道)
[名産品]
吉田のうどん
ほうとう
[お天気情報]
三ツ峠山 (山の天気/tenki.jp)
[そのほか]
「吉田のうどん」のお店もありますが、ほとんどが早い時間(14時か15時)には店終いしてしまいます。 麺が無くなり次第終了の店も多いです。
河口湖駅と三ツ峠登山口の路線バスは運行時間帯と本数が非常に限定されているので、ご利用の際は事前によくご確認ください。駅とバス停の間は歩く距離ではないです。
山小屋の前に設置されているテーブルは使用料が必要ですのでご留意ください。またテーブルでの火器の使用についても管理する山小屋に了解を取った方がよいようです。
<私なりの楽しみ方>
登山を始めてから、最初に三つ峠を登ったとき(小学生のときに家族旅行で登ったらしいが記憶にはない…)は、「三つ峠」駅から登ったのですが、そのときに駅に下りた登山者は私一人だけ。
駅員さんからは「ここから登るの?」とちょっと怪訝そうにされました。 そんなに少ないですかねー。 また公園の登山口まで歩く間にすれ違う地元の方から「こっちから登るんなら大変だね」と励ましの声をいただきました。
登山口まで約30分の舗装道路歩きとなりますが、ただ、この道のところどころで目にすることができる富士山の姿には見惚れました。 「やはり東京でみる富士山と違ってデカイ!」 その存在感には思わず感嘆しました。
またこの表登山道は登山者が少ないだけにおかげさまで静かな山行が楽しめました。
初めて登ったときは、山小屋から山頂までのアプローチの斜面が現在のようにまだ再整備されておらず、人が登った跡がえぐられて溝状になっていました。 ちょっと無残な状態で、すこし心が痛みました(まあ、私もその一人なのですが…そのあとはしばらく足が遠のきました)。
山頂は登山者で大賑わいですが、山頂のすこし下に脇へ入ると静かに景色を眺めることができるスポットもありますので、そこでのんびりとコーヒーでも飲んで富士山をしばらく眺めながらチョコ菓子を囓るのが、この山での私のお気に入りです。
<備考>
●天下茶屋
太宰治・井伏鱒二が逗留した旅館。現在は茶屋として営業(宿泊はできません)。2階に太宰治の記念館あり。
リンク先: 天下茶屋 ※公式サイト
●屏風岩(三つ峠) (クライミング・ネット)
三つ峠(開運山)山頂直下にある岩壁。ロッククライミングでは人気のゲレンデ。
●お得な切符 (富士急行)
●冬期登山
冬季の積雪期登山の場合は、さすがに軽アイゼンがないと危険なところがあります。ただこのような条件を生かして雪山登山入門コースとして利用されてもいます。
●登山道関連情報
山梨県・山岳情報 (山梨県警察)
登山情報 (西桂町)
山梨 山のグレーディング (山梨県)
富士吉田警察署 ※公式サイト
大月警察署 ※公式サイト
<参考リンク>
開運の山 三ツ峠山 (富士急行)
富士河口湖町観光情報サイト ※公式サイト
富士山世界遺産センター ※公式サイト
富士山パノラマロープウェイ(天上山) ※公式サイト
新宿~河口湖の高速バス (富士急行バス)
河口湖周辺の路線バス (富士急行バス)
山と高原地図「34.富士山 御坂山地・愛鷹山」 (昭文社)
<関連記事>
三ツ峠山周辺についての上町嵩広の関連記事。一部、外部サイト掲載記事もあります。
<バックナンバー>
バックナンバーはnote内マガジン「山の紹介」にまとめています。
0021 男体山(日光)
0020 浅間嶺と浅間尾根
0019 幕山
0018 一ノ倉沢/谷川連峰(冬季)
0017 北八ヶ岳周遊(冬季)
0016 城ヶ崎海岸
0015 苗場山
0014 天狗岳(八ヶ岳)
0013 燕岳~常念岳
0012 大杉谷~大台ヶ原
0011 北岳
0010 雲取山
0009 御前山(奥多摩)
0008 大楠山
0007 飯盛山
0006 赤城山
0005 大山(丹沢)
0004 三頭山
0003 宮之浦岳
0002 雨飾山
0001 編笠山
<ご留意点>
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(6) 不定期更新です。 毎月一度を目安に更新を予定しております。
(7) カバー写真と、今回ご紹介した山とは、関係はありません。
(8) 情報は掲載日時点の内容です。
(9) 登山道等の状況については、適宜、現地の観光協会、ビジターセンターや山小屋などの各関係機関にあらかじめご確認くださいますようお願いいたします。
(10) 自治体により登山届や各種装備の義務化などの条件がありますのでご留意ください。詳細は各自治体や警察等にご確認くださいますようお願いいたします。
(11) 今般の新型感染症の影響で各種施設等の利用については制限などが行われている可能性があります。ご利用の際には詳細について事前に各種施設等へご確認などをお願いいたします。
(2022/05/11 上町嵩広 改訂:2024/08/06)