『「繊細さん」の本』を読んで

正式には

『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本』

というこの本。
武田友紀先生著である。


これまで幾度となく自分の繊細さに悩まされてきた。


面接で長所と短所を聞かれた際には、
こう答えてきた。
「長所は、よく周りに気がつくことです。気がつくだけではなく、実際に行動に移すこともできます。
しかし、これは短所にもなり得て、全て自分で背負ってしまうことがあります。」

実際に、全部背負って、自分が潰れてしまったことがある。

「近頃は、物事に優先順位をつけたり、自分が手いっぱいであれば、人に助けを求めたりするように心がけています。」
と続ける。

長所であることは重々承知であったが、
何故かいつも消耗していた。


本作にも出てくるフレーズだが、
「いつも私だけ忙しい」が常であった。

家でも職場でも私だけがずっと忙しかった。
職場の先輩は、うまく人を頼れていたけれど、
新人だから…と先輩や上司に気を使って、自分だけが背負い込んでしまった。
パートナーと暮らす家で、パートナーに気を使って家事も全部背負い込んでしまった。

やりたくないけど、誰かがやらなきゃいけないことを、
みんなもやりたくないだろうな、と思って
やってしまう癖があった。


私のパートナーは所謂、非・繊細さんで、健康そのもので、
なんだか丈夫な人だな、と思っていた。

仕事と家事の毎日に疲れてきた頃には、
「彼の機嫌が良いのは、家事もせず仕事をしているだけで日々が成り立っているからだろうな。」
と、彼を羨むようなことを思っていた。
しかし彼の方が拘束時間も長く、収入も多いし…と理由をつけて我慢をした。

彼から何かを頼まれては、
「何もしないくせに頼み事はしてくる」
ことが本当に不思議で、まるで嫌がらせをしてきているのではないかと疑うほどだった。
私はこれ以上、何かを引き受けるのが嫌で、頻繁に不機嫌になった。


世の中には、働きながら家庭を持っている人がたくさんいるのが信じられないほど、
たかが大人2人の生活で限界だった。

心身共に限界で休職をしたり、
もうちょっと家事の時間をとれる仕事がいいと転職をしたり、
普通に働き続けるって難しい。
早く結婚して家事しながらパートぐらいで働きたいなぁとずっと思っていた。



何度も怒りが爆発して、何度も喧嘩をした。
終いには「言ってくれたらやるよ。」と言ってくれた彼に対して、
「え…言わなあかんの?言わな分からへんの?毎日毎日私がやってること何も知らんの?そんなに私に興味がないんか…」
とブチギレたり絶望したりした。笑



本音を吐き出していくうちに、2人とも私の性質を解るようになってきた。
(当人も20数年生きてきて解っていなかったのである。)
それと同時に、私も彼のことが解ってきた。
私が頑張って片付けている部屋も見えないし、落ちている靴下も見えない。
冷蔵庫の在庫状況を加味した上での献立の立案、買い出しの時間、調理時間、労力。
晩ご飯だけでもこれだけあるのに、見えていないないようであった。
しかし、これは誰に頼まれたわけでもなく、私が自発的にやっていたことだった。





彼は、私が手を抜くことを喜んでくれた。
そして、「それでいいねん」と肯定してくれた。
最初は罪悪感があったが、自分のご機嫌を保つためだと言い聞かせるようにした。
だんだん自分でも、これ以上はしんどくなりそうだなという加減が分かるようになってくると、
みるみるとご機嫌の時間が延びていった。
喧嘩もしなくなった。






ありがたいことにコロナ渦中に、現在の職に就くことがてきて1ヶ月と少し。
このタイミングでこの作品を読み、
今までのことがストンと腑に落ちた気がした。


まだまだ下っ端なので、これから責任や立場の負担が増えてくるかもしれないが、
今までの人生で1番ラクに過ごせている気がする。


当面は、繊細さんならではの良いところをコツコツ伸ばしつつ、自分のご機嫌をとることに夢中になりそうだ。


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