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片山透
2020年7月8日 22:32
—4—朝、僕はいつもどおりに仕事に向かった。冬の朝は冷たく、空気が肌を刺す様に冷え切っていた。駅についた僕は改札を抜けてホームで電車を待っていた。空は灰色だった。今にも雪でも降ってきそうだな、と思っていた。電車の着く時間に近づくと、ホームには電車に乗ろうとする人間で混み合いながら列が出来た。人混みに揉まれながら待っているとき、僕の視界にふと、見覚えのあるシルエットが横切った。僕はその影を視線で